3.天体の進む方向

2015/4/8 更新

天体の進む方向は大切です。
ホラリーで恋愛・結婚について占う時は、レセプション(気持ち)やアスペクト(イベントが起こるかどうか)などももちろん大切ですが、負けず劣らず大切になるのが「天体の進む方向」です。
天体の進む方向は、「その人の行動の方向」を表しています。ホロスコープの時間を戻せば、「これまでの行動の方向」が。ホロスコープの時間を進めれば、「これからの行動の方向」が、表示されています。

「彼とやり直そうと思っているんです。うまくいきますか?」
この時、アスカーを表す天体がすぐにストップ(天体が止まっている状態)して、進む向きを変えようとしていたとします。
その天体がすぐにストップするということは、「やり直そうとする行動」が止まってしまうことを表します。そして、反対の方向へ天体が進むということは、「やり直す行動」の反対、すなわち「やり直そうとしない行動」に、アスカーの行動が変化することを表しているのです。

「すぐに、彼とやり直そういう行動が止まってしまう様子が表示されていますね。あなたはそのまま彼と別れようとするようですが、心当たりはありませんか?」
「ああ、やっぱり。うん。わかります。とても迷ってて、そんな気がしてたんです。それで、それってどれくらいで…」

天体の進む方向が、その天体によって表されている「物/事/人」の進む方向を表します。問題になるのは、主に人の場合です。
その人の行動が最近になって変わったのか、それとももうすぐ変わるのか、あるいは今と同じ方向に進み続けるのか…これらが、天体の進む方向によって表されるのです。
現在のその人の行動によって、その後の行動がどのように変わるのかを判断します。天体の現在の動きと、その人の今の行動を見比べてください。現在の動きが、今の行動です。

「戻る」という意味が出てきた時は、天体の動きに特に注意してください。
その中でも、逆行は間違いやすい要素です。たしかに多くの質問で、天体の逆行は「戻る」という意味を表しているのですが、恋愛・結婚関係を占う時、必ずしも「逆行 = 戻る」になるとは限りません。
例えば、「彼と戻ろうとしている」なら、順行逆行に関わらず、現在の天体の動きが、「戻ろうとする行動」に当てはまります。
彼と別れようとしている」なら、現在の天体の動きが、「別れようとする行動」に当てはまります。

たとえレセプション(気持ち)が全く変わらなくても、天体の進む向きが変わるなら、その人の行動も変わる可能性があります。
もし相手のことをそれまでと変わらず好きなままでいたとしても、進む道が変わった時、つまり行動が変わった時、人は別れることがあるのです。
もちろん、天体の進む方向は、必ずしも「別れるかどうか」、「よりを戻そうとするかどうか」という行動を表しているとは限りません。
ただ単純に、引っ越すつもりだったのに、それをやめただけかもしれません。
「何が変ろうとしているのか」「何が変わったのか」「何も変わらないのか」ということは、アスカーの話から、アスカーの置かれている状況から判断するのです。
ただ、恋愛・結婚について占う時には、先の例のように、「戻ろうとする」あるいは「戻ろうとしなくなる」という「行動の変化」を表すことが多くなります。

天体の進む方向は、必ず、チェックしてください。
天体の進む方向をチェックしなければ、恋愛・結婚に関する占いは、それはもうビシバシ外れます。容赦なく外れます。必ず確認してください。

天体の進む方向6パターン

ホロスコープを作った時、天体がどちらの方向に進んでいるのかは、占星術ソフトで、時間を進めたり戻したりすればわかります。
今順行している天体(逆行していない天体)は、日付を何日も進めていけば、どこかでストップしてから、逆行を始めます。
反対に今逆行している天体は、日付を進めていけば、どこかでストップしてから順行に戻ります。
そうすると、ホロスコープに表示されている天体は、下の6パターンのいずれかに必ず当てはまっていることになります。
(太陽と月は逆行しないので、土星、木星、火星、金星、水星の5天体だけに当てはまるルールです)

1.そのまま順行している
2.順行からストップした状態
3.最近ストップして、逆行になったばかり
4.そのまま逆行している
5.逆行からストップした状態
6.最近ストップして、順行になったばかり

◆ 1.そのまま順行している
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天体が、進む方向を変えずにそのまま進んでいる状態です。この時は、この天体によって表される「物/事/人」が進む方向に変化はありません。
(この先は繰り返しになるので「人」で統一します)

◆ 2.順行からストップした状態
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ホロスコープを作ったときに天体が止まってる状態です。天体が止まっているということは、この天体によって表されている人は、現在、転換点に差しかかっているということです。すぐに、進む方向が変わることを表します。
もしくはごくたまに、この天体によって表されている人が「動かない」ことを表します。

◆ 3.最近ストップして、逆行になったばかり
planet-direction-03
天体が、最近ストップして、逆方向に進み始めたばかりの状態です。ごく最近、何か進路の変更をしたばかりの状態を表します。

