1.ハウス

2020/9/20 更新

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【参考:ホロスコープの構成】
ホロスコープの読み方:構成編
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ハウスについては章を分割し、まずここでハウスの概要を、それからCL式、朝比奈式の順に解説します。

【ハウス】
◆ ハウスの概要
◆ CL式ハウス
・ハウスの意味1-12
・ハウスのルール
・ターン・チャートの練習
◆ 朝比奈式ハウス
・ハウスの意味1-4
・ハウスの意味5-8
・ハウスの意味9-12
・ハウスのルール1
・ハウスのルール2
・ハウスのルール3
・ハウスのルール4
・その他

1.ハウスが表すこと

ホロスコープを見てみると、12のハウスが表示されています。
アセンダントのある第1ハウスから、反時計回りに1、2、3…12まで。
これらのハウスは、アスカーを取り巻く人物や物事などを表しています。
例えば、第1ハウスはアスカーを表し、第2ハウスはアスカーのお金や所有物を表し、第3ハウスは兄弟姉妹を…表します。
ホラリーでは、相談内容がどのハウスの事柄なのかを判断し、そのハウスを中心に占いを進めます。
例えば、お金についてなら第2ハウスを、兄弟姉妹についてなら第3ハウスを中心に見ていきます。

2.ハウスシステム

ホロスコープには12のハウスが表示されています。
ホロスコープを作った地点を中心として、太陽の通り道である黄道を12分割して作るのですが、適当に決めているわけではなく、ある規則に従って分割されています。
ホロスコープを丸いケーキのようなものだと考えてみましょう。
ケーキを12人で分けるとすると、どのような方法があるでしょうか?
大きさが等しくなるように分ける方法、いちごが必ず1つ乗るように分ける方法、体の大きいお兄ちゃんの分を大きくする方法など、色々な方法がありますね。
同様に、ハウスの分割方法にも様々なものがあります。
空間を等しくするように分ける方法、太陽が通過する時間を等しくするように分ける方法、サインを30度ずつ等しく分ける方法など。
これらはレジオモンタナス、プラシーダス、イコールなどと呼ばれています。

お勧めのハウスシステム

複数のハウスシステムの中から、どのハウスシステムを使えば良いのでしょうか?
実は、正解はありません
この理由は、驚くべきことに、正しいハウスシステムというものが存在しないためです。
どうやら占星術が創られた時、ハウスの分割方法は厳密に定義されなかったようなのです。
ただ、だったら何でもいいのかというとそういうわけでもなく、占星術に適合するハウスシステムというものは存在するようです。
それはレジオモンタナスとプラシーダスです。
よって、このどちらかのハウスシステムを使いましょう。
CL式の場合、ホラリーではレジオモンタナスが、ネイタルではプラシーダスが使われることが多いと思います。この方法で問題ありません。
朝比奈はホラリーでもネイタルでもプラシーダスを使用していますが、レジオモンタナスに問題を感じているわけではなく、占星術ソフトでハウスシステムを切り替えるのが手間なのでそうしているだけです。
ただ、他のハウスシステムは使わないようにしてください。
理由はよくわかりませんが、他の方式は占星術には適合しないようです。

ハウスシステムが変わると、どのような違いが生じるのでしょうか。
現時点でこの説明を理解することは難しいと思うので第1部を読み終えてから見直していただきたいのですが、ハウスシステムが変わると、ハウスカスプのサインが変わることがあります
そうすると支配星が変わることがあるので、時には占い結果が大きく変わります。
レジオモンタナスかプラシーダスを使えばいいとしても、どちらにするか迷うこともあるでしょう。

実はこの疑問に対する答えは明快です。
ホラリーの場合、その時に使うと決めたハウスシステムで占いを進めてください。
ホラリーの答えを返してくださる方たちは、そのハウスシステムに合わせてホロスコープを計算してくださっているためです。
一度このハウスシステムで占おうと決めた場合、後で他のハウスシステムを用いてホロスコープを読んではいけないということです。
例えば、レジオモンタナスで読むと決めたホロスコープを、後からプラシーダスで読むのはダメです。

それではネイタルの場合はどうなるのでしょうか。
ネイタルの場合は、ディレクションの表示と体験した出来事を比較して支配星を限定し、そこからハウスシステムを判断します。
ただ実際のところ、支配星を限定することの方が遥かに重要なので、ハウスシステムについてあれこれ考えることはまずありません。

3.その他

ハウスの読み方に関する用語や決まりについて解説します。
説明が長くなるものはページを改めて説明します。

【用語・決まり】
・ハウスカスプ
・5度前ルール(CL式)
・回転ルール(朝比奈式)

ハウスカスプ

ハウスとハウスの境界線は、ハウスカスプと呼ばれています。

ハウスカスプ

ハウスカスプ

このホロスコープでは、ハウスカスプを赤い線で塗りました。
ハウスが12個ありますが、すべてのハウスにハウスカスプがあるので、12のハウスカスプが存在しています。
1つのハウスは2つのハウスカスプに挟まれますが、このうち前の方のハウスカスプがそのハウスのハウスカスプになります。
例えば、第1ハウスのハウスカスプは乙女座24.54度、第10ハウスのハウスカスプは双子座23.96度となります。

