(2、3) 逆行とスピード

2015/6/19 更新

※このページにはアスペクトやレセプションなどの用語が出てくるので、全て理解できなくても気にせず、先に進んでから見直してみてください。
また、第2部第7ハウスの項目になりますが、3.天体の進む方向のページも合わせて参照してください。

順行と逆行

占星術のソフトで時間を進めると、ホロスコープの中で天体は色々な動きをします。
第12ハウスから第11ハウスに向かって動いたり、サインの中を反時計回りに動いたり、時計回りに動いたり。
このような動きは、「地球の自転によって起こる動き」と、「地球の公転によって起こる動き」に区別することができます。
これから説明していく「順行と逆行」は、地球の公転によって生じる天体の動きになります。
しっかり理解するために、地球の自転によって生じる天体の動きから見ていきましょう。

ホロスコープと、地球の自転による天体の動き

空を見上げると、☉太陽や☽月は東から登って西へ沈みます。
見たことがある人は少ないかもしれませんが、☉太陽と月以外の天体(♄土星、♃木星、♂火星、♀金星、☿水星)も、同じように動いています。
☉太陽の動きを例にとって見てみましょう。「日の出 → 日中の☉太陽が一番高い時 → 日の入」という順番で追いかけてみました。

ad-retrograde-sunrise
2015/3/29 5:36(日の出)

ad-retrograde-sun-noon
2015/3/29 11:45(日中、☉太陽が一番高い時)

ad-retrograde-sunset
2015/3/29 17:54(日の入)

☉太陽の動きとホロスコープの関係、イメージが湧きますか?(゚∀゚)
☉太陽はこのように、東の地平線から登り、西の地平線へ沈み、この図では登場していませんが、この後ホロスコープの一番下のIc(アイシー:第4ハウス・カスプの場所)に来た時、ホロスコープを作った場所から見て一番低いところに来ます。
もちろん真夜中だし、日の入の後なので、目では見えませんが(@_@;)
それからまた翌日、アセンダント(Asc)から登ってくるのです。

日の出の図を見ると、☉太陽の登ってきた地平線に♈おひつじ座のサインがありますね。
そして南の一番高い場所に♑やぎ座(♈おひつじ座 → ♓うお座 → ♒みずがめ座 → ♑やぎ座)が来ていて、西の地平線に♈おひつじ座の正反対のサインである♎てんびん座が来ています。
☉太陽の登る場所から、沈む場所へ向かって、♈おひつじ座 → ♓うお座 → ♒みずがめ座 → ♑やぎ座 → ♐いて座 → ♏さそり座 → ♎てんびん座となっています。

☉太陽が登る瞬間から沈む瞬間までの動きを見てみると、☉太陽は12サインと一緒に、東から登り、西へ沈みます。
☉太陽が♈おひつじ座のある場所に貼りついていて、12サインと一緒に回転して登り、沈んでいくみたいですね。

ホロスコープに登場する7天体は全て、ここで見てきた☉太陽の動きと同じような動きをしています。
一日中観察していれば、どの天体も東の地平線から登り、西の地平線へ沈むのです。

ホロスコープと、地球の公転による天体の動き

地球の自転による天体の動きを、ホロスコープを通して確認しました。
地球が回転するから、天体は東の地平線から登り、西の地平線へ沈むのです。
ここから説明する「順行と逆行」は、この動きとは本質的に異なる、地球の公転による天体の動きです。
ホロスコープの中で天体は、地球の公転によって、サインの中の場所を少しずつ変えています(移動しています)。
自転と公転による違いは以下のようにまとめられます。次へ進む前に確認しておいてください。

【天体の動きと、地球の自転/公転の関係】
・地球の自転によって、天体はハウスを移動する
・地球の公転によって、天体はサインを移動する

それでは、公転による動き、順行/逆行の動きの説明に入ります(^^)

順行(天体の反時計回りの動き)

