6-3.朝比奈式レセプション

2018/5/1 更新

【朝比奈式レセプション】
 1. 三種類のレセプションと二種類のレセプション・タイプ
 2. 位置レセプション、天体レセプション、サインレセプション
 3. レセプションの変化
 4. レセプションが当てはまらない相談内容
 5. レセプションの歴史

1. 三種類のレセプションと二種類のレセプション・タイプ

朝比奈式では、天体のレセプションは3種類あると考えています。
位置レセプション、天体レセプション、サインレセプションの3つ。
詳細は後ほど説明するとして、最初に組み合わせ方を説明します。
これらのレセプションは単体で登場するわけではなく、位置レセプションと天体レセプション、あるいは位置レセプションとサインレセプションという組み合わせで登場します。
このように、どちらにも位置レセプションは登場するので、レセプションの組み合わせは天体レセプションのタイプと、サインレセプションのタイプに分類することができます。
そして、一つのホロスコープには、このうちのいずれかのレセプションタイプだけが当てはまります。天体レセプションとサインレセプションが、一つのホロスコープで同時に表示されることはありません。必ず、どちらかのレセプションだけが表示されています。
そして、どちらが当てはまるのかは、ホロスコープをパッと見ただけで判断できることではなく、占いを進めながら、もしくは結果と照らし合わせながらでないと判断ができないのです。
ホラリーではそのホロスコープに天体レセプションが当てはまるのかサインレセプションが当てはまるのか、占いを進めながら考えなくてはなりません
結果と照らし合わせて判断するのは主にソーラーリターンやルーナーリターンが多くなりますが、こちらはネイタルで解説します。
ホラリー、ソーラーリターン、ルーナーリターンで、天体レセプションとサインレセプションが登場する確率はそれぞれ約50%です。
そのホロスコープにどちらのレセプションタイプが当てはまるか考える方法は実例で説明するので、まずは3種類のレセプションから説明していきましょう。

2. 位置レセプション、天体レセプション、サインレセプション

最初に、どちらのレセプションタイプにも当てはまる位置レセプションを説明してから、天体レセプション、サインレセプションについて説明します。

2-1. 位置レセプション

「サインの前方にいる天体は、後方にいる天体が好き」というレセプションです。

下のホロスコープを見てください。

このホロスコープで土星と水星を見てみると、土星は水星の前にいます。
土星はおうし座16度で、水星はおうし座25度。土星の方が前にいますね。
ここから、土星は水星のことを好きだろう、と判断するのです。
なんという単純さ。
ちょっと待って、そんな単純な話があっていいの?
こんな感想を持つ方も多いと思いますが、こんな単純な方法が当てはまるのです。
この位置レセプションにはいくつかの特徴があります。順に説明していきましょう。

・位置レセプションは、天体同士の距離が近い時にだけ当てはまります。
このホロスコープの土星と水星のような近さなら問題なく使うことができますが、土星と太陽くらいになると弱くなり、土星と金星くらいになると微妙な感じです。60度離れてしまうと微妙、と覚えておきましょう。
このことからもわかるように、位置レセプションでは天体同士が同じサインにいる必要はありません。

天体同士の距離が近ければ近いほど好き、と判断します。
天体同士の距離を比較することで、どちらの天体をより好きなのか判断することができるでしょう。

サインの前にいる天体が後ろの天体にアプローチしている場合、好きな気持ちがこれから強くなっていくことを表します。
例えば、このホロスコープでは位置レセプションから太陽は火星を好き、と判断できます。そして、このホロスコープでは太陽がこれから火星にアプローチ(接近)していくので、太陽はこれから火星のことをますます好きになるのだろう、と判断するのです。

・位置レセプションは逆向きには当てはまりません。
このホロスコープの場合、水星が土星のことを好きとは判断できないということです。水星のレセプションは天体レセプションかサインレセプションから判断します。

ホロスコープを作った時の位置が重要です。
ホロスコープを作った時の位置関係によってレセプションを判断してください。時間を進めて天体同士の位置が入れ替わっても、レセプションの方向が逆になることはありません。
例えばこのホロスコープでは、太陽はいずれ火星に追いつき、太陽の方がサインの後ろに来ます。このタイミングで、「太陽が火星を好き」から、「火星が太陽を好き」になるとは考えないのです。
火星に追いついた時点で太陽が火星のことを好きでなくなるわけではありません。太陽は、火星のことを好きな状態で火星とくっつき、なんらかのイベントが発生するだろう、と解釈します。
たまに、レセプションの方向の逆転が状況に当てはまってしまうことがありますが、それはたまたまです。
例えば、恋愛の相談で、彼が太陽、アスカーが火星だったとしましょう。
この時、最初は彼(太陽)がアスカー(火星)のことを好きだったのに、つき合い始めた途端に立場が逆転してしまう状況などが考えられるでしょう。

