1.トランジットとは

2016/2/4 更新

トランジットとは、「ある特定の・指定された日時の天体配置(ホロスコープ)」のことです。
他にも「運勢の占い」という意味がありますが、順番に説明しましょう。
トランジットについて説明する前に、まず「ネイタル」という言葉を説明しておきます。

【ネイタルの意味】
 1.運勢の占い
 2.出生図のホロスコープ

「ネイタル」という言葉には、ある人の運勢の占いと、ある人の出生図のホロスコープという、2つの意味があります。
運勢の占いとは、ある人の運勢を判断する方法。
出生図のホロスコープとは、ある人が生まれた瞬間のホロスコープのことです。
この2つは文脈によって使い分けられています。
では、トランジットとは何を指しているのでしょうか。

【トランジットの意味】
 1.ある日時の天体配置(ホロスコープ)
 2.ネイタル占星術で登場する運勢の占い方

1.ある日時の天体配置(ホロスコープ)

ある特定の日時の天体配置をトランジットと呼びます。
例えば、「2014年4月4日12時12分のトランジット」といえば、この日時のホロスコープのことを指しています。
ホラリーで何かを占うときには、いつもある特定の日時を使ってホロスコープを作っていますよね。
これも、ある意味ではトランジットのホロスコープと呼べるでしょう。
占星術師が質問を理解した瞬間のトランジットのホロスコープを、ホラリーのホロスコープとして使用しているのです。

2.ネイタル占星術で登場する運勢の占い方

トランジットの元々の意味は、今説明したようにある特定の日時のホロスコープのことです。
例えば、「2015年5月5日10時10分のトランジット」と言えば、「2015年5月5日10時10分のホロスコープ」を指しています。
しかし「トランジット」という言葉は、多くの場合、ネイタル(出生図)のホロスコープと比較するための、ある日時のホロスコープを指しています。ホロスコープを2枚比べて運勢を占っていますよ、という意味で使われることがあるのです。
例えば、「涼宮さん(2003年6月10日生まれ)の、2015年5月5日のトランジットを見る」という言葉は、「涼宮さんのネイタル(出生図)のホロスコープと、2015年5月5日のトランジットのホロスコープを比べて、運勢を判断する」という意味で使われています。

本来、トランジットのホロスコープと比べる対象のホロスコープはネイタル(出生図)のホロスコープだけに限らず、ホラリーのホロスコープ、あるいは国家の出生図のホロスコープなどがあります。
それでも現在、トランジットという言葉は比較対象のホロスコープがネイタル(出生図)の場合に最もよく使われています。

※ここからは「ネイタル(出生図)のホロスコープ」を「ネイタル(出生図)」、「トランジットのホロスコープ」を「トランジット」と略します

ここで広く「トランジット(法)」として知られている、ネイタル(出生図)とトランジットを比べて運勢を占う方法を見てみましょう。
例えば、2000年1月3日15時20分生まれの人の2005年8月8日の運勢を占いたいとします。
この場合、2000年1月3日15時20分のネイタル(出生図)と、2005年8月8日のトランジットを比較します。
ネイタル(出生図)と比べる時はトランジットの正確な時間は特に必要ないので、適当にお昼頃の時間を使ったりします。(ただし、正確な時間が必要という説もあります。この辺りは様々な説があります。)
そして、例えばその日の健康運について知りたい時には、ネイタル(出生図)のロード1(その人を表す天体)にトランジットの天体が良い関わり方をするのか、それとも悪い関わり方をするのかチェックして、その日の健康運を判断するのです。
エッセンシャル・ディグニティの良い天体がアスペクトすれば良いと判断し、エッセンシャル・ディグニティの悪い天体がアスペクトすれば悪いと判断したりします。
他にも、お金についてならロード2、兄弟姉妹についてならロード3というように天体を選び、後は同様に判断していきます。

このように運勢を占うことができるトランジット法ですが、これはそのままネイタル(出生図)を使うエレクショナル(時期選定)に応用することができます。
例えば、もし旅行に良い日を選ぶためには、ネイタル(出生図)のロード9(旅行を表す天体)に対するトランジットの天体の影響が良い日を選びます。
トランジットのエッセンシャル・ディグニティの良い天体とアスペクトする日や、トランジットの☊ノース・ノードと☌コンジャンクションする日が候補になるでしょう。

このようにネイタル(出生図)と比べることの多いトランジットですが、ホラリーのホロスコープと比べる方法もあり、それが今回のテーマです。
この方法では、ホラリーのホロスコープとトランジットのホロスコープを比較して、質問に関連した適切な時期を選んでいきます。
例えば、旅行に良い日を選ぶためには、ホラリーのロード9(旅行を表す天体)に対してトランジットのエッセンシャル・ディグニティの良い天体がアスペクトする日を選んだリします。

なお、ホラリーのホロスコープとトランジットを比べるときには、トランジットの天体の変化にも注意します。
これはホラリーのエレクショナル独特の考え方になると思いますが、トランジットの天体がホラリーのハウス・ルーラーの役割をそのまま保持していると考えるためです。
言い換えると、トランジット天体の役割を考える時は、つまりハウス・ルーラーとしての役割を考える時には、ホラリーチャートを元にするのです。
例えば、ホラリーのホロスコープでロード9(旅行を表す天体)が♀金星の場合、トランジットの♀金星もロード9の役割を持っていると考えます。
つまり、実際にはトランジットのホロスコープで♀金星がロード9ではなくても、例えばロード2やロード3だっとしても、ホラリーのホロスコープと比較している時には、トランジットの♀金星も常にロード9と考えて占いを進めるのです。
そのような理由から、例えば旅行に良い日を選ぶならば、ホラリーの♀金星にトランジット天体から良い影響がある日を選ぶだけでなく、トランジットの♀金星が良い状態になる日を選んだりします。

実際に占う時は、ホラリーのホロスコープとトランジットのホロスコープ、2枚のホロスコープを並べて比較します。
ホラリーを見て、トランジットを見て、またこっちを見て…と何度も視線を行き来させて見ていくのです…が、占星術ソフトの中には該当日のトランジットのホロスコープをホラリーのチャートに重ねて表示することができる便利なものもあります。下に掲載します。
真ん中の円がホラリーのホロスコープ、外側の円がトランジットになっています。
いわゆる三重円と呼ばれるものですが、占星術ソフトをお持ちでない方はホロスコープを並べて比べても良いと思います。

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