☉太陽は、12サインを毎日少しずつ、♈おひつじ座 → ♉おうし座 → ♊ふたご座、というように、サインの順番の方向(反時計回り)へ移動しています。
下の2つの図を比べてみてください。
上のホロスコープは2015/3/29 5:36、下のホロスコープは、2015/3/30 5:36の瞬間のもので、時間をちょうど24時間進めたところです。
☉太陽が、♈おひつじ座7.84度から、8.83度まで、大体1度進んでいますよね?(8.83 - 7.84 = 0.99)

retrograde-sun20150329
retrograde-sun20150330-01

このように、地球から見て☉太陽は少しずつ、黄道上(♈おひつじ座などのサインのこと)の中を進んでいるのです。
「☉太陽が♈おひつじ座に貼りついている」ようなイメージですが、これは地球の自転のため短期的にそう見えるだけであり、実際には、一年をかけて地球が☉太陽の周りを公転するために、地球から見た時(つまりホロスコープ上で)、☉太陽はゆっくりと黄道上を移動しています。
☉太陽は黄道上を、24時間かけておよそ1度(0度59分08厘)進むので、上のホロスコープで、☉太陽は♈おひつじ座7.84度から、8.83度まで進んでいますね。
この、♈おひつじ座の7度から、8、9、10度…という風に、サインの方向へ動いていく動き(反時計回りの動き)を、天体の「順行(方向への動き)」と呼びます。

☉太陽は3月20日頃、♈おひつじ座の0度から順行方向へ進み始め、1年を通して、毎日1度くらいずつ黄道上を順行し、翌年の3月20日頃に、また再び♈おひつじ座0度へ還ってくるのです。

逆行(天体の時計回りの動き)

クラシック占星術の中で、逆行は【Retrograde:レトログレイド】と呼ばれています。
逆行とは、文字通り順行とは逆方向に天体が進むことです。
本来、反時計回りに進むはずの天体が、時計回りに進む動きを指しています。
天体の「反時計回りの動きが順行」で、「時計回りの動きが逆行」なのでちょっとややこしいですね。気をつけてください(・.・;)

ややこしいことはもう一つあります。
天体は7つありました。♄土星、♃木星、♂火星、☉太陽、♀金星、☿水星、月の7つ。
これら全ての天体が逆行してくれれば良いのですが、☉太陽と☽月は逆行することがありません。
これは、地球とこの2つの天体との位置関係上、決して変わることのない原則です。
逆行するのは、☉太陽と月を除く5天体(♄土星、♃木星、♂火星、♀金星、☿水星)に限られます。

ややこしいポイントが2つ登場しました。要確認!
・「反時計回り = 順行」、「時計回り = 逆行」
・全ての天体が逆行するわけではなく、☉太陽と月以外の天体が逆行する

順行と逆行、理解できましたか?
難しい話になってしまうので、もしわからなくてもあまり気にしないでください(--〆)
天体の動きを理解するためには、実際に夜空を見上げて星空観測をしてみると良いかもしれません。

順行の動きを一番確認しやすい天体は月だと思います。
試しに、ある日の20時頃に月を見上げてみてください。
そして、その3日後の同じ時間に月の場所を見てみてください。随分移動していることに気づくでしょう。
20時ではなくても、何時でも大丈夫ですよ。同じ時間に見上げれば問題ありません。

例えば、オリオン座の右側にいた月が、2、3日後オリオン座の左側へ移動していたりします。
月のこの動きが、順行の動きです。
☽月は逆行しませんが、逆行する天体は、この反対の方向へ動いていきます。
時々でも良いので、観察してみると面白いですよ(゚∀゚)
その時には、星座の本を何か一冊持っていくといいですよ(^^)

なお、天体の動きについて詳しく知りたい方には、『天体の位置計算』(長沢 工)という本をお勧めします。
地球の動きや、星の位置の表示方法(赤経、赤緯、黄経、黄緯など)を、わかりやすく解説してくれています。
ただ、計算の部分は難しいので、読み飛ばしてくださいね(◎_◎;)
それと、僕はとても読みやすいと思うのですが、もしかすると、文系タイプの人には内容がちょっと難しいかもしれません…(@_@)

