雇うかどうか

2015/3/4 更新

アスカーは経営者です。事務の仕事の募集をしたところ、ある女性が面接に来ました。
「雇う予定ですが、少し迷っているんです。」

6house-hiring-ex-01

占いの流れ

1.質問をよく聞く
・誰が、質問しているのか?
アスカーです。経営者です。
・デフォルト・オプション(起こる可能性が高いこと)を特定する
アスカーは、面接に来た女の人を雇うかどうか悩んでいます。
その人は仕事に応募してきて、しかも面接の時に「働きたいです」とアスカーに伝えたそうです。さらに、少し迷ってはいるそうですが、アスカーは雇うことに前向きです。
そのためデフォルト・オプションは、「雇う可能性が高い」に設定します。

2.ハウスを決める
・何が、質問されているのか?
社員を雇用するかどうか相談されているので、第6ハウスを使います。
アスカーを表すハウス:第1ハウス
面接に来た女性:第6ハウス

3.ルーラーを決める
今回の占いで使用する天体を特定する
・ハウス・ルーラー?
アスカーを表す天体:土星(ロード1)、月(アスカーのサブ・ルーラー)
応募者の女性を表す天体:水星(ロード6)

・ナチュラル・ルーラー:なし
・文脈ルーラー:なし

4.エッセンシャル・ディグニティ
まず、ロード6を見てみると…水星ですね(@_@)
この質問のように、「相手の信頼性」が問題になる占いで水星が出てきたときは、要注意。
水星は「詐欺師」のナチュラル・ルーラーなので、良い印ではありません。なかなか不安な出発です。

ただ、信頼関係が問題にならないような質問では、水星がこのような意味を持つことはありません。
例えば、恋愛関係のような質問で相手を表す天体として水星が出てきても、「信頼できない相手」を表すわけではありません。
確かに信頼できるかどうか大切な時もありますが、水星が「信頼できない相手」として重要な意味を持つのは、ここで扱っている第6ハウスの雇用関係、それから「(商売の上で)取引相手が信頼できるか」というように相手の信頼性がそもそも質問の対象の時に限られます。

話を戻して、その水星のエッセンシャル・ディグニティはペレグリン(彷徨っている)。
おお…よろしくない感じです(+_+)

この質問の中心は「面接に来た女性」なので、アスカーを表す天体のエッセンシャル・ディグニティはそれほど重要とは言えません。しかし、一応見ておきましょう。
ロード1の土星はさそり座6度にいてペレグリン。月も水瓶座16度にいてペレグリン。どちらもよくありませんね(*_*;

5.アクシデンタル・ディグニティ
・ハウスによる強弱
水星のいるハウスは第8ハウス。アクシデンタル・ディグニティが弱くなるハウスです。
活動力が弱くなる…この質問の文脈から考えると、勤務状況かな?
毎日ちゃんと出勤できるのか、不安ですねー(;´Д`)

・コンバスト、サンバーン、太陽の正反対
水星はコンバストしています。アクシデンタル・ディグニティを考える時、コンバストは最悪のダメージです。これ以上悪いアクシデンタル・ディグニティのダメージはありません。
毎日出勤できるのかなほんと…

・天体のスピードと、進む方向(逆行、ストップ)
水星は逆行していません。しばらく逆行することもありません。
もしすぐに逆行を始めたら、「辞める可能性がある」と判断したかもしれません。
もし逆行していたなら、逆行する前のストップ(天体が止まっている状態)になるタイミングが、辞めるタイミングの候補になったかもしれません。

・月のノード
サウス・ノードはアスカーが傷つく可能性のある場所です。
もし、ロード6の水星がサウス・ノードとコンジャンクションしていたら、アスカーは、彼女を採用することによって傷つく可能性があります。
水星に注目してみましょう。水星はしし座22.63度。サウス・ノードはおうし10.70度。
どうでしょうか。気づきますか?
水星のアンティシア(仮想上の天体)が重要になるんです。

水星のアンティシアを計算してみましょう。
しし座のアンティシア・サイン(仮想上の天体がいるサイン)はおうし座でした。水星はしし座にいるので、水星のアンティシア(仮想上の天体)はおうし座にいるはずです。では、何度にいるでしょうか?

