2015/1/21 更新
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このページのホロスコープの解説は、ホラリーを使ったエレクショナル(時期選定)になっています。
ホラリーのホロスコープを使ったエレクショナルについては他にも方法があるので、第2部の最後の方で解説します。
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ある日のこと、某ランドのお城を使ったショーを観たいというご相談がありました。
アスカーは既に現地にいるそうで、時間は午後3時半頃。
ショーは一日に2回、夕方と夜にあり、ショーを観るためのチケットは抽選制なので、当たれば指定席に座って観ることができるし、外れると遠くから観るしかありません。
また、チケットの抽選は一日に一回しかできないので、夕方と夜どちらかのショーにしか応募することはできません。
抽選用の専用機が何台も用意されているので、抽選はいつでもできるそうです。
「いつ抽選に行けばいいですか? それから夕方と夜どちらのショーに応募すればいいですか?」
占いの流れ
1.質問をよく聞く
・誰が、質問しているのか?
・デフォルト・オプション(起こる可能性が高いこと)を特定する
質問している人はアスカーですね。
デフォルト・オプションはよくわかりませんが、色々な人からお話を聞いたところ、外れた人ばかりだったので、当たりにくいのかもしれません。
2.ハウスを決める
・何が、質問されているのか?
ショーのチケットについて質問されています。
うーん、要するに、アスカーはショーを観たいわけですよね。
ショーは「楽しいこと」なので、第5ハウスです。
「ショーのチケットだから…第7ハウス(運営者)からの2番目(チケット)で、ロード8(7+2-1=8)」と考えてしまうかもしれませんが、質問の焦点から外れていると思います。
チケットは欲しいのですが、チケットが目的ではなく、ショーが観たいのです。
そこで、第5ハウスを使います。
3.ルーラーを決める
・今回の占いで使用する天体を特定する
・ハウス・ルーラー
アスカーを表す天体は、ロード1と月なので、水星と月になります。
ショーを表す天体は、ロード5なので水星になります。
水星がダブってますね。困りました。
こういう時には、質問に戻り、この質問ではどちらのハウスが重要かを考えます。
そして、より重要なハウスを優先するのです。
この質問では…アスカーもショーもどちらも大切です。困りましたね(@_@;)
しかし、僕たちにはまだ月が残っています。
アスカーを表す天体とアスクトを表す天体が同じ天体になってしまった場合、基本的には、「アスカーを表す天体は月だけ」と考えます。
月を、「アスカーのサブ・ルーラー」としてではなく、「アスカーを表す主役の天体」として考えるのです。
アスカーを表す天体:月
ショーを表す天体:水星
・ナチュラル・ルーラー:なし
・文脈ルーラー:なし
4.エッセンシャル・ディグニティ
ショーが楽しいかどうかを質問されていれば、関係があったかもしれませんが、質問の焦点は、「ショーを観れるかどうか」です。
そのため、エッセンシャル・ディグニティは無関係になります。
5.アクシデンタル・ディグニティ
うーん、もしかすると、関係あるかもしれませんね。
ちょっと見てみましょう。
・星座のカテゴリー:無関係
・ハウスによる強弱:無関係
・天体のスピードと、進む方向(逆行、ストップ):無関係
・コンバスト、サンバーン、太陽の正反対
水星はサンバーン(日焼けでアッチッチ)にいますね。
ふむふむ。日焼けで苦しんでいるショーでしょうか?
もちろんそんなことはありません。質問にも状況にも無関係ですね。
・天体からのオーブ・アスペクト(サンド、またはアスペクト・サンド):無関係
・月のノード
第5ハウスにノース・ノードがいるので、もし質問が、「ショーは楽しいですか?」というものだったならば、楽しい可能性が高くなります。
しかし、ここでは質問にも状況にも無関係です。
・恒星(レグルス・スピカ・アルゴル)
月がスピカ(てんびん座24度)とコンジャンクション(0度、同じサイン)しています。
そのため、月のアクシデンタル・ディグニティが少し上がります。
アスカーは行動力があるみたいですねっ…って、そんなことはアスカーの状況を考えれば、わかりきったことです。
・月のボイド
おっと!今回のホロスコープは、月がボイドにいるようです。
月はてんびん座の25.60度にいますが、この後、どの天体ともアスペクトをせずにサインを通過してしまいます。
月のボイドについては、「月がボイドにいる時、ホラリーで占うことはできない」という誤解があるようです。
そこで、この月のボイドを気にする方もいるかもしれませんが、このまま進めてみましょう。
どんな結果になるでしょうか(*^_^*)
・ジョイ:無関係
6.レセプション(好き嫌い、関心)
レセプション(好き嫌い、関心)は、ショーと関係があるでしょうか?