順行と逆行の確認

天体が順行しているのか、逆行しているのか、最初のうちは占星術のソフトを使って確認します。
動きを確認するためには、占星術のソフトで、「1日進む」ボタンを押してみてください。
半年分くらい進めてみると、色々な天体が逆行したり元に戻ったりするところをすぐに確認できます。
慣れてくると、ホロスコープを見ただけで順行しているか逆行しているのか、見分けられるようになってきます。
詳しい解説は3.天体の進む方向のページを参照してください。

逆行の意味

順行と逆行が登場しました。
ホロスコープの中には、順行している天体と、逆行している天体が登場するということですね。
ホロスコープの中で天体は、質問の中の登場人物や、物などを表します。

この時、もし天体が順行していれば、その天体によって表される人や物などは、本来あるべき方向へ進んでいることを表します。
しかし、もし天体が逆行していると、その天体によって表される人や物などが、本来あるべき方向へ進んでいないことを表します。
このため逆行は、その天体に対する何かしらのダメージである、と考えることができます。

例えば、大阪から東京へ向かう車を考えてみましょう。
♃木星が涼宮君を表しているとします。
・♃木星は♋かに座:エッセンシャル・ディグニティはマイ・サイン(最高の状態) : 彼はF1のレース・ドライバー並に運転が上手い
・♃木星は第10ハウス:アクシデンタル・ディグニティ(活動する強さ)はとても強い : 彼は運転席に座っている
・♃木星は逆行中 : 彼は、九州へ向けて走り始めた!Σ(゚Д゚)

逆方向に突っ走り始めました!
これはマズイですよね。
このように、天体が逆行している場合、その天体によって表される人や物は、行動する方向がどこかズレていることが多いのです。
どのようにずれているのかは、恐らく、アスカーの置かれている状況から判断することができるでしょう。

逆行がダメージにならない場合

上の例で見たように、逆行は、天体に対するダメージと考えられます。
東京から大阪へ向かうはずが北海道に向かうようでは困りますからね。
ところが、質問によっては逆行が望ましい場合があります。
例えば、「戻ってくる・帰ってくる」ことに関連する質問では、「逆行 = 戻ってくる・帰ってくることを表す」と考えるので、状況によっては望ましい答になりえます。

・彼とよりを戻せますか?
・迷子のタロー(柴犬)は帰ってきますか?
・探し物は見つかりますか?

このようなケースでは、その人や物、または動物を表す天体の逆行は、望ましい表示になります。
また、「次の恋人はいつ見つかる?」という質問で、恋人を表すロード7が逆行していたら、「元カレとよりを戻しそう」という答になることもあります。

このように、逆行がダメージになるかどうかはアスカーの置かれている状況を考慮する必要があります。

天体が最近、逆行/順行を始めた場合

天体は、順行から逆行になったり、逆行から順行になったりしながら動いています。
この時、もし天体が最近逆行/順行したばかりなら、要注意。
その天体の表す「物/事/人」の行動が、最近になって変化した可能性があります。
以下のような項目に注意しながら、意味を判断してください。
・最近まで何をしていて、これから何をしようとしているのか?
・どこへ向かおうとしていて、結局何をしなかったのか?

逆行の考察はどこまで?