30 - 22.63 = 7.37度

おうし座7.37度です。サウス・ノードはおうし10.70度。

10.70 - 7.37 = 3.33度

アンティシア(仮想上の天体)のオーブ・アスペクト(相互に影響)を考える時は、1、2度が限界です。だから、3度以上離れているのは、少し遠すぎます。
ただ、近いと言えば近いですよね。そこで、これは弱い印と考えましょう。
「彼女を採用することによって、アスカーが傷つく”かもしれない”」と考えます。

【無関係】
・星座のカテゴリー
・天体からのオーブ・アスペクト(サンド、またはアスペクト・サンド)
・恒星(レグルス・スピカ・アルゴル)
・月のボイド
・ジョイ

6.レセプション(好き嫌い、関心)
今回は、「雇う、雇われる」という「人間関係」が絡んでいるので、レセプションは重要です。
アスカーの水星(ロード6)に対するレセプションから見ていきましょう。
まず、ロード1の土星から。土星はさそり座6.28度にいます。
水星に対するレセプションを見てみると…何もありません。無関心のようです。
次に月を見てみましょう。月はみずがめ座16.43度にいます。
水星に対するレセプションを見てみると、おっ、フェイス(ほんのちょっぴり知り合い)にいますね。
うん。確かにほんのちょっぴり知り合いですね(;・∀・)

これで、アスカーの水星に対するレセプションは、ほとんど無関心に近いということが確認できました。
別に珍しいことではありません。他社の人をわざわざスカウトしてきたわけではないし、こういうことはよくあります。

次に水星のレセプションを見てみましょう。
水星はしし座22.63度にいます。土星に対して、デトリメント。デトリメントは、「大嫌い」か、「傷つける」ことを表すレセプション(好き嫌い、関心)です。
今、彼女がアスカーのことを大嫌いということはまずありえないので、恐らく、「傷つける」ことになるのでしょう。

水星(ロード6)の月(アスカーを表す天体)に対するレセプションも見てみると、月に対してのレセプションは見当たりません。無関心です。
デトリメントよりずっとマシかな(^_^;)

それにしても…先ほどから、何ひとつ良い印が出てきませんね!?(゚Д゚)ノ
もうアスペクトを探す必要はなさそうです(@_@;)
…しかし、勉強中ですからね。続けましょう。

7.アスペクト
アスペクトを見てみましょう。
アスカーを表す天体と彼女を表す天体の間にもしアスペクトがあれば、今後、二人の間に何かしらの出来事(イベント)が起こることを表します。
もしアスペクトがなければ、雇っても雇わなくても、今後アスカーと彼女の間には特別な出来事が起こらないことを表します。
つまりここでは、「アスペクトはなくても構わないけど、もしあればそのアスペクトがどんな出来事を表すのか考えてみる」というスタンスになります。
悪いことがあるとわかっていたら、雇いたくありませんからね。

土星と水星はアスペクトしませんが、月と水星はこの後、オポジションになりそうです。悪いアスペクトです。トドメですね。
オポジションはそれ自体が悪いアスペクトです。
アスペクトは五つありますが、その中で唯一、悪いアスペクトです。

オポジションが出てきた時点で、このアスペクトは悪い出来事を表していると判断するのですが、もう一歩進んでレセプションも考えてみましょう。
水星(彼女)は土星(アスカー)に対してデトリメント(大嫌い・傷つける)でした。
つまり、この水星がアスカーを表す月とアスペクトするということは、このタイミングで、彼女がアスカーを傷つけるような出来事が起こる可能性を示します。
もしアスカーが彼女を雇った場合、そのタイミングで彼女が辞める可能性も高いでしょう。

7ー2.タイミング
タイミングを計算します。
水星と月はどこでアスペクトするでしょうか?
時間を進めてみると、水星がしし座23.62度に進んだところで、月とオポジションになります。
月と水星を比べると、月の方がスピードが速いので、月が進む距離を計算します。