もしかすると、ショーがアスカーのことを大好きならば、当たる可能性が上がるかもしれませんが、男女関係のホラリーではありませんからね。
関係は薄いでしょう(^_^;)
7.アスペクト
アスペクトは大切です。
もしアスカーを表す天体とショーを表す天体がアスペクトすれば、ショーが観れることを表します。
月は今てんびん座の25度にいて、先ほど見たようにボイドなので、この後どの天体ともアスペクトをせずにてんびん座を通過してしまいます。
アリャー!?ショー観れないかなこれ??( ゚Д゚)
うーん、しかしもう一度よく見なおしてみましょう。
月はてんびん座を通過した後、さそり座に入ってすぐに、水星とセクスタイル(60度、2つ隣のサイン)になります。
次のサインに入ってすぐにアスペクトする時、そのイベントは起こる可能性が高くなります。
※参照
・(11) 月のボイド
・色々なアスペクト
時間を進めていってみると、さそり座0.83度で水星とアスペクトするようです。
月は何度進んだのでしょうか?
30 - 25.60 = 4.40(てんびん座を通過)
4.40 + 0.83 = 5.23
5.23度進むと、水星とアスペクトします。
これはかなり前向きな結果と言えそうです。
アスペクトしますね!
7ー2.タイミング
アスペクトしたので、次にタイミングを考えます。
“単位のセット”は、この状況では「分」しかありえません。
もし「時間」とすると、抽選に行くのが約5時間後、20時半頃になってしまい、「夜のショーが始まる直前なので抽選は既に終わっているはずです。」
そうすると、5.23度なので、5分ちょっと後ですね。
ところで、このアスペクトは、月がサインを変わった直後のものですね。
ふーむ…何か、状況が変ったりとか、そういうことってありましたっけ?
もう一度質問を見てみましょう。
「夕方と夜のどちらのショーに…」
おおっ!答は出たようです(≧▽≦)
夜のショーが良さそうです。サインが変わった直後ですからね。
もし、月がてんびん座にいるうちに水星とアスペクトしていたら、夕方のショーをお勧めしていたところです。
ホロスコープはサインの壁を使って、夕方と夜の境界線を表していたのでしょう(^^)/
8.アンティシア(仮想上の天体):なし
9.月が主役の天体として登場した場合は、月の光のチェック
今回のホロスコープでは、月はアスカーを表す主役の天体です。
何しろ水星がアスクトだったので、アスカーを表す天体が月しかないためです。
そうすると、もし月の光がほとんどない状態であったとすれば、「アスカーには行動する意思がない」可能性があります。
月と太陽の位置を見てください。
月は天秤座の25.60度、太陽はいて座の25.22度にいるので、大体60度くらい離れていますね。
まずまず光はありますが、月は大体「60度分」くらいは光がないと、アスペクトしてもイベントを発生させられないことがあります。
今はちょうど60度くらいなので、この先光が増えていくのか、減っていくのかは大切な分かれ目です。
60度分より光が減った状態で水星とアスペクトしても、もしかすると「イベントが発生しない = 抽選しない」可能性があるためです。
月は太陽に近づいているのでしょうか、それとも離れていくのでしょうか?
ホロスコープを見てみると、月は太陽に近づいていくので、これから光が少なくなっていく(新月に近づいている)ところです。あまりよくありませんね。
…しかし、「アスカーの置かれている状況」をよく考えてみましょう。
アスカーは、「いつ抽選に行けばいいかなー」と考えている最中で、しかも「抽選台の近くにいる」そうです。
「アスカーの行動する意思」なんて、関係あるでしょうか?
こういう場合なら無視して大丈夫。無関係です。
・炎の道(The via combusta)
月は、炎の道(月の嫌いな場所、てんびん座15度~さそり座15度)にいます。
月が炎の道にいるとき、アスカーの心が傷つき、苦しんでいる可能性があります。状況によっては。
今回のケースでアスカーが傷ついて苦しんでいる…可能性は、もうおわかりの通り皆無です。
ランドではしゃいでいる上に抽選に当たりたいんですとドキドキしている人に、「あなたは今、とっても心が傷ついているのね…」なーんて、間違っても言わないでくださいね(^.^)
10.恒星
おーっと?