天体が逆行している時、一体どこまで逆行を追いかける必要があるのでしょうか?
天体は順行と逆行を繰り返しながら、結局は順行方向へ進み続けます。
つまり、行きつ戻りつをしながらも、♈おひつじ座 → ♉おうし座 → ♊ふたご座というように、長い目で見れば12サインを順番に通過していくのです。
ホロスコープを作った時に、最近逆行を始めたばかりなのか、それともしばらく逆行してきたところなのか、もう逆行が終わる間近なのかなどの違いはありますが、ホロスコープを作った時点を基点として、それ以前も、それ以後も、一応しばらくは時間を遡って/進めて状況に照らし合わせながら意味を考えます。

例えば、しばらく連絡が途絶えていた彼がしばらく逆行していた天体で表されていた時、その彼を表す天体がこれから順行に戻ろうとしていたら、いつ頃順行に戻るのか、占星術ソフトで時間を進めながら動きを追いかけるのです。
そのタイミングで彼から連絡が来るかもしれません。

あるいは、「つきあって欲しい」と告白してきた彼を表す天体が、すぐに逆行しようとしていたら、彼の態度が突然変わり、つきあうことがなくなってしまうこともあります。

このように、逆行している天体を発見した場合、その前後の動きをチェックして、アスカーの置かれている状況と一致しているかどうかをチェックしていきます。
しかし、時間を遡って/進めていく時に、逆行している天体の時間をそれ以上遡らない/進めない、2つの状況があります。

【逆行している天体の意味を、それ以上時間を遡って/進めて考えない状況】
・☉太陽との☌コンジャンクション(0度)
・☉太陽との☍オポジション(180度)

逆行している天体が☉太陽と近づいていって、☌コンジャンクション(0度)してしまったら、そこから先の状況は考えず、そこまでの状況を判断します。
☍オポジションも同様の判断になります。

ストップ(天体が止まっている状態)

天体は順行から逆行になったり、逆行から順行になったりするのですが、この切り替わるタイミング、方向が切り替わるわずかの間(大抵は2日くらい)、天体は「見かけ上の動き」がゼロになります。
占星術ソフトで日付を1日進めてみても、黄道上の場所がまったく変化しないときがあるのです。
これは☉太陽と地球とその天体の位置関係が生み出す「地球から見た見かけ上の動き」なので、その天体が公転をやめてしまうわけではありません。
その天体は☉太陽の周りを公転したままです。

さて、地球から見た、「天体が止まっているように見える状態」を、クラシック占星術ではステーション(Station)と呼びます。
動かないよ、という意味です。
しかし、例によってわかりにくいと思うので、このサイトでは、ストップ(天体が止まっている状態)と呼びたいと思います。
既に説明に出てきたように、ストップは2つのタイミングで起こります。

【ストップが起こる時】
1.天体が順行(逆行していない状態)から逆行へ進む方向が変わる時 : ファースト・ストップ(順行 → 逆行)
2.逆行していた天体が順行(逆行していない状態)に戻る時 : セカンド・ストップ(逆行 → 順行)

ストップしている天体の表す意味

順行、逆行、そしてストップと登場しました。
逆行の時と同様に、ストップしている天体が何を表しているのか、それもアスカーの置かれている状況から考えていきます。
例えば、「明日の100メートル徒競走で、一位になれる?」
アスカーを表す天体がストップしていたら、「アスカーはストップしている天体によって表されるくらいにゆっくりしか走れない可能性が高いので、勝つことは難しい」と判断します。
なお、逆行しない☉太陽と☽月は、ストップすることもありません。

天体の進むスピード

地球を含めた☉太陽系の惑星は☉太陽の周りを公転しています。
♄土星、♃木星、♂火星、♀金星、☿水星、それから地球ですね。
さらに、☽月は地球の周りを公転しています。
そして、ホロスコープは地球から見たこれら天体の見取り図になるので、それぞれの天体との位置関係によって、見かけ上の動きが速くなったり遅くなったりします。
これは、☉太陽系の惑星の公転軌道が楕円形をしていることに関係があります。
☉太陽系の惑星は☉太陽の周囲を楕円状の軌道を描いて進むため、地球との距離が近い場所では見かけ上の動きが速くなり、地球との距離が離れる場所では動きがゆっくりになるのです。
この、地球から見たそれぞれの天体の進むスピードは、占いの中で重要な意味を持つことがあります。