23.62 - 16.43 = 7.19度

7.19度ですね。
この2人は、面接で一度会ったことがあるだけです。ということは、過去のイベントが表示されている可能性は限りなく低いので、サイン・ハウス法を使います。
最初に“単位のセット”を考えます。日、週、月、年とありますが、どれでしょうか?
日というのもありえますが、仕事開始日を考えると、いくらなんでも早すぎるかなと思います。そうすると、「週、月、年」が候補かな。
月はみずがめ座にいるので固定サイン(遅い)、サクシーデント・ハウスなので柔軟サイン(真ん中)。

遅い + 真ん中 = 真ん中

恐らく7ヶ月後に、何か言い合いをして関係が悪くなったり、もしくは辞めてしまったりするのではないでしょうか。
レセプションが悪いことと、アスペクトがオポジションであることを考えると、衝突は激しいものになる可能性が高く、もし辞めるとしたら、穏やかな辞め方にはならないと思います。

8.アンティシア(仮想上の天体)
水星のアンティシアを見てみましょう。
水星はしし座22.63度。
しし座のアンティシア・サイン(仮想上の天体がいるサイン)はおうし座。
度数を計算しましょう。

30 - 22.63 = 7.37度

水星のアンティシアは、おうし座7.37度にいます。土星の場所と見比べてみてください。
土星はさそり座6.28度。近いですね!?
土星は逆行していないので、この後、水星のアンティシアにアプローチしてオポジション(180度、反対のサイン)になります。
土星は何度進むと、水星のアンティシアにオポジションになるでしょうか?
アンティシアに対するイベント・アスペクトを考える時、アンティシアはそのままの位置を動かさずに計算します

7.37 - 6.28 = 1.09度

1.09度です。
タイミングも考えましょう。
土星は固定サイン(遅い)、アンギュラー・ハウス(遅い)です…が、いや、待てよ?
水星と土星、進むスピードはどちらが速いでしょうか?
時間を進めてみると、水星ですね!
タイミングを考えるためには、スピードが速い方の天体が進む度数を計算しなければいけません。せっかく計算したのですが、もう一度土星のアンティシアを探して、水星が進む距離を計算し直しましょう。

土星はさそり座6.28度。さそり座のアンティシア・サインはみずがめ座。度数を計算します。

30 - 6.28 = 23.72度

土星のアンティシアはみずがめ座23.72度にいます。
水星は何度進むと、土星のアンティシアにオポジションになるでしょうか。
イベント・アスペクト計算する時、アンティシアは動かさないんですよ!しつこいけど…(゚∀゚)

23.72 - 22.63 = 1.09度

あれ?同じになりましたね?( ̄▽ ̄)
う…わざとらしすぎて涙出てきた(T_T)/~~~
まぁ理論的に考えて当たり前のことなのですが、一応試しておきました。
というわけで、度数を計算する時は、どちらのアンティシア(仮想上の天体)を使っても問題ないということです。

しかし、タイミングを考えるためのサイン・ハウス法は、スピードが速い天体のいるサインとハウスから考えます。ここでは水星ですね。
水星はしし座(固定サイン:遅い)、第8ハウス(サクシーデント・ハウス:真ん中)なので、

遅い + 真ん中 = 真ん中

真ん中の単位です。おっと!“単位のセット”を考えるのを忘れていました。
先程も考えましたが、「週、月、年」が候補ですね。そうすると、1.09ヶ月。

1ヶ月弱経った頃、アスカー(土星)と彼女(ロード6)の間に、何か悪い出来事が起こる可能性を表しています。
ただ、このアスペクトはアンティシア(仮想上の天体)へのイベント・アスペクトなので、表面化せず「隠れた」ところで起こるイベントなのでしょう。気づかないうちに関係が悪化したり、本人の気持ちの中でだけ関係が悪化したりするのかな?
アンティシアの持つ「隠れた」という意味が無関係で、単に関係が悪化するだけという可能性もないとは言い切れませんが、アンティシアの出てくるアスペクトでは「隠れた」という意味を持つ可能性の方が遥かに高くなります。
そうすると、1ヶ月後に何か密かに関係が悪くなるようなことが起こり、7ヶ月後に何か決定的に関係が悪化して辞めることになるのではないでしょうか。