位置レセプションはこの後で説明する天体レセプションやサインレセプションよりも強いレセプションで、ほとんどの場合この意味は当てはまります。
例外は、位置レセプションとセットで使う天体レセプションかサインレセプションで、「嫌い」という意味の否定的なレセプションが出てきた時です。この時だけは、位置レセプションの意味が当てはまる確率はおよそ70%に下がります
例えば、このホロスコープで水星に対する土星のレセプションをサインレセプションから考えてみると「嫌い」という意味になります。
もしこのホロスコープがサインレセプションのホロスコープなら、位置レセプションの好きという意味が当てはまる確率は70%に下がる、ということです。
この時、残りの30%の方に当てはまると、天体レセプションとサインレセプションの「嫌い」という意味は中和されて「無関心」くらいになります。

2-2. 天体レセプション

天体同士には好き、嫌い、無関心の関係があります。
この表の使い方は見たままの通りです。
例えば、火星のレセプションを考えると、火星、太陽、水星、月は好き、土星と木星は嫌い、そして金星に対しては無関心ということになります。
天体のいる場所は無関係です。例えば、火星がどこにいても、月がどこにいても、火星は月のことが好きで、月は火星のことが嫌い、と判断します。
ただし、位置レセプションという例外があるので、それについては位置レセプションの説明を参照してください。

クラシック占星術の中では、この天体レセプションはグイド・ボナッティ(Guido Bonatti)の表とウィリアム・リリー(William Lilly)の表の二つが残っています。
彼らの表はそれぞれ内容が少し異なっていますが、ここに掲載しているものも内容は異なり、朝比奈式です。
それから、彼らの表も残ってはいるものの、既に使われなくなっているのでここには掲載しませんでした。

クラシック占星術の世界では天体レセプションは事実上滅んでいます。ボナッティやリリーがある程度の表を残しているにも関わらず、使う人はほとんどいない状態です。
この理由はおそらく二つあります。
まず最初に彼らの表に誤りがある点。
どういう経緯か、彼らの表には誤りがあるので、使ってみても当てはまらないことがあり、そのため支持を得ることが難しかったのではないかと考えられます。
試しに使ってみた人たちはいたでしょう。しかしその結果として、使われることがなくなっていったのではないかと思います。
もう一つはレセプションの歴史が滅んでしまっている点。
クラシック占星術の世界ではレセプションとはサインレセプションのことであると考えられるようになっています。
朝比奈は、レセプションは元々、位置レセプションと天体レセプションから始まって発展したものであると考えていますが、このような歴史(後述)を知る人は現代、ほぼ皆無です。
だから、クラシック占星術を研究する人たちも、この表がきっとレセプションとして使われていたのだろうな、という推測まではできるものの、どこかのまがい物か何かかという疑いを捨てきれず、使う意義を見いだせないのではないかと思います。

2-3. サインレセプション

サインレセプションの考え方はJF式と同じなので、最初にJF式レセプションを参照してください。
JF式を覚えれば、朝比奈式は使えます。
ただし、朝比奈式の意味はJF式とは異なります。以下で解説します。
また、レセプションを判断するために使う表も異なっています。上に掲載した表は朝比奈式のものです。
なお、朝比奈式ではエッセンシャル・ディグニティという要素を使わないため、この表はレセプションの表と呼んでおきます。

【朝比奈式・サインレセプションの意味】
 ・マイ・サイン : 関心がある・相性がいいね・束縛
 ・イグザルテーション : 好き
 ・トリプリシティ : 好意
 ・ターム : 嫌い(アンチ)
 ・デトリメント : 無関心
 ・ペレグリン : 嫌い

マイ・サイン(関心がある・相性がいいね・束縛)

