5-2.コンバスト類

2016/12/15 更新

**************************************
※このページにはアスペクトなどの単語が登場するので、第1部が終わってから見直してみてください。
**************************************

ここではコンバスト、サンバーン、カズミ、太陽とのオポジションについて解説します。

1.コンバスト

【コンバスト】
 1.コンバストは天体に対する強いダメージ
 2.コンバストの条件:太陽の左右7度30分以内+同じサイン
 3.悪い状態が悪化するのか、改善するのか
 4.太陽とのコンジャンクションが望ましいイベント・アスペクトの場合はダメージを無視する
 5.天体がマイ・サインかイグザルテーションにいる時はコンバストのダメージを受けずに済む
 6.コンバストについての諸説

1.コンバストは天体に対する強いダメージ

アクシデンタル・ディグニティの要素はいくつかありますが、その中でもこのコンバストは天体に対して最も悪いダメージになってしまう要素です。
コンバストしている天体によって表される物/事/人物は、基本的にはひじょうに悪いコンディションにあると判断します。
例えば、風邪で寝込んでいたり、仕事が忙しすぎて他に何もできなかったりといったような状況が当てはまるでしょう。

2.コンバストの条件:太陽の前後7度30分以内+同じサイン

天体がコンバストになるのは、天体が太陽の前後7度30分以内にいて、さらに太陽と同じサインにいる時です。
太陽と同じサインにいる必要があるのは、サインの境界線が強い壁になっているため、コンバストの影響がそこで遮られるためです。

以前コンバストの条件について「太陽の左右8度30分以内+同じサイン」と説明したことがありました。
これは太陽のオーブについての見解の相違から来ています。
太陽のオーブについては諸説あり、15度を主張する人たちと17度を主張する人たちに分かれます。そして、15度の半分は7度30分になり、17度の半分は8度30分になります。
それで以前は8度30分の方を採用していたのですが、太陽のオーブは15度の方が正しいと思うようになったので、現在は7度30分を採用するようになりました。
ただ実感としては、どちらでも別に大差ないよね、というところです。
太陽の近く、7、8度くらいまでのところがコンバストだよね、と覚えておけば十分です。
それに、そもそも本当に太陽のオーブは関係しているのでしょうか。
太陽のオーブは前後15度なのでコンバストも前後15度…ならば関係あると思うのですが、コンバストの範囲は生憎とその半分の7度30分です。
不思議です。単に太陽の近くにいるとダメージになるというだけの話ではないでしょうか?

3.悪い状態が悪化するのか改善するのか

天体が太陽の近くにいたら、天体がこれから太陽に近づいていくのか離れていくのかチェックしてください。
天体が太陽に近づいていたら、これからコンバストのダメージがひどくなることを表し、太陽から離れていこうとしていたら、これからコンバストのダメージが消えていくことを表します。
コンバストは、これからひどくなるかどうかという点が最も重要なポイントです。
基準は太陽との近さで、太陽とオーブ1度のコンバストの方が、太陽とオーブ7度のコンバストよりもひどいダメージを表します。

ホロスコープを作った時にアスカーを表す天体がコンバストしているかコンバスト付近にいたら、太陽とアプローチしているのかセパレートしているのかを確認してください。
太陽にアプローチしている場合、これからコンバストのダメージがひどくなるということで、つまりこれから状況が悪くなることを表します。
そのため多くの相談内容では、「その行動はしない方がいいよ」という一般的な表示になります。
例えば、「転職をして良いかどうか」「引越しはどうか」「旅行はどうか」など、アスカーがある行動を検討している時には、その行動はしない方が良いですよ、という表示になることが多いのです。
いつもというわけではないのですが、例えばこういう時にアスカーを表す天体がコンバストして太陽にアプローチしている場合は、もうアスクトを表す天体を考慮しなくて良いことがちょくちょくあります。
「コンバストを使ってこんなにわかりやすく表示してるんだから、アスクトを見なくても判断できるでしょ? このコンバストを使って判断してね」という感じになるのでしょうか。
なお、相談内容によってはアスクトを表す天体からでも同じように判断できることがあります。

少し話がずれますが、ここはホラリーの少し難しいポイントではないかと思います。
ホラリーでは基本的に全ての要素によって結果が表示されるのですが、このようにある一部の要素だけで結果が表示されるケースがちょくちょく登場するのです。
ホラリーを学び始めたばかりの頃は、この辺りの判断は難しいでしょう。
ただ、アスカーを表す天体のコンバストは比較的よく見る要素です。たぶん、これだけで結果を判断しても良いケースは少なくないと思います。