アセンダント(Asc)はふたご座10.84度。
ここには、アルデバラン(ふたご座10度)がいますね。
アルデバランは、「何かの始まり」を表す恒星ですが、ここではもちろん無関係です。
ただ、月(てんびん座25度)がスピカ(てんびん座24度)に近いですね?
スピカはハッピーな星です。もしショーが観れたらハッピーなので、スピカならこの質問に関係がありますよ!
これは、もしかしたらハッピーなことがあるかも…(^ω^)
11.アラビアン・パート:無関係
結論:5分ちょっと後で、夜のショーの抽選をしてみてください。
結果:5分後に抽選に行って夜のショーに申し込んだ。当たった、観れた、楽しかった。
後日、とても喜ばれました(*^_^*)
さらに一歩進んで…天体の選び方(難易度:高)
今回のホロスコープでは、アスカーを表す天体:月、ショーを表す天体:水星として占いを進めました。
しかし、「アスカーを表す天体だって大事。だからアスカーを表す天体として水星を使う!」という考え方も間違いとは言えません。
今回のホロスコープを見たとき、僕はすぐにアスカー:月、ショー:水星と考えて占いを進めてしまいましたが、ショーを表す天体として水星以外の天体を使うという考え方もありえると思います。
ちょっと本筋から外れますが、勉強のために考えてみましょう。
第5ハウス・カスプはおとめ座ですよね?
おとめ座の次のサイン、てんびん座の支配星である金星が、ショーを表す天体になります。
このように、主役の天体が同じ天体になってしまった場合(アスカーとアスクトを表す天体が同じになってしまった場合)は、アスクトを表すハウス・カスプの、次のサインの支配星を、アスクトとして使用します。
※ハウス・ルーラーとは参照
基礎編で説明しきれなかったことですが、アスカーとアスクト、どちらのサインの次のサインの支配星を使うかは、実はしっかり決まっているわけではありません。
「質問の中で重要な天体をそのままにする」と、一応決まってはいるのですが、アスカーを表す天体として次のサインの支配星を使っているケースを、僕は見たことがありません。
アスクトを表す別の天体を探す、と覚えておいてほぼ間違いないと思います。
さて、そのようなわけで、第5ハウス・カスプがあるおとめ座の次のサイン(てんびん座)の支配星である金星を、ショー(アスクト)を表す天体として使いましょう。
この方法でも占うことはできそうですが、結果は変わりました。
天体を整理しましょう。
アスカーを表す天体:水星、月
ショーを表す天体:金星
アスカーを表す天体とショーを表す天体のアスペクトを考えます。
まず、水星と金星のアスペクトから。
時間を進めていくと、この2つの天体はイベント・アスペクトせずに、離れていきます。
水星は金星に近づくのですが、逆行してしまい、イベント・アスペクトしないのです。
そこで、月と金星のイベント・アスペクトを考えます。
月は、まず水星とアスペクトした後、さそり座9.63度に進んだところで金星とセクスタイル(60度、2つ隣のサイン)になります。
「水星とのアスペクトが、金星とのアスペクトの妨害になっている」と考えてしまうかもしれませんが、この場合その可能性は低いでしょう。
なぜなら、水星はアスカーを表しているため、「月はアスカー(水星)とショー(金星)を結びつけている」と考え、トランスレーションが発生していると考える方が自然だからです。
ここまで流れは良さそうなのですが…問題があります。
アスペクトする場所がさそり座9.63度なので、「アスペクトを考える時は次のサインの3、4度まで」というルールに当てはまっていないのです。
アスペクトする場所が、少し遠すぎますね(@_@;)
恐らく、このアスペクトはイベントに結びつかないでしょう。
一応、月の進む距離を計算しておきましょうか。
月が金星とアスペクトする場所はさそり座9.63度。
30 - 25.60 = 4.40(てんびん座を通過)
4.40 + 9.63 = 14.03
14.03度です。
そうすると、色々省略しますが、ちょうど14分くらいですね。
「ちょうど14分後に抽選へ行ったら、たぶん外れます」
役に立たないやこの結果(;・∀・)
困りましたね。こちらでも同じように「当たりそう」という結果が出てきていたら、「ホロスコープには、当たる可能性の高いタイミングが2つ表示されていたんですね」とか言ってまとめようと思っていたのですが。