例えば、ある選手が100メートルの徒競走をする時を考えてみましょう。
その選手を表す天体の進むスピードが速い時は、その選手が速く走れることを表します。
反対に、その天体の進むスピードが遅い時には、その選手がゆっくりしか走れないことを表します。
このように、質問によっては、天体の進むスピードはとても重要な要素になります。

しかし、スピードが重要性を持たない質問の中では、天体が速く進んでいても遅く進んでいても、特に気にする必要はありません。
例えば、「ハルヒはキョンくんのこと好き?」
この質問の中には、「スピードに関係する要素」がどこにも見当たりませんよね?
気持ちを訊いています。こういう時には、スピードを気にする必要はありません。
(ただし、天体の進む方向には気をつけてください。3.天体の進む方向参照。)

また、天体の進むスピードは、後で出てくるアスペクトのタイミングを推測する際、重要になることがあります。
こちらはタイミングの微調整のページで解説します。
雇うかどうかのページも参考にしてください。イベントが起こる時期が、天体の進むスピードによってズレる実例です。

進むスピードの見分け方

「どうやったら、天体の進むスピードが速いとか遅いとかわかるんですか?」
ほとんどの占星術のソフトには、「一日進む」機能がついています。
そのボタンを押すと、天体が一日分進むのです。例えば、☽月は大体13度くらい進むし、☉太陽なら1度くらい進むはずです。
そこで、この機能を使い、ホロスコープを作った瞬間から一日分(24時間)時間を進めてどれくらい天体が動いたのか、黄道上の距離(サインの度数)を計算します。
そしてそのスピードを、その天体が一日に進む平均的なスピードと比べれば、その天体が速く進んでいるか、遅く進んでいるのか判断できる、というわけです。

天体ごとの「速い・遅い」

天体は、12サインの中を、順行したり逆行したりしながら移動しています。
一日の移動距離は天体ごとに大体決まっていて、例えば、月なら一日に13度くらい動きます。
☿水星なら1.5度くらい、♀金星なら1度くらい移動しています。

ここに、天体ごとの平均的なスピードを掲載しておくので、占いをする時に参照してください。
ここで挙げるスピードより速く進むときは「速い」と判断し、遅いときは「遅い」と判断します。
例えば、☿水星の行を見てみると、「1度から1度30分まで」と書いてあります。
つまり、1日に1度10分進んでいたら「普通」くらいのスピードになり、1日に0度30分しか進んでいなかったら「遅い」と判断し、同様に1度50分進んでいたら「速い」と判断するのです。

この時、「それじゃ0度59分だったら?」というように、細かくこだわる必要はありません。
天体の進むスピードが重要になる占いはそれほど多いわけでもなく、さらに、細かいスピードが重要になることはまずありません。
天体の進むスピードが、とても速いか、とても遅いか、それだけに注目すれば大丈夫です。

《1度=60分の占星術ソフト》
月  12度30分から13度30分まで
☿水星 1度から1度30分まで
♀金星 0度50分から1度10分まで
♂火星 0度30分から0度40分まで
♃木星 0度05分から0度10分まで
♄土星 0度02分から0度05分まで

《1度=100分の占星術ソフト》
月  12度50分から13度50分まで
☿水星 1度から1度50分まで
♀金星 0度83分から1度18分まで
♂火星 0度50分から0度66分まで
♃木星 0度08分から0度16分まで
♄土星 0度03分から0度08分まで

☉太陽の進むスピードは、わずかに変化するのですが、ほとんど常に一定なので、この表には記載していません。
☉太陽は、毎日大体1度くらい進みます。

♄土星はゆっくり進む方が望ましい

天体の進むスピードは変化します。
☿水星が、ゆっくり進んでいたり速く進んでいたり。
ゆっくり進む方がよいのか、速く進む方がよいのか、それは質問に左右されますが、平均的なスピードで進んでいれば、基本的に望ましい状態です。

