2-3.ナチュラル・ルーラーとは

2018/10/9 更新

ナチュラル・ルーラーとは、天体が持つ固有の意味を指しています。
どんなホロスコープでも天体はその天体が持つ固有の意味を持つ可能性があり、このことをナチュラル・ルーラーと呼んでいます。
例えば、どんなホロスコープでも木星はお金を表す天体になっている可能性があるのです。

それでは、このような考え方というか、思想は、どこから来ているのでしょうか。
朝比奈式とJF式ではこの起源についての思想が異なるのでそれぞれ説明します。
なお、CL式ではここの思想は説明されているのかどうかよくわかりません。一応ジョン・フローリーがはっきりと説明しているので、JF式だけを説明します。
ただ、JF式は基本がCL式なので、彼はCL式の本のどこかでこの思想を学んだのかもしれません。
しかし、JF式の考え方はキリスト教の影響を強く受けているため、やはりこれはJF式独特のものと考えた方が良いと思います。
なぜなら、占星術が生まれたのはキリストが生まれる遥か前のことなので、その頃の解釈が遺っていたとすればそれは、当然JF式のような一神教に基づく解釈になるはずがないと思うからです。
なお、ここに載せるJF式の思想の解説は、朝比奈がずいぶん前に書いたものです。朝比奈の現在の考え方とはかけ離れた解説が出てくるので、そのことを前提に読み進めてください。

それと、JF式の説明に入る前に、JF式を理解するための前提知識を少し説明しておきます。
JF式では、占星術はキリスト教風に解釈されています。
占星術とは一神教の創造主さま(キリスト)が創られたものであり、ホラリーをしている時、ホラリーのホロスコープでアスカーの悩みに答えを返してくれているのも創造主さまである、と考えられています。

1.JF式・ナチュラル・ルーラーの起源
2.朝比奈式・ナチュラル・ルーラーの起源

1.JF式・ナチュラル・ルーラーの起源

JF式はキリスト教に根差しています。
そのため、まずキリスト教で占星術をどのように捉えているかを説明します。
JF式のキリスト教では、まず、「地球上に存在するものは創造主さまによって、生き物も物質も、占星術に登場する7天体の組み合わせによって造られている」と考えられています。
7つの天体を使って、地上のあらゆるものを神様がお創りになったんだよ、という思想です。
天体をどのように使うのかよくわかりませんが、7天体を使って、ヒトもイヌもサルもキジも桃太郎だってモモだって作られたということですね。
そしてこの時、作られたものによって使われた材料比が異なっていました。
例えば、金(ゴールド)を作るときには、材料として太陽が最も多く用いられ、銀(シルバー)を作るときには月が最も多く用いられ、銅は金星、鉄は火星、錫(すず)は木星、水銀は水星、鉛は土星が最も多く用いられました。
このように、その物質を作る時、どの天体が最も多く用いられたのかという点が、ナチュラル・ルーラーの思想の原点になっています。
太陽が最も多く用いられた金は、太陽の影響を最も強く受ける物質であり、故に金は太陽のナチュラル・ルーラーである、というわけです。

ところで、この構成比はどうやって調べたのでしょうか。
ホラリーでたくさん探し物をしたのでしょうか。
例えば、ホラリーで金の延べ棒を探す時、太陽を手掛かりにするとよく見つかるから、「金のナチュラル・ルーラーは太陽だったんだ」という論理です。
ナチュラル・ルーラーは、わかりやすいものもあればわかりにくいものもあります。
例えば、月はその輝きからシルバー(銀)のナチュラル・ルーラーであるとされますが、人のナチュラル・ルーラーはわかりにくいですよね。何か特定の天体が多く使われたようには思われません。
ナチュラル・ルーラーがわかりにくいものは、それはそれで仕方がないと考えられているようです。うまくいくものだけで頑張ろうという思想です。
ただし、人体の各部分には、特定の天体が多く含まれていると考えられています。

【人体とナチュラル・ルーラー】
 土星 : 骨、歯、皮膚、右耳、脾臓
 木星 : 肺、肝臓、左耳、血液、精液
 火星 : 胆汁、膀胱、男性器
 太陽 : 生命力(生きる力)、心臓、脳、男性の右目、女性の左目
 金星 : 腎臓、嗅覚、女性器
 水星 : 舌、知性、理性、腕、手、指
 月 : 胸、子宮、お腹、腸、男性の左目、女性の右目

ナチュラル・ルーラーは目に見える物質に限られないようです。
以下のようなナチュラル・ルーラーも解説されています。

【抽象性とナチュラル・ルーラー】
 土星 : 汚い、暗い
 木星 : 豪華、贅沢、大きい
 火星 : 鋭さ、炎
 金星 : 愛らしさ、芸術性
 水星 : 知性、コミュニケーション
 月 : 液体、白い、新しい