残念です(*´ω`)
最後にまとめておきましょう。
今回のホロスコープの場合、天体の選び方は、どちらも間違いとは言えませんでした。
「天体の選び方がいくつもあるなら、結果の良さそうな方の選び方をすればいいじゃないか」と思われてしまいそうで心配なのですが、しかも今回はそういうことができてしまうケースでしたが、こういうケースは稀です。
多くのホロスコープでは、天体の選び方に迷うことはあまりありません。
今回のホロスコープでも、確かに主役の天体が同じ天体になってしまいましたが、それでも天体の選び方で迷うことはありませんでした。
上の方で、「アスカーを表す天体とアスクトを表す天体が同じ天体になってしまった場合、基本的には、『アスカーを表す天体は月だけ』と考えます」と説明しました。
僕の印象では、多くの場合、この考え方で問題なく占えるようです。
なぜか困ることが少なく、今回のように自然な流れで占いを進めることができるでしょう。
しかし、そうもいかないホロスコープにも出会います。
(アスカー:月、水星、ショー:金星という考え方を使うケース)
今回は長くなりすぎたので、機会を改めて解説します。
※補足:必ずしも天体が必要になるとは限りません
クッキーを齧ったのは誰?参照
ホラリー占星術とエレクショナル占星術
今回の占い結果は、「5分後に抽選に行ってみてください」というものでした。
このように、「いついつに行動してください」と、「行動する時期を出す」占い方法は、エレクショナル占星術と呼ばれます。
「あれ? エレクショナル占星術ってホロスコープを2枚使って占うんじゃなかったっけ? 今回の占いはホラリーじゃないの??」
その通りです(^^)
ただ、クラシック占星術とはのページでも説明した通り、エレクショナル占星術は、正確にはアスカーの質問や状況に合わせて「1~2枚のホロスコープを読む占星術」なのです。
今回の占い方は、エレクショナル占星術の中の、「1枚のホロスコープを使って占う方法」に該当しています。
と言っても、見てもらえばわかる通り、占い方はホラリーそのままでしたね?
「1枚のホロスコープを使って占うエレクショナル占星術」は、ホラリーと占い方が変わらない、ということです。
2枚のホロスコープを使って占う方法は、ホラリー占星術とは占い方が大きく変わりますが、第2部の、もう少し後の方で説明する予定です。
なぜエレクショナル占星術のサイトを作ってそこで解説しないのかというと、ここで紹介するエレクショナルの占い方はホラリーと結びつきがとても強いためです。
ホラリーを少し発展させた方法と呼んでも良いので、このサイトで解説することにしました。
ホラリーとは結びつきが弱いエレクショナル占星術の占い方については、サイトを別にして解説します。
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◆おまけ1
今回の説明、さすがに難しすぎましたか?(;´Д`)
こんなに難しい内容を説明する予定はなかったのにm(_ _)m
理解できないところが多かったのではないかと思います。
応用編とか作って別に解説した方が良かったのかもしれませんね。
…しかし、まぁよしとしましょう!
どの道いつかこのように、難易度の高い方法が必要になる機会が訪れます。
今すぐにわかる必要はありません。
ある程度の経験を積んだ時にきっと、この解説が役に立つはずです。
◆おまけ2
後で伺った話ですが、アスカーが抽選に当たって喜んでいた時、同時に抽選をしていた多くの人が外れていたそうで、「隣の家族からいいなーって言われてしまいました」というお話です。
つまり、同じ時間に抽選をしても、当たる人と当たらない人は分かれていて、ホロスコープには、「アスカーにとって当たる時間」が表示されていたことになります。
また、この占い結果を見て、多くの人が思うのはきっと、「ホラリーを使えばジャ○ーズのチケットが当たるってこと??」みたいなことでしょう。
もしかしたら、当たるのかもしれません。当たらないのかもしれません。
僕は経験がないのでわかりませんから、もし試して当たったらぜひ教えてください(^^)
人気のコンサートの時には、デフォルト・オプションを「当たらない」にセットすることを、忘れないでくださいね!