◆ 4.そのまま逆行している
planet-direction-04
これは進む方向が1と反対の状態です。表す意味は変わりません。

◆ 5.逆行からストップした状態
planet-direction-05
5.これは進む方向が2と反対の状態です。表す意味は変わりません。

◆ 6.最近ストップして、順行になったばかり
planet-direction-06
6.これは進む方向が3と反対の状態です。表す意味は変わりません。

サインの境界線付近までチェックする

天体が進む方向を見てきました。太陽と月以外の天体が、「天体の進む方向6パターン」のどこかに当てはまっていることも確認できましたね。
それで、天体の進む方向をどこまで確認するのか疑問を持たれると思いますが、「その天体が今いるサインを超えて少し進んだところまで」チェックしてください。
アスペクトのページで見たように、ホラリーでアスペクトをチェックする限界の場所は、その天体が今いるサインの次のサインに入った3、4度程度までになります。
そのため天体の進む方向も、それ以降の動きは、「その質問には関係しない」と考えるのです。
しかし逆に言えば、天体が次のサインに入ってすぐに進む方向が変わるような場合には、目玉焼きくらいの大きさに目を見開いて、何が起きているのかチェックしなければならないということです。
何故なら、天体のいるサインが変わるということは、その天体によって表わされる人の置かれている状況が、何か大きく変わることを表しているためです。
エッセンシャル・ディグニティはどのように変わり、またどのように変化するのでしょうか?
レセプションはどのように変わり、またどのように変化するのでしょうか?
アスカーの置かれている状況に照らし合わせながら、しっかり考えてください。

一目で順行と逆行を判断する

ホロスコープには太陽系の天体が表示されています。
太陽と地球と、それぞれの天体の位置関係が表示されています。この時、それぞれの天体がどちらの方向へ進んでいるのかが大切になるのですが、普通に考えると、ホロスコープを見ただけではその天体がどちらの方向へ進んでいるか、わからない気がしますよね。
ところが実際には、ホロスコープの構成の関係上、太陽と月以外の5天体は、順行と逆行が規則的に起こるため、太陽との位置関係を見れば、これから順行と逆行が切り替わるのかどうか、一目で判断できてしまうのです。
難しい説明は省きますが、このルールを覚えておくと、占星術のソフトでいちいち時間を進めたり戻したりしなくても、近いうちに順行と逆行が切り替わるかどうかすぐに判断ができるようになります。便利なので覚えてしまいましょう!

1.水星:太陽を横切って行ったり来たり
2.金星:長い順行期間
3.火星、木星、土星:太陽とのトライン

1.水星:太陽を横切って行ったり来たり

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水星は太陽に最も近い天体です。
地球から見て太陽から一番離れている時でさえ、たった28度程度です。28度というのも最大離角なので、普段はもう少し小さくなり、25度くらいになります。(この理由は、太陽系の惑星軌道が楕円を描くためなのですが、難しい話なので説明は省略します)
つまり水星は、太陽を中心に、12サインの1サイン分(30度)も離れることがないのです。
例えばこのホロスコープを作った時に、太陽(てんびん座15度)と水星(さそり座10度)は目一杯離れているのですが、上のホロスコープを見てわかる通りせいぜい25度くらいです。(15+10=25度)

太陽のすぐそばで順行している水星は、そのまま太陽の前に進み、太陽から大体サイン1つ分離れたところでストップになり、逆行を始めます。
太陽のすぐそばで逆行している水星は、そのまま太陽の後ろに進み、大体サイン1つ分離れたもところでストップして、順行に戻ります。
つまり、水星は太陽に近い時は進む方向が変わらず、サイン1つ分離れたところで、進む方向が切り替わるのです。

2.金星:長い順行期間

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金星も、基本は水星とほとんど同じです。ただ、金星は水星よりは太陽から離れるので、「1サイン分(30度)」が「1.5サイン分(45度)」に変わります。
金星は太陽から45~48度程度までは離れます。大体、1.5サイン分(45度)くらいの距離です。例えば、みずがめ座1度に太陽がいたら、うお座16度くらいまで金星は離れるのです。
つまり、金星は太陽に近い時は進む方向が変わらず、1.5サイン分離れたところで、進む方向が切り替わるのです。

また、水星との最大の違いは、その長い順行期間です。その年によって変化はありますが、金星は逆行期間が45日くらいで、順行期間が545日くらい。逆行期間の、なんと12倍以上も順行しているのです!
金星が順行していたら、そうそう逆行にはならないよ、ということになります(@_@)

3.火星、木星、土星:太陽とのトライン

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この3天体も、太陽との位置関係から、規則的に順行と逆行が切り替わります。しかし、太陽系の中で地球より外側を回っているため、切り替わり方が水星と金星とは異なります。
順行と逆行が切り替わるタイミングは、太陽とトライン(120度、4つ隣のサイン)する付近です。太陽とトラインした後、順行から逆行に。逆行から順行に、規則的に切り替わります。
「あ、火星がもうすぐ太陽とトラインになるから、進む方向がもうすぐ変わるんだ」というように考えるのです。

なお、この3天体は、太陽とコンジャンクションになる時は必ず順行しています。
そして、太陽とオポジションになる時は、必ず逆行しています。