8.タイミング

2016/9/29 更新

アスカーの相談内容がイベントに関する場合、普通2つの意味が込められています。
 ・イベントが起こるかどうか
 ・起こるとすればいつ起こるのか
イベントが起こるかどうかについては、7.アスペクトで学んだように天体同士のイベント・アスペクトから判断します。
今回は「起こるとすればいつ起こるのか」、タイミングを判断する方法について学んでいきましょう。

【タイミングの判断方法】
 1.イベントが起こるまでの度数を見つける
 2.期間の単位を推測する
 3.「分」という単位の扱い方

1.イベントが起こるまでの度数を見つける

イベントが起こるタイミングは、アプローチしている天体がイベント・アスペクトするまでに進んだ度数から判断します。
例えば、5度進むとイベント・アスペクトするから5日後にその出来事が起こるだろう、と判断するのです。
では、実際にはどのように天体が進む距離(度数)を見つけるのでしょうか?
試しに金星と火星のアスペクトを考えてみましょう。
金星と火星の移動速度を比べると金星の方が移動速度の速い天体です。ただ、ホロスコープを作った時点によっては、その時たまたま金星がストップしていて火星がアプローチしている可能性もあるので、天体の移動速度はその都度必ず確認してください。ここでは金星の方が速い前提で話を進めます。
おひつじ座10度に金星、おひつじ座15度に火星がいて金星が火星にアプローチしているとします。金星は何度移動すると火星とコンジャンクションするでしょうか?計算してみましょう。

・金星と火星の現在の距離
 15-10=5度
・金星が火星とコンジャンクションするまでにかかる日数
 5 ÷ (1.1 -0.7) = 12.5日
・コンジャンクションするまでに金星が進む距離
 1.1 × 12.5 = 13.75度(14度くらい)

金星は14度進んだところで火星とコンジャンクションになり、この14度が、イベントが起こるまでの度数になります。
ただ、これはおおまかな計算なので、実際には占星術ソフトを使い、天体同士がイベント・アスペクトする度数を見つけ、そこまでに金星が進む距離を計算してください。

2.期間の単位を推測する

アプローチする天体の移動距離(度数)を調べた後は、期間の単位を決めることになります。
例えば、天体が5度移動するとイベント・アスペクトすることがわかった場合、その出来事が起こるタイミングを5分後、5時間後、5日後、5週間後、5か月後、5年後の中から選ぶのです。
期間の単位を決める方法は2つあります。

【タイミングの単位を決める2つの方法】
 1.常識法
 2.過去イベント法

1.常識法

イベントが起こるまでのタイミングを常識から判断する方法です。
常識法などと呼んでいますが、常識的にこれくらいかな?と推測するだけのことです。
例えば、イベント・アスペクトまでの度数が3度なら、「3日後くらいか3週間後くらいか…きっと3週間後くらいだろう」という風に、アスカーの話を聞きながら判断します。
「3日後か3週間後、遅いと3ヶ月くらい後になりそうです」という風に伝えることが多くなるでしょう。
タイミングの判断方法として以前はクラシック占星術の伝統的な方法、「サイン・ハウス法」を紹介していましたが、そちらは使用せず、アスカーの話を聞きながら常識的に判断してください。
ただ、気になるという方のために、このページの下の方で解説を載せておきます。

2.過去イベント法

ホロスコープには、将来の出来事だけでなく過去の出来事も同時に表示されていることがあります。
例えば、「2年つきあった彼と6日前に別れてしまったんですけど、まだ彼のこと好きだから、また戻れるかどうか知りたいんです。」
このような場合に、「最近別れてしまったばかり」という過去の出来事と、「これから戻れそう」という将来の出来事が同時にホロスコープに出ていることがあるのです。
このような場合には、過去のイベント・アスペクトまでの距離(度数)を計算しその出来事が起きた時期と対応させることで、将来の出来事が起こる時期を推定できることがあります。
先の例を占った時、アスカーを表す月がしし座10度、彼を表す土星がしし座7度、彼を表すもう一つの天体である太陽がしし座16度にいたとします。
ここでは説明を簡単にするために月以外の天体は止まっているものとして計算します。(実際には、必ず天体を動かしながら計算してください)
ホロスコープの時間を戻すと、月は土星としし座7度でイベント・アスペクトしていました。月は現在しし座10度にいるので、10-7=3度。3度戻ったところでイベント・アスペクトしていたことになります。
アスカーは6日前に彼と別れてしまったということなので、このイベント・アスペクトが6日前の出来事に対応します。そうすると、6日÷3度=2日/1度。このホロスコープでは1度が2日に対応していることがわかります。
そしてホロスコープの時間を進めると、月はしし座16度で彼を表す天体とイベント・アスペクトします。月は何度進むでしょうか?
16ー10=6度
6度進むことがわかります。1度=2日なので6度×2日=12日。
実際に彼と戻れるかどうかは天体のエッセンシャル・ディグニティ、アクシデンタル・ディグニティ、レセプション、一般常識などから判断しますが、12日後に彼と戻れる可能性がある、と判断することができます。

この過去イベント法は信頼度の高い方法です。
そのため積極的に使ってもらいたいところなのですが、この方法が有効な期間はせいぜい2週間程度、長くても20日程度です。
20日以上経ってから将来の出来事が起こりそうな場合、計算結果とタイミングがずれてきてしまうので、先に説明した常識法を使用してください。
実際にはこの過去イベント法を使う機会にはなかなか出会えないので、ほとんどの場合常識法を使うことになるでしょう。