マイ・サインは、「関心がある・相性がいいね・束縛」などの意味を持つレセプションです。
例えば、おひつじ座1度にいる月は、木星(おひつじ座の支配星)が表す物/事/人物に対して関心がある状態を表します。
関心の程度はその人の性格によって変わります。
のめり込みやすい人なら関心は強くなるだろうし、何にでも淡泊な人ならば関心は弱くなりやすいでしょう。
「好き」という意味とは異なり、「関心がある状態」なので、好きなのか嫌いなのかこれだけで判断することはできません。どちらもあり得ます。常識的に判断しましょう。

他にもマイ・サインには、現代では、「相性がいいね」という意味があります。上の例では、月が木星に対して「相性がいいよね」と思っているという意味になります。
ただし、レセプションに「相性」という意味はありません。注意してください。

さらに、現代では時々「束縛」という意味を持つことがあります。
元々は階級の違いから、「王が臣下を支配する」というような意味があったようですが、現在では支配するというよりも「束縛する」という意味で登場するでしょう。
上の例では、木星が月を束縛している、という意味になります。月が木星を束縛するわけではないので、注意してください。
例えば、旦那さんを表す天体が木星でアスカーを表す天体が月の場合、旦那さんがアスカーを束縛している、という意味になるでしょう。
これらのうちどの意味が当てはまるのか、アスカーの話を聞きながら判断してください。

イグザルテーション(好き)

イグザルテーションは「好き」な気持ちを表します。
恋愛感情で多く登場しますが、仕事などでも、「今の仕事がかなり好き!」という風に登場するでしょう。
JF式ではマイ・サインでしたが、朝比奈式ではこのイグザルテーションが好きという気持ちを表します。

トリプリシティ(好意)

トリプリシティは、イグザルテーション程ではないものの、好意を表します。
ほどほどに好き、という意味になるでしょう。

表の見方が少し特殊なので説明しておきます。
トリプリシティでは3つの天体を用います。
「昼」の列にある天体は、お昼のホロスコープでのみ当てはまります。「夜」の列の天体は、夜のホロスコープでのみ当てはまります。
昼と夜の区別は太陽の位置で判断します。太陽が地平線より上にいれば、つまり12、11、10、9、8、7ハウスにいればお昼のホロスコープです。
例えば、おひつじ座の場合、ホロスコープがお昼のホロスコープの場合は、トリプリシティは太陽と、すぐ次で説明する、昼夜共通の天体である土星になり、夜のホロスコープの場合、木星と土星になります。
「昼夜」と書いてある天体は、昼夜共通ルーラー(昼夜共通の天体)のことで、この天体は昼でも夜でもトリプリシティと考える天体です。
例えば、おひつじ座にいる天体なら、お昼でも夜でも土星に対してトリプリシティのレセプションを持つことになります。
一番右に、エレメント、火と地のセットについて、90%、10%、稀に、という表を加えてあります。
サイデリアルでもトロピカルでも、火のサインは、おひつじ座、しし座、いて座を指し、地のサインは、おうし座、おとめ座、やぎ座を指しています。
サイデリアルとトロピカルでなぜサインが一つずれないのか、他のサインのように、トロピカルおひつじ座ならサイデリアルうお座にならないのか、少しおかしい気がしますが、これで問題ありません。
理由は、正直よくわかりません。なぜかこれで対応していただけるようです。
火と地のトリプリシティについては、その人によって当てはまるセットが異なり、90%の人には90%のセットが、10%の人には10%のセットが当てはまります。
90%のセットの場合、火のサインならば昼太陽、夜木星、共通が土星、地のサインでは、昼金星、夜月、共通が火星になり、10%のセットの場合、火のサインでは昼太陽、夜木星、共通が火星、地のサインでは、昼金星、夜月、共通が土星になるということです。
ただ、一貫しているわけでもありません。基本的に90%の人には90%のセットのトリプリシティが当てはまるのですが、10%のセットが当てはまってしまうこともあります。
一つのホロスコープの中で、このセットが一貫しているわけでもありません。例えば、おひつじ座には90%のセットが当てはまっているのに、しし座には10%のセットが当てはまっていたりします。
これは、アスカーの話を聞くことで判断できることもあるし、結果から判断できることもあります。
曖昧なことも多くなるとは思いますが、ここの判断はそれほどこだわらなくてもいいと思います。わかる時にはわかるので、その程度に捉えておきましょう。

また、かに座とおとめ座の夜の天体だけ、例外的なペアになっています。
かに座は水のサインですが、金星、火星、月にならず、金星、月、月となり、同様におとめ座も金星、火星、火星のセットになります。
ここはどういう理由かわかりませんが、こちらの方が当てはまりがよくなるでしょう。

