2017/8/19 更新
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◆ CL式、JF式
CL式とJF式では、エッセンシャル・ディグニティを判断する方法が少しだけ異なります。それぞれ解説します。
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サイン法によるエッセンシャル・ディグニティの決まり方
サイン法によるエッセンシャル・ディグニティは、その天体がサインのどの場所にいるかによって決まります。
サイン自体で決まることもあれば、サインの中の特定の範囲で決まることもあります。
例えば、火星はおひつじ座にいる時エッセンシャル・ディグニティが良くなり、おうし座にいる時悪くなります。これはサイン自体で決まっています。
一方、例えば金星はおひつじ座6~12度までの範囲にいる時エッセンシャル・ディグニティが少しよくなります。これはサインの中の特定の範囲で決まっています。
エッセンシャル・ディグニティの程度
サイン法のエッセンシャル・ディグニティには「程度」があり、どれくらい良い/悪いのか、程度を判断するための基準が設定されています。
【エッセンシャル・ディグニティの程度】
◆ 良い : 5段階
・マイ・サイン : 良い
・イグザルテーション : 良い
・トリプリシティ : まずまず
・ターム : 少し
・フェイス : ほんの少し
◆ 悪い : 2段階
・フォール : 悪い
・デトリメント : 悪い
◆ 無し
・ペレグリン : 良くも悪くもない状態
エッセンシャル・ディグニティの最も良い状態は、マイ・サインとイグザルテーションの2つになります。
次に大分下がってトリプリシティ、さらにまたググッと下がってタームとフェイスが続きます。
エッセンシャル・ディグニティの悪い状態はフォール、デトリメント。
良くも悪くも無い状態がペレグリンになります。
サイン法の例外:状況描写のルール(JF式のみ)
エッセンシャル・ディグニティをサイン法で考える時には、状況描写のルールと呼ばれる例外ルールが存在します。
「サイン法で考えるとエッセンシャル・ディグニティが悪くなる場合にも、このルールに当てはまっていればエッセンシャル・ディグニティが悪いとは考えず、状況を描写しているだけと考える」というものです。
例えばホラリーで傘を探しているとしましょう。
この時、もし土星が傘を表していて、かに座にいると、土星のエッセンシャル・ディグニティはデトリメント(悪い状態)になります。
でも、かに座は水のサインなので、傘とぴったりですよね。
だからこういう時には、エッセンシャル・ディグニティが悪いから傷んだ傘なんだとは考えず、状況にぴったりなだけと考えるのです。
ただ、これはJF式だけの考え方になるようで、CL式では単純に悪いものは悪いと考えるようです。
サイン法の詳細
それではサイン法の詳細を説明しましょう。
良い、悪い、そしてどちらでも無いエッセンシャル・ディグニティについて説明していきます。
サイン法でエッセンシャル・ディグニティを調べる時には以下の表を用います。
これは「エッセンシャル・ディグニティの表」と呼ばれるものです。
この表は2種類あります。
広く用いられているのがCL式の表で、ドロテウスのトリプリシティとエジプシャンのタームを採用しています。
もう一つはウィリアム・リリーやジョン・フローリーの使っている表で、こちらはトレミーのトリプリシティとカルディアンのタームを採用しています。
違いは以下で説明します。
1.CL式(ドロテウスのトリプリシティ、エジプシャン・ターム)
2.JF式(トレミーのトリプリシティ、カルディアン・ターム)
マイ・サイン(My Sign:良い)
【天体とマイ・サイン】
土星 : 水瓶座 山羊座
木星 : 魚座 射手座
火星 : 牡羊座 蠍座
金星 : 牡牛座 天秤座
水星 : 双子座 乙女座
太陽 : 獅子座
月 : 蟹座
天体はマイ・サインのサインにいる時、エッセンシャル・ディグニティが最も良い状態になります。
例えば、火星はおひつじ座かさそり座にいるとマイ・サインの状態になります。
サッカー選手に譬えると、その選手本来の実力を発揮している状態が当てはまるでしょう。
なお、マイ・サインという言葉は朝比奈の創作です。
わかりやすさのためにこの言葉を作りましたが、マイ・サインは伝統的には「オウン・サイン(Own Sign)」、もしくは「ドミサイル(Domicile)」と呼ばれています。
イグザルテーション(Exaltaion:良い)
【サインとイグザルテーションの天体】
牡羊座:太陽
牡牛座:月
双子座:なし
蟹座 :木星
獅子座:なし
乙女座:水星
天秤座:土星
蠍座 :なし
射手座:なし
山羊座:火星
水瓶座:なし
魚座 :金星
イグザルテーションもマイ・サインと同じく良い状態を表します。
サインと天体の配置は上記の通りで、例えば太陽はおひつじ座にいる時、エッセンシャル・ディグニティがイグザルテーションの状態になります。
イグザルテーションの天体はすべてのサインにあるわけではありません。例えば、ふたご座やしし座にはイグザルテーションの天体はありませんね。