しかし、天体の進むスピードに関して、♄土星だけは例外的な扱いになり、
基本的に、「ゆっくり進んでいる時の方が望ましい」と考えるのです。

☿水星や♀金星などの天体のスピードが遅い時には、基本的に「その天体の表す人などが、何かしら素早く行動することができない状況にいる」と考えるので、「あまり望ましい状況ではない」と考えます。
しかし、♄土星は☉太陽系で最も外側(クラシック占星術の世界観の中で)を周回する惑星なので、そもそもその性質が「ゆっくり」と見なされているため、♄土星がゆっくり動いていても、「ああ、♄土星のゆっくりという性質にぴったり合っているね」と考えて、悪い状況にいるとは考えないのです。

♄土星のスピードが速い時には、何か、普段はゆっくり進むことが自然なはずの人などが、素早く動いていることを表す可能性があり、あまり望ましい状況ではないかもしれません。
例えば、100歳くらいの男の人が箱根で20キロくらいのランニングをしようとしていたら、ちょっと止めますよね?
ゆっくり歩くハイキングの方が良いと考えられます。

しかし、天体の進むスピードが速い方がよいのか、それともゆっくりな方がよいのかは、必ず、質問の内容に照らし合わせて判断してください。

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※専門用語と例外の解説
この解説は内容が非常に難しいので、第2部まで一通り勉強した後、再度目を通してみてください。

プライマリー・モーションとセカンダリー・モーション

☉太陽が、東の地平線から登り、南の一番高い所を通り、西へ沈む、地球の自転によって起こる動きを、天体のプライマリー・モーション(primary motion)と呼びます。
そして、黄道上を進む動きを、例えば、♈おひつじ座7度から8、9、10度へと進む、☉太陽の周りを地球が公転することによって起こる動きを、天体のセカンダリー・モーション(secondary motion)と呼びます。

このページで見てきたように、順行と逆行というのは、天体の黄道の位置に対する動きなので、これは両方とも「セカンダリー・モーション」に分類される動きです。

ホラリーとの関係

プライマリー・モーションとセカンダリー・モーションは、ネイタルで運勢を判断する占い方法と深い繋がりがあります。
プライマリー・モーションはプライマリー・ディレクション(primary directions)、セカンダリー・モーションはセカンダリー・プログレッション(secondary progressions)と呼ばれる占い方法に結びついているため、ネイタルに進んだ場合は、どうしてもこの2つの動きを正確に把握する必要があるのです。
しかしホラリーでは、基本的に天体のセカンダリー・モーションの動きにだけ着目して占いをしていきます。
天体が順行しているのか逆行しているのか、それだけに注目するのです。
ところがホラリーでも、本当はこのプライマリー・モーションも考慮しなければならないケースが存在するのです。
次のホロスコープを見てください。

retrograde-primary-motion-01

このホロスコープでは、アセンダント(Asc)が♎てんびん座5度、月が♎てんびん座12.49度にいますね。
月とアセンダント(Asc)の差は、(12.49 - 5.00=)7.49度になります。

月のプライマリー・モーションを考えてみましょう。
「プライマリー・モーションによって月が7.49度進むと、アセンダント(Asc)に☌コンジャンクションする」と考えることができますね?
☽月は逆行することのない天体なので、このように時計回りの動きを考慮することは、本来ありえません。
しかし、「月がプライマリー・モーションによって動く」と考えればこの動きが可能になり、占い結果が導かれることがあるのです。

これは非常に、非常に、非常に!特殊な占い方ですが、時に必要になることがあります。
今の僕には、このプライマリー・モーションを考慮しなければならないホロスコープの解説が難しいので、準備が整い次第、紹介しようと思います。
なお、ここで考慮している月の動きは、正確には、地球の自転軸に対する月の実際の動きではなく、黄道上に於いての、月の仮想的な動きになります。
つまり本来のプライマリー・モーションではなく、疑似的なプライマリー・モーションを使用しているのです…が、この話は説明がとても難しくなるため、機会を改めたいと思います。

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その他、このページに関係する参考URL
☉太陽時
月の軌道
月の軌道の動画