太陽が地平線の下2、3度くらいにいる場合、そのホロスコープはお昼のホロスコープとして扱います。
例えば、アセンダントがいて座10度で、いて座12度に太陽がいる場合が当てはまるでしょう。

ターム(嫌い、でも気になる)

タームは「嫌いなんだけど気になる」気持ちを表します。
アンチという言葉がぴったりくると思います。
嫌いなんだけど気になってついつい情報をチェックしてしまう、という感じです。
マイ・サインやイグザルテーションに比べればそれほど強いレセプションではないので、例えば、イグザルテーションと一緒に登場した場合はイグザルテーションの好きという意味の方が強く出るでしょう。
好きなんだけど一部嫌いなところがある、という感じになると思います。

タームは、クラシック占星術の中ではエジプシャン・タームとカルディアン・ターム、それにトレミーのタームという3種類の表が知られています。
CL式はエジプシャン、JF式はカルディアンで、トレミーのタームが使われることはまずありません。
この中で、エジプシャンが最も人気です。
朝比奈式のタームは、これらのどれとも異なる天体配置になります。

朝比奈式のタームは、エジプシャンのタームと一列目だけがずれています。
エジプシャンと比べて、一列目の天体だけ一つずつ前にずれています。
例えば、おうし座の最初のタームは朝比奈式では木星になりますが、これはエジプシャンではおひつじ座の最初の天体になります。

フェイス(不明)

フェイスにも、わずかに意味はあるようですが、使う必要はないようです。
フェイスの持つ意味はわかりませんでした。

デトリメント(無関心)

デトリメントは無関心状態を表します。
JF式ではペレグリンでしたが、朝比奈式ではこのデトリメントが無関心を表します。

フォール(存在しない)

朝比奈は、フォールというレセプションは存在しないものと考えています。
意味がどうこう以前に、このレセプション自体が存在しないと考えています。

ペレグリン(嫌い)

JF式ではデトリメントが嫌いという意味で説明されていますが、朝比奈式ではこのペレグリンが嫌いという意味になります。

3. レセプションの変化

レセプションを読む時には、レセプションの変化が重要になります。
これから好きになるのか、嫌いになるのか、それとも無関心になっていくのか。
天体レセプションのホロスコープとサインレセプションのホロスコープではこの変化の読み取り方が異なります。

天体レセプションの場合

天体レセプションのホロスコープでは、レセプションの変化は位置レセプションとの組み合わせだけを用いて読み取ります。
サインの変化がレセプションの変化に繋がることはありません。
天体が近づいていくのか、離れていくのかが大切になります。
例えば、上のホロスコープで太陽はこれから火星に近づいていきます。つまり、このホロスコープが天体レセプションで読むホロスコープの場合、太陽はこれから火星のことがますます好きになっていく、と解釈するのです。
一方、土星と水星の関係を見てみると、水星はこれから土星から離れていこうとしているところです。
この場合、位置レセプションの解釈では「土星は水星のことを好きだけど、水星は離れていく」となります。
位置レセプションは、サインの前の方にいる天体の気持ちを表すものでした。
しかし、ここには例外があり、このように、サインの後ろの方の天体が離れていく時に限り、サインの後ろの方の天体の気持ちが離れつつある状態を表します。
このホロスコープの場合、水星の土星に対する気持ちは、天体レセプションで見ると無関心になります。
ホロスコープを作った時点で、水星は土星に対して無関心。
けれど水星はこの後、土星からもっと離れていくわけなので、無関心状態はさらに加速していき、より一層の無関心状態になっていく、と解釈できるのです。

また、レセプションから話が少しずれるのですが、天体レセプションのホロスコープの場合は、天体のサインの移動が状況の変化を表すことはなくなります。
通常、天体のサインの移動は、その天体によって表される人物の状況の変化を表すものですが、天体レセプションのホロスコープではそれが当てはまらなくなるのです。覚えておきましょう。

