5-6.ジョイ

2016/11/25 更新

ジョイ(Joy)

天体がある特定のハウスにいる時、天体はジョイの状態になり、エッセンシャル・ディグニティとアクシデンタル・ディグニティが少し良い状態になることがあります。
例えば水星は第1ハウスにいるとジョイになるので、水星が第1ハウスにいるとこのように判断します。
なお、エッセンシャル・ディグニティの程度は、タームくらいです。アクシデンタル・ディグニティの程度は…すみません、不明です。
たったこれだけなので、ジョイはとても簡単ですよね。
ただ、ジョイについてはそれほど重要視しなくても良いでしょう。
いや、正確には、重要視しにくいでしょう。
なぜかというと、ジョイの重要度というか有効性がそもそも低いみたいで、ジョイというものは誰にでも当てはまるわけではなく、ピタッと当てはまる人がたまにいる、というもののようなのです。
そのため、そもそもの話「この人はジョイが当てはまる人かな?」と考えてみなくてはなりません。ところが、実はこれは考えてみても仕方のない話で、結果と照らし合わせて確認するしかないことなのです。
結果から見て、あ、この人はジョイがよく当てはまる人だったんだ、と。
例えば旅行に出かけることを考えて、旅行を表す天体のエッセンシャル・ディグニティがペレグリンでジョイにいた時、もしその人にジョイが当てはまるようならば、この天体のエッセンシャル・ディグニティはタームくらいは考えて良いことになります。
そこで実際に旅行へ出かけてみたところ、雨は降ったけど意外と楽しめたな、と思うようなら、たぶんジョイが有効だったのでしょう。しかし、もし楽しめなかった場合はジョイが有効ではなかったのでしょう。
そして判断方法は、実際にやってみるしかない、のでした…。
このようなわけで、ジョイはホラリーでは使用しにくいでしょう。
ネイタルであれば、ジョイが効いているかどうか継続的に結果と照らし合わせることができるはずなので、もう少し判断しやすいかもな、とは思います。

【ジョイの天体配置】
 ・第1ハウス:水星
 ・第2ハウス:なし
 ・第3ハウス:月
 ・第4ハウス:なし
 ・第5ハウス:金星
 ・第6ハウス:火星
 ・第7ハウス:なし
 ・第8ハウス:なし
 ・第9ハウス:太陽
 ・第10ハウス:なし
 ・第11ハウス:木星
 ・第12ハウス:土星

表の通り、すべてのハウスにジョイの天体があるわけではなく、限られたハウスにのみ存在します。
ジョイがこのように割り当てられている理由は、伝統的には「その天体とそのハウスに共通の性質があり居心地が良いため」と解説されています。例えば、「水星はおしゃべりを表す天体だから頭を表す第1ハウスでジョイになる」という感じです。
しかし、この割り当ての理由は特に決まっているわけではないようです。伝統的に解説されている根拠はどれも誤りでしょう。
例えば水星を例に取ると、そもそも水星はおしゃべりを表す天体ではなく第1ハウスが頭を表すこともないので、この推論は誤りとなります。
ただ、以前に書いた伝統的な説明も以下に残しておくので、興味のある方は参考にしてください。

天体とジョイの関係(伝統的な説明)

◆ 水星:第1ハウス
水星は理性やおしゃべりを意味します。
第1ハウスは人の頭を表していて、顔にはもちろん口がありおしゃべりをするので、水星と第1ハウスはおしゃべりという意味が共通することになります。

◆ 月:第3ハウス
月は7天体の中で最も「移動」が速い天体です。
夜空に浮かぶ月を2、3日追っていると、背景の星座の位置からどんどん離れていきます。例えば、オリオン座の右側にあったはずの月が、3日後くらいにはオリオン座の左に移動しています。
第3ハウスも、「移動」に関連するハウスで、「毎日の出勤」や「日常生活の移動」などを表します。
移動が共通することになります。

◆ 金星:第5ハウス
金星は「楽しいこと」のナチュラル・ルーラー。
第5ハウスは「楽しみ」の部屋。ここはバッチリ同じですね!

◆ 火星:第6ハウス
火星は刃物や事故、怪我、トラブルなどを表す天体です。
第6ハウスは病気を表すハウスなので、具合が悪くなるところが共通しているようです。

◆ 太陽:第9ハウス
太陽がこのハウスでジョイになる理由は2つあります。
月との関係、それから宗教との関係に基づいています。

まず、月との関係から。
ハウスの意味で学びましたが、第1ハウスはアスカー、第7ハウスはアスカーのパートナーでしたね。
このように、あるハウスから7番目のハウスはそのハウスの事柄のパートナーになることがある、という考え方があります。
月がジョイになるハウスが第3ハウスなので、この第9ハウスが月のパートナーのハウスになるというわけです。

では、月のパートナーはどうして太陽になるのでしょうか。
長い間「太陽と月はパートナー」という意味がよく理解できず不思議に感じていました。
確かに太陽も月も空では同じような大きさで、お昼の太陽、夜の月、というコントラストはわかるのですが、それだけでパートナー?という疑問がつきまとっていました。
この答はネイタルにあり、ある人が結婚する時の運勢の表示に太陽と月の関連が表示されることが多いのです。
この辺りホラリーではなかなか実感しにくいところですが、ネイタルに進むとよくわかるようになるでしょう。

第9ハウスのジョイに戻ります。
太陽がこのハウスでジョイになるもう一つの理由は、宗教との関連性です。
占いが当たる理由のページで紹介していますが、クラシック占星術には、「太陽は、創造主さまの一部がこの宇宙に現れた姿」という思想があります。
第9ハウスは宗教を表すハウスで、宗教とは、敬う神様についての考え方や信仰の方法などですよね。
そのため、宗教という意味が共通していることになるのです。

◆ 木星:第11ハウス
木星は幸福・豊富などを表すベネフィック。
第11ハウスは基本的にハッピーなハウスです。
どちらもハッピーな感じ、明るい要素が共通しています。

◆ 土星:第12ハウス
土星は、暗さ、陰鬱、悲惨、刑務所などを表す天体です。
第12ハウスは「秘密、中毒、自滅、犯罪、刑務所」などを表します。
暗い内容が共通していますね。