3.サイン

2020/8/8 更新

ホロスコープの一番外側に、12種類の記号によって表示されているものがサインです。
牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座の12サインが存在します。

星座とサインの違い

牡羊座、牡牛座…と聞くと、夜空で見えるあの星座ね、と考える方もいらっしゃると思いますが、実際に見える星座と占星術のサインは異なります。
実際の星座を見てみると、どの星座も大きさが違いますよね。
例えば、牡羊座や蟹座は小さい星座で、乙女座や蠍座は大きい星座です。
一方サインを見てみると、サインは大きさが均等で1つのサインがちょうど30度ずつになっています。
このように、ホロスコープに表示されているサインは実際の星座とは異なります。
それでは、星座と同じ名前を持つサインとは一体どのように決められ、何を意味するのでしょうか。

サインシステム

1つのサインは30度になります。
どのように決めているのでしょうか?
毎回適当に決めているわけではもちろんありません。
太陽の通り道である黄道の、ある特定の場所を起点にして、黄道を等分に分割しています。
このとき、起点となる場所を牡羊座0度と定め、牡羊座、牡牛座、双子座と続くようにサインを設定しています。
黄道のどこを牡羊座0度にするかで意見が分かれており、現在2つの方法があるため、その違いを区別するためにサインシステムという言葉が存在します。
それでは、サインの始まる場所はどのように決めているのでしょうか。

サイデリアル

「え? サインの始まる場所ですか? それはやっぱり、目印になる星があるのではありませんか? 空を見上げて、あ、あの星が牡羊座の始まりの星だから、そこから30度ずつ切っていこうと決めているのでは?」
正解です。その通り。
占星術が生まれた頃、紀元前5,000年頃になるようですが、当時、実星座牡羊座付近に、アスペクトと呼ばれる星団(もしくは星雲か連星ですが、以下、星団とします)が輝いていたようです。
そして占星術を使う人たちは、アスペクトの位置からサイン開始点を知っていたのです。
ところが月日が流れ、現在このアスペクトは見えなくなってしまったようです。
地球から観察できる恒星や星団などは現在も移動していて、地球から遠ざかっていく星、近づいている星など様々ですが、長い月日を経てアスペクトは地球から遠ざかり、見えなくなってしまったようなのです。
しかし、アスペクトは今も存在しています。
現在、牡羊座のひじの近くに、望遠鏡でも見えないほど遥か遠く彼方にアスペクトは今も存在し、牡羊座の開始点として見えない輝きを放っています。
占星術のサインの開始点、すなわち牡羊座の0度は、この見えないアスペクトから始まります。
そして、このようなサインの決め方をサイデリアルと呼んでいます。
朝比奈式では主にサイデリアルを用います。
詳細はサイデリアルの使い方を参照してください。

トロピカル

元々占星術では、サイデリアルが唯一のサインシステムでした。
しかし、恐らく西暦8世紀前後から、占星術ではトロピカルと呼ばれるもう一つのサインシステムが使われるようになりました。
クラシック占星術でもモダン占星術でも現在の主流はトロピカルであり、広く用いられています。

トロピカルでは、牡羊座の開始点として春分点を使います
春分点とは、太陽が通る黄道と、天の赤道との交差点を指します。
とても簡単に言うと、太陽が、お昼と夜がちょうど同じ時間になる場所を通過する、その地点のことです。
例えば、日本では冬はお昼が短いですよね。そして春に向かうにつれて、少しずつお昼が長くなっていきます。
そしてある地点に来たとき、ちょうどお昼と夜の長さが同じになります。
我々はお昼と夜の長さがちょうど同じになる日を春分の日と呼んでいますが、占星術ではもう少し細かく、春分の瞬間までこだわっていて、その瞬間を春分点と呼ぶのです。
そして春分点を牡羊座0度と定め、黄道を30度ずつ均等に分割してサインを作ります。

サイデリアルとトロピカルはこのように牡羊座0度の設定方法が異なるため、もちろん牡羊座0度の場所も異なります。
トロピカル牡羊座0度は2020年現在、サイデリアル魚座4度付近に対応しています。
今、「私は牡羊座です」と考えている方は、サイデリアルでは大部分の方が魚座になるということです。

サインが表す2つの意味

ホロスコープに表示されている天体は必ず12サインのどこかにいて、以下の意味を持っています。

【サインの2つの意味】
1.サインのカテゴリー (備わっている性質)
2.レセプション (他の天体に対する態度)

サインのカテゴリーは、その天体が現在特別な性質を備えているかどうかを表します。
例えば、火のサイン、地のサインなどが存在しています。
レセプションは、その天体が他の天体に対してどのような態度でいるのかを表します。
好き嫌い無関心といった要素を用います。
詳細はそれぞれの項目で解説します。