サインレセプションの場合

サインレセプションのホロスコープでは、レセプションの変化は位置レセプションとサインの変化から読み取ります。
位置レセプションは、天体がこれから近づいていくのか、離れていくのかという点が重要になります。好きになっていくのか気持ちが離れていくのか、もちろん大違いですよね。
サインレセプションは、サインの変化から気持ちの変化を読み取ります。
この二つは両立します。
例えば、このホロスコープの場合、水星と火星を見てみると、水星はこれから火星に近づいていくので、位置レセプションから、水星は火星に対して徐々に好意的になっていくでしょう。
でも、水星はおうし座からふたご座へ移動しようとしています。サインレセプションから、水星の火星へのレセプションはマイ・サインからペレグリンに変化するので、関心のある状態から嫌いな状態へと変化する、と読み取ることができます。
両者を合わせて考えてみると、関心のある状態から、嫌いではないけど無関心くらいになっていく、と読み取れます。
もう少し正確に言えば、サインの変化から一度好感度がガクッと下がった後で、少しずつまた好感度が上がっていくということになるでしょう。

レセプションの変化をサインレセプションから読み取る場合は、レセプションの種類によって注意が必要です。
マイ・サイン、イグザルテーション、トリプリシティ、デトリメントについてはサインの変化がレセプションの変化に繋がりますが、タームの移動はレセプションの変化に結びつきません。
タームだけは、ホロスコープを作った時のレセプションだけが重要になります。
例えば、このホロスコープでは水星はおうし座25度付近にいて、土星のタームです。土星に対する気持ちはタームであり、おうし座27度からは火星のタームなのですが、水星がおうし座27度に進んでも、その時点で土星へのタームのレセプションが無くなるわけでもなく、火星に対するタームのレセプションが発生するわけでもないのです。
もちろん長い目で見て、ある程度気持ちは変化していくと思いますが、今すぐではなさそう、と判断してよいでしょう。

4. レセプションが当てはまらない相談内容

レセプションには例外があり、当てはまらない相談内容があります。
それは常識的に考えてレセプションを考えても仕方のない事柄で、例えば、病気、死、アスカーにとっての敵などが当てはまります。
具体的には、第6ハウス、第8ハウス、第12ハウスがこれらに当てはまりやすくなり、ロード6、ロード8、ロード12についてはレセプションを考慮せずに占いを進めることが若干、多くなるでしょう。
例えば、アスカーが病気について相談していて、病気がロード6で表されている場合、ロード6のレセプションは考慮しないということです。病気は病気であり、アスカーを表す天体に対するレセプションが良くても悪くても、悪いものと考えます。
もちろん、アスカーを表す天体の、病気を表す天体に対するレセプションも考慮しません。レセプションが良いなら治る病気、悪いなら治りにくい病気などという違いもありません。単純に、病気を表す天体のレセプションは考慮しないのです。
同様に、アスカーの死を表すロード8も、アスカーの敵を表すロード12についても、その意味を考えることはありません。
ただ、これはハウスがというより、その内容が、レセプションを考えても仕方のないことだから、ということです。病気の好き嫌いや死の好き嫌いを考えても意味がないという意味で、ロード6やロード8ならレセプションを考えないという意味ではありません。
例えば、アスカーの彼が第6ハウスで表されている場合なら、もちろんロード6のレセプションは重要になります。
レセプションを考えない事柄は、他にも、第4ハウスか第5ハウスによって表される事故、怪我などがあります。

お金のレセプションはどうなるでしょうか。
お金は考え方が特殊になります。
誰かのお金とアスカーのお金の関係を考える時には、二つの要素が重要になります。
1.アスカーがその相手を好きかどうか
2.相手のお金を表す天体からアスカーのお金を表す天体へのレセプションが良いかどうか

アスカーがおじいちゃんからお金をもらう場面で説明しましょう。
アスカーはおじいちゃんからもらえるお金がたくさんかどうか気にしているとします。
この場合、アスカーがおじいちゃんを好きかどうか、そして、おじいちゃんのお金からアスカーのお金へのレセプションがいいかどうか。この二つをチェックします。

アスカーがおじいちゃんを好きかどうか、これが重要になる理由は、嫌いな人からもらったお金はすぐ使ってしまい、好きな人からもらったお金は手元に残りやすい傾向があるからです。
え?と、不思議な感じもしますが、言われてみれば確かに。
でもちょっと違和感も残りますね。
これは後でもう少し詳しく説明するとして、次に、おじいちゃんのお金のアスカーのお金に対するレセプションが重要になります。
これが直接的には、そのもらう金額の多い少ないを表すようです。