カスプ(cusp)は「尖っている」という意味を持ちます。
そこでCL式では、『ハウスカスプはハウスの間に突き刺さった重要な場所である』と説明されます。
そして重要であるが故に、『ハウスカスプの近くにいる天体はそのハウスの事柄をもっともよく表しているので、注目する』と続きます。
例えば、第2ハウスに金星がいるとして、その金星が第2ハウスカスプにくっついた状態であれば注目するが、第2ハウスの真ん中あたりにいる時はそれほど注目しないということです。

CL式ではこのように考えられていますが、朝比奈の考えは異なります。
ハウスカスプは、『尖っている』というような、その場所を強調するような意味は持っていないと考えています。
ハウスカスプはただハウスを分けているだけです。
ハウスカスプの近くにいるから天体が重要になるということはありません。
ハウスのどこにいても天体はそのハウスの事柄を表します。
このことはホラリーでも確認できますが、ディレクションを使っても確認できます。
このような考え方がなぜCL式で生まれたのか不思議です。

CL式・ハウスカスプの5度前ルール

下のホロスコープを見てください。
太陽はどのハウスにいるでしょうか?

太陽の場所は?

太陽の場所は?

太陽は第11ハウスにいますね。
ところが、この太陽には『5度前ルール』と呼ばれるルールが適用されるため、第12ハウスにいると見なされるのです。
5度前ルールとは、ハウスカスプの前5度以内にいる天体を、次のハウスにいると考えるルールです。
太陽は双子座20.19度、第12ハウスカスプは双子座24.75度ですね。
24.75 ー 20.19 = 4.56度
太陽は第12ハウスカスプの前5度以内にいるので、このルールが適用されます。

5度前ルールが当てはまるのは、天体とハウスカスプが同じサインにいる場合だけです。
下のホロスコープを見てください。

サインが違うと…

サインが異なると…

太陽は第11ハウス蟹座29.31度、第12ハウスのカスプは獅子座1.16度です。
5度前ルールを適用すると太陽は第12ハウスにいると考えるのですが、太陽は蟹座、第12ハウスのカスプは獅子座でサインが異なります。
このように天体とハウスカスプのサインが異なる時には5度前ルールは適用できなくなり、太陽は第11ハウスにいると見なされます。
この理由は、サインの境界線が強力な壁になっていると考えられているためです。
『太陽は第12ハウスカスプに到達する前にサインの境界線に阻まれてしまい、第11ハウスへと戻される』と考えます。

5度前ルールの5度という度数は曖昧です。
ハウスカスプの5度前ルールは厳密に5度という意味ではなく、大体5度くらいという曖昧なものです。
5.2度でもギリギリ入っているかな…という感じで、どこから次のハウスが始まるのかアバウトです。
一応ハウスの大きさに関らず最小は5度になるのですが、もし次のハウスが大きなハウスであれば5度より少し広めに取ることもあるようです。

ハウスカスプの前、5度より僅かに前の場所にサインの境界線がある場合には、そのサインの始まりをそのハウスの始まりと見なすことがあります。
例えば、第9ハウスカスプが牡羊座5.99度、金星が牡羊座0.04度にいたら、この金星は第9ハウスにいると考えることがあるのです。

house-5degree-wide

朝比奈式・回転ルール

朝比奈式では、CL式で使われている5度前ルールは使わず、『朝比奈式・回転ルール』を使います。
詳しくはサイデリアルの使い方のページを参照してください。

一応、朝比奈式の回転ルールを簡単に説明しておきます。
回転ルールとは、『ホロスコープのサインを頭の中で2度~3度順回転させる』ルールです。
この結果、ハウスカスプがすべて2度~3度変わることになります。
例えば上のホロスコープでは、第9ハウスのハウスカスプは牡羊座5.99度ですが、牡羊座4度(5.99 – 2 = 3.99)くらいになると考えるのです。
この時、天体のサイン度数はそのままです。
例えばこのホロスコープで金星は牡羊座0度にいますが、この度数は変わらないということです。
そして、回転ルールを適用しても金星は第8ハウスにいるままなので、この金星は第8ハウスにいると考えます。
もし金星が牡羊座5度にいたとしたらどうなるでしょうか。
ハウスカスプは6度くらいです。
この場合、回転ルールを適用するとハウスカスプが4度くらいに変わるため,
金星は第9ハウスにいると判断します。

CL式と同様、朝比奈式の回転ルールを使う時にも、ハウスカスプがどちらのサインにいるのか迷うことは多いと思います。
朝比奈もよく迷います。
どのように対処すれば良いでしょうか?
このような時には、対処法が2つ考えられます。
1つ目は、ホラリーの他の要素から判断する方法です。
ホラリーではハウスカスプ以外にも注目する要素はいくつもあるので、そちらから判断できることもあるのです。
2つ目は、ネイタルと組み合わせることで選択肢を絞り込む方法です。
ホラリーは元々ネイタルと組み合わせて使うことが想定されているので、ホラリーで判断に迷ったときはネイタルが判断の助けになることが多いのです。