では次にコンバストから離れていこうとしている時について説明しましょう。
ホロスコープを作った時、アスカーを表す天体がコンバストからセパレートしていくところを見かけることがあります。
これはアプローチの時とは逆の表示になり、「その行動はお勧め」という意味に解釈できることが多いでしょう。
「いつ転職活動を始めるといいですか?」というように、何かしら行動に良いタイミングを相談されているような場合は、太陽から大体8度程度離れる頃を見計らうという方法も使えるでしょう。
例えば、今太陽から5度離れている場合は、8-5=3度なので、例えば3週間や3ヶ月後くらいが目安にできそうですよ、という具合になります。
ただ、太陽から1度しか離れていなかったとしても、「すぐに行動しても大丈夫」ということも結構あるので、どちらの意味で解釈する方がよいのかアスカーと話しながら判断してください。
なお、アスカーを表す天体ではなくアスクトを表す天体がコンバストからセパレートしていても同じように判断できることもあります。

4.太陽とのコンジャンクションが望ましいイベント・アスペクトの場合はダメージを無視する

太陽が主役の天体として登場した場合は、コンバストの持つダメージという意味を無視することができます。
例えば、「仕事は決まる?」という質問で、アスカーを表す天体が仕事を表す天体である太陽とコンジャンクションしようとしていたら、アスカーを表す天体がコンバストになろうとしているのですが、それでもこの時はダメージを考えなくて良い、ということです。

5.天体がマイ・サインかイグザルテーションにいる時はコンバストのダメージを受けずに済む

天体が、その天体にとってのマイ・サインやイグザルテーションにいてコンバストしている時には、コンバストによるダメージは受けずに済むでしょう。
例えば、金星がふたご座でコンバストしていれば金星はダメージを受けることになりますが、もしおうし座やてんびん座、うお座にいる時にコンバストしていてもダメージを受けないだろうと判断できるのです。
これは天体がマイ・サインやイグザルテーションのサインにいることによって太陽を「支配している」ために起こる現象です。

6.コンバストについての諸説

ここで挙げた意味の他にも、コンバストについては諸説あります。
これから解説していきますが、僕自身はどれも誤りではないかと考えています。
コンバストについては、ここまでに説明した意味だけを使用してください。

6-1.「見えない」という意味を持つことがある

コンバストしている天体は、「周囲から見えない状況にある」と解説されることがあります。
例えば、探し物を表す天体がコンバストしていたら「見えないところにある」と判断したり、ある人物を表す天体がコンバストしていたら、「周りから見えない」、あるいは、「周りが見えなくなっている状況」を表している、と解釈するという考え方です。

6-2.火星はコンバストによってダメージを受けない

伝統的には、太陽も火星も火の属性に分類される天体です。
そこで、「火星はコンバストによって太陽からダメージを受けることがない。なぜならどちらも火の属性を持つから」という考え方です。

6-3.うっとりコンバスト

「コンバストしている天体の表す人物が、太陽の表す物/事/人物に強く惹かれていることがある」という考え方があります。
例えばロード1が土星、片想いの彼が太陽で土星がコンバストしている時、このコンバストは「アスカーが彼からダメージを受けていること」を表すわけではなく、「彼に惹かれていること」を表している、と考えるのです。

2.サンバーン(日焼けでアッチッチ)

コンバストは天体にとって強いダメージを受ける場所でしたが、コンバストのすぐ外側の場所もコンバスト程ひどくはないものの天体にとってダメージを受ける場所に当たります。
この場所は「アンダー ザ サンビームズ(Under the sunbeams)」と呼ばれていて、コンバストの範囲が終わる所から太陽の前後17度30分までの範囲が該当します。
名前が難しいですね。このサイトでは「サンバーン」と呼びましょう。
サンバーンの場合、コンバストとは異なり天体が太陽と同じサインにいる必要はありません。
理由はよくわかりません。太陽の強いダメージだけは絶対の壁であるサインの障壁もある程度は通過できるということでしょうか。
同様に、太陽から7度30分以内にいるものの太陽とは異なるサインにいる天体もサンバーンの状態にあると見なされます。
例えば、火星がおとめ座29度、太陽がてんびん座1度にいる場合が該当します。

3.カズミ(太陽の左右17分30厘以内+同じサイン)