【天体と色のナチュラル・ルーラー】
 土星 : 暗い色、黒
 木星 : ロイヤルブルー、インディゴ色、海の青色
 火星 : 赤、黄色、オレンジ
 太陽 : 金、黄色、紫
 金星 : 明るい色、空色
 水星 : グレー
 月 : 薄い色、特にシルバーの色

ナチュラル・ルーラーの選び方

ホラリーで探し物をする時などで、ナチュラル・ルーラーを使う機会があります。
探し物を表すナチュラル・ルーラーを使って占いをするわけですが、時にはどの天体が探し物のナチュラル・ルーラーになっているのか、すぐにはわからないこともあります。
「探し物はブレスレットだけど、純金でできてるから太陽かな?それともブレスレットだから装飾品を表す金星かな?」
このような時には、以下の基準に従ってナチュラル・ルーラーを選ぶよう説明されています。

【ナチュラル・ルーラーを選ぶ基準】
 1.最も目立つ性質から選ぶ
 2.役割、機能から選ぶ

1.最も目立つ性質から選ぶ

その物の最も目立つ特徴を掴みましょう。
例えば、「金の延べ棒には及ばないものの、このブレスレットはかなりの部分が金でできている」ような場合には、金のナチュラル・ルーラーである太陽が、このブレスレットを表す天体になっている可能性が高くなります。
他にも、「あの柔らかいふわふわの毛布…どこいっちゃったの?」
柔らかくて手触りが良い物は、金星によって表されている可能性が高くなります。

2.役割、機能から選ぶ

役割、機能からもナチュラル・ルーラーを選ぶことができるようです。
この辺ちょっと無理矢理感がありますが、例えば金だけで出来ている傘を考えてみましょう。
この場合、この傘は金で作られているわけなので、最初に太陽が思い浮かびますよね。
しかし、もしアスカーが金のことはすっかり忘れていて、占星術師に「あれは傘だよ。ただの傘。でもお気に入りの大事な傘なんだ」と相談したら、恐らくその傘は太陽ではなくバリアー(障壁)のナチュラル・ルーラーである土星によって表されることに…なるでしょう。
アスカーが「純粋な傘だよ」と思い込んでいるその考え方を、ホロスコープが反映する可能性が高いためです。
実際にアラブの王様あたりがそういう相談をしてくれると、この理論が正しいか検証することが可能かもしれないのですが…。

2.朝比奈式・ナチュラル・ルーラーの起源

朝比奈は、ナチュラル・ルーラーは特別な思想に基づいたものではなく、ただ、占星術を創られた方々がそのように創られたから、と考えています。
占星術を創られた時に、天体に固有の意味を持たせて、相談事に対する対応力を高めたのではないかと思います。

朝比奈の個人的な世界観を説明しておきます。
朝比奈は、この世界は数多いらっしゃる神様方のうちの、数人の神様方によって作られたと考えています。
何人かで、よし、宇宙創ろう、地球も作ろう、ここに大陸作ろう、ここに人間作ろうと共同作業をして、その結果として我々が今ここに生きていると考えています。
その神様方は今でもご健在で、もちろんこの星を眺めていらっしゃると思います。

そして占星術というものは、神様たちとは違うけれど、言ってみれば神様たちの弟子のような方たちのうちの、二人か、三人程度で創られたものであると考えています。
きっとこの方たちは、天使様だったり、精霊だったり、歴史的に色々な名前で呼ばれていらっしゃるのではないかと思いますが、その名は存じ上げません。

話をナチュラル・ルーラーに戻しましょう。
JF式について、昔初めて学んだ時にはなるほどそうだったのかと思っていましたが、現在この考え方には賛成できません。
理由は、先に述べた思想的なところもありますが、天体を使って地上の生き物を作ったという考え方はおかしいと思うからです。
天体はただの天体。地上の生き物とは無関係。
天体をお創りになったのも、地上の生き物をお創りになったのも神様方でしょう。だけど、天体を使って作ったわけではなく、別々にお創りになっただけのことだと考えているのです。
それはさておき、JF式もCL式も想定されているナチュラル・ルーラーは数が多すぎて、どれを使えばいいのか判断が難しいと思います。
ディレクションなどで、当てはまっているところを確認することならばできるでしょう。
なんでもあり状態なのだから、なんだって当てはまるのは当たり前です。
でも、何でもありということは、何でも言えるということで、実用性はとても低くなります。
極端な話、毎回毎回、何でも全部当てはまるよね、みたいな話になってしまうわけです。

ナチュラル・ルーラーも、占星術が生まれた初期の頃は、朝比奈式で挙げているだけの、ごく少数のものしか想定されていなかったと思いますが、どういうわけか人の手によって途中であれもこれもと加えられ、いつの間にかなんでも当てはまりますよねこれみたいな状態になって現代に至っていると、朝比奈は考えています。
現代でさえ、ナチュラル・ルーラーが当てはまる意味の数は、朝比奈式で挙げているように極めて少数です。