【無関係】
9.月が主役の天体として登場した場合は、
・月の光のチェック
・炎の道(The via combusta)
10.恒星
11.アラビアン・パート

結論:雇うのは避けた方が良いでしょう。毎日出勤する可能性は低く、雇ったことを後悔しそうです。もし雇った場合、1ヶ月後に何か密かに関係が悪くなるようなことが起こり、7ヶ月後に辞める可能性が高いでしょう。
結果:辞めるまで、出勤している間はよく働いていた。1ヶ月後から当日欠勤が始まり、しばらくして頻繁になり、4ヶ月後くらいからトラブル続出、6ヶ月後に退社した。

この社長さん、結局面接に来た彼女を雇ったんですよね(´Д`)
この占いの意味は…(・∀・)

ちょっと心が折れそうになりましたが、気を取り直して見直しましょう。
まず、1ヶ月後から当日欠勤が始まったそうです。
直接口論したわけではないですが、「その時、失敗したかもしれないと思った」そうです。
なるほど。心の中で衝突したわけですね。
その後のトラブルの数々はちょっと驚くような内容でした。アスカーは彼女に振り回され、取引先を色々訪問する羽目に陥り、「最後の3ヶ月くらいは散々だった」そうです。
それから、彼女の起こしていたトラブルは、彼女の恋人(彼氏)も原因の一つになっていたそうです。
ほほう…「彼女の彼」ですか。彼女は、彼のことが好きすぎて、色々あったそうです。

ホロスコープを見直してみましょう。
水星がコンバストで、太陽からの影響を受けている状態。
しかも、水星の太陽に対するレセプションはマイ・サイン(大好き)です。
太陽はたぶん、彼女の彼を表していたのでしょう。
それが結果として、彼女のアクシデンタル・ディグニティにとってはダメージになっていたようですね。
これは最初占ったときにはわからなかったことですが、後から見直してみると、ちゃんと表示されていたんですね。

ただ、ロード6がコンバストしていても、いつも彼が登場するわけではないので気をつけてください。
太陽が何を表しているのかは、状況によって変わります。今回の場合、たまたま彼女の彼だった、ということです。
占いをしている時には、「太陽 = 彼」ということはさっぱりわかりませんでしたが、今振り返ってみても、その時に特定することは難しかっただろうし、特定する必要もなかったと思います。どちらにせよ、ダメージであることに変わりはありませんでしたからね!

そして、6ヶ月後?予想していたよりも1ヶ月早いですね。
なぜでしょうか?ホロスコープを見直してみましょう。

もし水星が逆行していたら、月と水星はお互いにアプローチしていることになるので、タイミングが少し早くなります。
しかしこのホロスコープを作った時、水星は逆行していません。

そうすると、たぶん、月のスピードですね。月のスピードが速かったから、タイミングが少し速くなったのでしょう。
月のスピードをチェックしてみます。
月は今、みずがめ座16.43度にいます。時間を進めて1日後に月のいる場所をチェックしてみると、うお座1.15度。

30 - 16.43 = 13.57(みずがめ座通過)
13.57 + 1.15 = 14.72度

月は1日で14.72度進んでいます。
(2、3) 逆行とスピードで説明したのですが、天体のスピード表をもう一度載せておきます。

《1度=100分の占星術ソフト》
      速い     遅い
月   13度50分 12度50分
水星  1度50分 1度
金星  1度18分 0度83分
火星  0度66分 0度50分
木星  0度16分 0度08分
土星  0度08分 0度03分

月が1日に13.50度以上進んでいる時は、スピードが速い時です。
このホロスコープでは、月は1日に14.72度も進んでいるので、かなり速いですね!
このため、7ヶ月ではなく6ヶ月になったのでしょう(^0_0^)

それから、彼女は休みがちではあったものの、出社している時はとてもよく働いていたそうです。仕事中にさぼるようなことはなかったんですね。アクシデンタル・ディグニティの悪さは、出勤日数にしか影響していなかったようです。