「カズミ(Cazimi)」は「太陽の心臓の中」という意味を持つ言葉で、「王の腹心、王に最も近い者」を指し、転じて「最も権威を持つ者」を意味しています。
「太陽から8度くらいの範囲にいる天体はコンバストになりダメージを受けるが、太陽に極めて近い場所にいる天体はカズミと呼ばれ、コンバストとは真逆の意味になり最高の状態になる。」
これがカズミと呼ばれる状態で、カズミになるためには、天体は太陽と同じサインにいて太陽から17分30厘以内にいる必要があります。17分30厘は1度にも満たない非常に狭い範囲ですが、太陽の直径に関係があるようです。太陽の直径は大体35分なのでこの直径を2で割れば左右17分30厘になります。即ち太陽の直径と重なっている場所がカズミになるのです。
実占の中では、カズミにいる天体は何しろ最高の状態なので、あれこれ成し遂げやすくなる、と解釈できるでしょう。
それにしても、最高の状態ってどういう状態でしょうか。なぜか解説されていないのですが、アクシデンタル・ディグニティが最高になるのでしょうか、それともエッセンシャル・ディグニティが最高になるのでしょうか、それともその両方でしょうか。謎です。

ホロスコープを作った時コンバストしている天体が太陽に近づいている時、その天体はカズミになるのでしょうか?
例えば水星がやぎ座1度にいて太陽がやぎ座3度にあり、水星がこれから太陽とコンジャンクションするようなケースです。
このような時は基本的に「天体が現在コンバストでこれからカズミになる」と考えることはありません。重要なことはホロスコープを作った時にカズミであったかどうかです。
しかし、稀に天体がコンバストからカズミになるケースが存在するようです。
つまりホロスコープを作った時にコンバストしていた天体が移動していくことでその天体が一時的にカズミの状態になり、その後またコンバストの状態に戻るということです。
この場合、その天体がマイ・サインやイグザルテーションのサインにいる必要はありません。見分ける基準も不明です。要するに結果から判断する以外に方法がないようなので…、えーと、どうしようもありませんね。
また、「現在カズミの天体がこれからコンバストになって悪い状態になる」という風に考えることはありません。カズミはカズミのまま、良い状態のままです。ただ、カズミは非常に狭い範囲のせいなのか最高の状態が長続きしない性質を持っているようです。

ただし、カズミについて僕自身は、そもそもこの考え方自体が迷信なのではないかと考えています。
つまり、カズミなるものは基本的に存在しないのではないかと考えています。
カズミは6、7世紀前後のアラブで考案された新種の技術らしいのですが、当時の天文学の観測技術が、望遠鏡も発明されていない時代の天体観測の技術レベルが、果たして17分30厘という1度にも満たない角度を正確に観測できていたのか相当に疑問です。有名なガリレオ・ガリレイが望遠鏡を発明したのは1600年代の話ですよ?
クラシック占星術の文献を読んでいても、現代のコンピュータで計算した天体の場所が、文献に記されている天体の場所と1度ズレることは別に珍しいことでも何でもなく、5度以上ずれることだってしょっちゅうですが、それを考えると17分30厘という数字はどうなのかな、と思うのです。
恐らく、「どうだこれ、こんな難しいことできるんだぞすごいだろー」的な、そういう感じで作られたものだろうと思っています。
また、カズミの度数を「17分30厘」と説明しましたが「16分」とする説もあり研究者の多くはそちらを支持しています…が。
ちょっと待って、1分30厘って何ですか?もう20世紀の技術を以ってしても結構怪しい感じが出始めてますけど…という、率直に言って、現実をちゃんと見ようよ夜空観てもわからないでしょそんな違いという世界の議論です。前提が成立していないと思います。
ただ、基本的にカズミは存在しないとは思うのですが、ごく稀に、当てはまってしまうケースがあるのかもしれないな、とは思っています。
一応、観察は続けていこうと考えています。

4.太陽とのオポジション

クラシック占星術では伝統的に、太陽とのオポジションは他の天体とのオポジションよりも強いダメージを受ける、と考えられています。
以下に以前書いた伝統的な説明を載せますが、この内容は当てはまらないでしょう。オポジションはコンバストとは異なります。太陽とのオポジションは、他の天体とのオポジションと同様に考えてください。

◆ 太陽とのオポジション(伝統的な考え方)
天体が太陽の正反対の場所にいる時にも、コンバスト程ではありませんがその天体は強いダメージを受けてしまいます。
強いダメージを受ける範囲は太陽の正反対の場所の前後8度程度です。
これは何が言いたいのかというと、太陽って強い天体だから、オポジションしている時もダメージがひときわ大きいんだよ、ということです。
例えば、火星が土星とオポジションしていたら、このオポジションからのダメージはちゃんと受けるのですが、太陽とオポジションしていたら、もっともっとずーっと強いダメージを受けてしまうんですよ、ということです。
なお、オポジション付近の場所にはカズミのような場所はないそうです。