例えば、今年おじいちゃんからもらうお年玉の額は…と考える時、この二つのレセプションは等しく重要になります。
二つのレセプションから判断してください。

しかし、例えば、おじいちゃんのこと大嫌いだけどそんなのはどうでもよくて遺産はどれくらいもらえるだろうという質問の中では、後者のレセプションだけが重要になります。
おじいちゃんを好きかどうかは、アスカーの中では何の重要性も持たないからです。

このように、お金をくれる相手のことをアスカーが好きかどうかということは、その時々によって重要になったりならなかったりします。
アスカーの話を聞いて判断してください。
ただし、このレセプションが重要になる理由は、どうもこれだけではなさそうです。詳しくはわかりませんでしたが、単にこのレセプションはお金について占う時には重要になるようです。
しかし一応こういう傾向はあるので、嫌いな人からもらったお金でもお金はお金と割り切れる人の場合ならこのレセプションは問題にならなくなる、と覚えておきましょう。

他にもよくある相談だと、例えば、仕事の給料が良いかどうかという質問では、仕事が第10ハウス、仕事の給料が第11ハウスで表されている場合、ロード1からロード10へのレセプションと、ロード11からロード2に対するレセプションが重要になるでしょう。

5. レセプションの歴史(朝比奈式)

これまでクラシック占星術を勉強してきた方は、サインを使わずにレセプションを判断する位置レセプションや天体レセプションに違和感を覚えることでしょう。
サインを考慮しない判断方法は、基本的にクラシック占星術に存在しないと考えられているからです。
「サインを使わずにレセプションを考えるの!? レセプションってサインが大事なんじゃないの?」
驚かれるのも無理はありません。少し説明が必要ですね。

サインが重要にならない理由は占星術の歴史を振り返ると理解の助けになると思いますが、朝比奈の考える占星術の歴史は以下の通りです。

占星術は紀元前5,000年頃の発祥で、元々、空を見上げれば誰でもすぐに使えるように創られました。
この当時の人たちが空を見上げれば…というところが重要です。
この時期の人たちは正確な観測技術を持たず、ひじょうに大雑把にしか天体の位置を把握することはできませんでした。
このような事情を考慮した上で、それでも使えるようにと当初占星術は創られたのです。
だから、サインを正確に把握できなくても、ハウスが多少曖昧でも使えるように占星術は創られています。
すなわち、正確なサインの場所を必要とするサインレセプションは、当初存在していなかったのです。
レプション自体は占星術の黎明期から存在していたのですが、最初のうちは位置レセプションと、天体レセプションだけが使われていました。
この二つのレセプションは、空を見上げれば一目ですぐに使えるレセプションです。
天体同士の位置を確認できる位置レセプション。こちらは説明不要ですね。
天体レセプションを用いるためには、一目でわかる太陽と月を含め、その他5天体も識別できなくてはいけませんが、これは慣れると、というか、天体観測が趣味の人には説明も不要なくらい簡単なことです。
ましてや占星術をしたいような人が、夜空を見て土星と木星の区別もつかないなどということはあり得ません。

一目ではわかりづらいレセプション、サインレセプションが使われ始めたのは、人々の生活が複雑になってきた頃からです。
人々の生活は、王、貴族、平民、兵士、奴隷、というような単純な世界から、時代を経て、商業の登場や仕事の複雑化、生活の様式の変化などにより、複雑なものへと変化していきました。
それに合わせて、複雑な状況にも対応できるように、レセプションの技術が増やされたのです。これがサインレセプションであり、時期は紀元前1,000年ごろになるようです。
その後色々な経緯を経て、位置レセプションは占星術の舞台から消え去り、天体レセプションもほぼ消滅して、サインレセプションだけが遺り現在に至ります。

それでは、一つのホロスコープには、なぜ二つのタイプのレセプションが同時に存在しないのでしょうか。
先にも説明したように、天体レセプションとサインレセプションが、一つのホロスコープに同時に表示されることはありません。
この理由は、占星術を創られた方々が、サインレセプションを創られた時、ホロスコープを二分したためです。
天体レセプションが当てはまるもの、サインレセプションが当てはまるものにホロスコープを分けることで、アスカーの置かれている状況をより正確に描写できるよう、占星術を創り直したからなのです。

なお、この読み方には例外が一つあります。それはネイタルのホロスコープです。
ネイタルのホロスコープだけは、今でも天体レセプションで読むように創られています。
正確に言えば、サインレセプションでも読めなくはないのですが、はっきり当てはまらない人が出てきてしまうので天体レセプションで読むと考えておく方が良い、ということです。