3.「分」という単位の扱い方

タイミングについて、「時間」より小さな単位、「分」は計算できるのでしょうか?
実は小数点計算を取り入れることでこのような細かいところにも対応することが可能です。
例えば、天体がイベント・アスペクトするまでに進む距離が5.77度で、選んだ単位が「時間」の場合を考えてみましょう。5度の部分は5時間を表すので、残りの0.77度が問題になります。これを「時間」から「分」に直しましょう。
0.77 × 60 = 46.2分
大体46分に対応することがわかりました。
ただ、このような細かい数字は天体の移動速度が速い時や遅い時などにも左右されるので、そこまで信頼性が高いとは言いにくい方法です。確かに、驚くほど正確に出来事までの時間を表示することもあるにはありますが、あくまで常識的な範囲内で判断するようにしましょう。
基本的に、「分」は考えないようにした方が良いと思います。

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サイン・ハウス法(タイミングを求めるためのクラシック占星術の伝統的な方法)

【サイン・ハウス法:単位の決定方法】
 (1).アスカーの置かれている状況から3つの単位の組み合わせを考える
 (2).サインとハウスの組み合わせから単位を特定する

(1).アスカーの置かれている状況から3つの単位の組み合わせを考える

度数につけるタイミングの候補は6つあります。
短い方から、「分、時間、日、週、月、年」の6つ。
最初にアスカーの置かれている状況を考えながら、この中から可能性の高そうな隣り合う3つの単位を選びます。
例えば、「2年つきあった彼と3日前に喧嘩しちゃって。彼と戻れますか?」
天体が5度進むとイベント・アスペクトするところを判断したら、この5という数字に当てはまる可能性の高い単位を考えるのです。
2年もつきあっている彼なのだから…3日前なのだから…などなど、アスカーの話を伺いながら、それなら5日後か5週間後くらいかな、とまず大体の予測を立てます。
選び出す単位は隣り合う3つなので、「5時間後、5日後、5週間後」「5日後、5週間後、5ヶ月後」、「5週間後、5ヶ月後、5年後」などが候補となるでしょう。ここから常識的な判断で絞り込んでいきます。
このケースでは、まず5年後はあり得ないですよね。これは除外。次に、5時間後というのも…まぁ、可能性はあるかもしれないけれど、低いかな、ということで、一応除外します。すると、残る候補は「5日後、5週間後、5ヶ月後」になります。
このように絞り込んだ候補を用いて、次のステップへ進みます。

なお、アスカーの置かれている状況と質問によっては、迷わず1つの単位を選べることもあります。例えば、当日を除く1週間以内に彼に会うことが確実な時に5という単位が登場した場合には、5日後を選ぶことができます。この場合、次のステップは不要になります。

(2).サインとハウスの組み合わせから単位を特定する

3つの単位のセットを絞り込んだ後は、その中からある単位を選び出すステップに移ります。前の例では、彼と戻れるまでの候補は「5日後、5週間後、5ヶ月後」でしたね。さて、どのように単位を選ぶのでしょうか?
この単位を選ぶためには、移動速度の速い天体のいるサインとハウスに注目します

【単位の選び方】
 ◆ 計算式
  ・サイン + ハウス = 速い/真ん中/遅い
 ◆ サイン
  ・活動サイン(牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座):速い
  ・柔軟サイン(双子座、乙女座、射手座、魚座):真ん中
  ・固定サイン(牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座):遅い
 ◆ ハウス
  ・ケイデント(3,6,9,12):速い
  ・サクシーデント(2,5,8,11):真ん中
  ・アンギュラー(1,4,7,10):遅い

前のステップで選んだ単位のセットは「日、週、月」というように、隣り合う期間を表していました。これをそのまま「速い、真ん中、遅い」に対応させます。
「5日後、5週間後、5ヶ月後」の例では、5日が速い、5週間が真ん中、5ヶ月が遅いに対応します。
次に、移動速度の速い天体のいるサインとハウスに注目して、速い/真ん中/遅いのどの単位を選ぶか判断します。
サインは、活動サインが速い、柔軟サインが真ん中、固定サインが遅いに対応します。
ハウスは、ケイデントが速い、サクシーデントが真ん中、アンギュラーが遅いに対応します。
なお、ケイデントが速い、アンギュラーが遅いというのはJF式で、CL式ではこれが逆になり、ケイデントが遅い、アンギュラーが速いになります。
サインとハウスの速い/真ん中/遅いが判断できたら、その組み合わせを考えます。

【サインとハウスを用いた単位計算式】
 ・サイン(速い) + ハウス(速い) = 速い
 ・サイン(速い) + ハウス(真ん中) = 真ん中
 ・サイン(真ん中) + ハウス(速い) = 真ん中
 ・サイン(真ん中) + ハウス(真ん中) = 真ん中
 ・サイン(遅い) + ハウス(真ん中) = 真ん中
 ・サイン(真ん中) + ハウス(遅い) = 真ん中
 ・サイン(遅い) + ハウス(遅い) = 遅い

ご覧のように、ほとんどのケースが真ん中の単位に落ち着きます。極端なことはあまり起こらないよ、ということなのでしょうか。
例として、アプローチしている金星が固定サイン、サクシーデントにいるところを考えてみましょう。
遅い + 真ん中 = 真ん中
真ん中の単位になります。前の例では、「5日後、5週間後、5ヶ月後」から5週間後を選ぶことになります。