イグザルテーションは、その天体が表す物/事/人物が「実質よりも輝いている状態」を表しています。
サッカー選手に譬えると、実力以上の実力を発揮している選手が当てはまるでしょう。
ただ、やはり実力以上の力を発揮している状態なので、それほど長続きしない性質を持っているようです。
また、「イグザルテーションの状態にある天体が表す人物は、自分自身に驕っている可能性がある」と説明されます。
これはレセプションを勉強すると理解できるようになるでしょう。
スーパー・イグザルテーション・ディグリー(Super Exaltation Degree)
【スーパーイグザルテーションの度数と天体】
牡羊座19度 : 太陽
牡牛座3度 : 月
双子座 : なし
蟹座15度 : 木星
獅子座 : なし
乙女座15度 : 水星
天秤座21度 : 土星
蠍座 : なし
射手座 : なし
山羊座28度 : 火星
水瓶座 : なし
魚座27度 : 金星
スーパーイグザルテーションというのは、イグザルテーションのスーパーナイスバージョンです。
天体がこのスーパーイグザルテーションの度数にいる時には、通常のイグザルテーションを超える程素晴らしい状態になる、という考え方です。
サッカー選手で考えてみると、絶好調でハットトリックを達成する選手などが該当するでしょう。
例えば、太陽はおひつじ座19度にいるとスーパーイグザルテーションの状態になります。
イグザルテーションは長続きしないようなので、このスーパーイグザルテーションもたぶん、長続きしないのでしょう。
スーパーイグザルテーションの度数は序数です。
つまり、おひつじ座の19度は、18度00分~18度59分度までを指しています。なお、エッセンシャル・ディグニティの表の度数は全て序数です。
トリプリシティ(Triplicity:まずまず)
トリプリシティは、マイ・サインやイグザルテーションよりも程度がぐっと下がるエッセンシャル・ディグニティです。
サッカー選手に譬えると、たまに良いプレーをする普通の選手が該当するでしょうか。
トリプリシティは見つけ方が少し特殊です。
ホロスコープがお昼か夜かで、トリプリシティになる天体が変わります。
まず、そのホロスコープの昼夜を、太陽の位置を見て判断します。
太陽が地平線より上(7、8、9、10、11、12ハウス)にいればお昼、地平線より下(1、2、3、4、5、6ハウス)にいれば夜のホロスコープになります。
そして、昼のホロスコープではトリプリシティの昼の列の天体がトリプリシティの状態になり、夜のホロスコープでは夜の列の天体がトリプリシティの状態になります。
それに加えて、お昼でも夜でもどちらでもトリプリシティになる昼夜共通の天体(昼夜共通ルーラーとも呼ぶ。英語ではparticipating ruler)というものがあります。
例えば、おひつじ座のところを見てみると、お昼に太陽、夜に木星、昼夜には土星と書いてあります。
つまり、お昼のホロスコープでは太陽と土星が、夜のホロスコープでは木星と土星がトリプリシティの状態になるということです。
昼夜共通の天体については使うかどうか意見が分かれていて、昼夜共通の天体を使う方はドロテウスのトリプリシティ・システム、使わない方はトレミーのトリプリシティ・システムと呼ばれています。
CL式はドロテウスを、JF式はトレミー式を採用しています。
歴史的に多くの占星術師は昼夜共通の天体を採用していますが、ウィリアム・リリーやジョン・フローリーなど有名な占星術師の中にも昼夜共通の天体を採用しない人はいます。
また、水のサインについては、若干支配星が異なります。ドロテウスでは昼が金星、夜が火星、昼夜共通が月となり、トレミーでは昼と夜が共に火星になっています。
地のサインに関しては、昼夜共通ルーラーのところで現在意見が分かれているようです。元々の天体は火星だったのですが、現在は土星が人気です。金星、月、火星ではなく、金星、月、土星のセットが主流になっているようです。
ターム(Term:少し)
トリプリシティの次のエッセンシャル・ディグニティはタームになります。
タームにはトリプリシティのようなお昼と夜の区別はありませんが、トリプリシティよりも程度はさらに下がります。
サッカー選手に譬えると、実況の人がなかなか名前を呼ばないような選手になるでしょう。
タームはサインの場所を覚えにくいエッセンシャル・ディグニティです。
サインを不規則な大きさに分割し、それぞれの場所に不規則に天体が配置されています。
例えば、おひつじ座の最初のタームは木星の6度(序数)なので、おひつじ座0度00分~5度59分までの範囲に木星がいると、木星がタームの状態になることを表します。
同様におひつじ座6度00分~11度59分に金星、12度00分~19度59分に水星がいれば、それぞれタームの状態になります。
また、表を見てわかる通り、太陽と月はタームにはなりません。
タームには伝統的に何種類かの表が存在しています。
CL式はエジプシャン・ターム(Egyptian Terms)を採用し、JF式はカルディアン・ターム(Chaldean Terms)を採用しています。
それから、ここには掲載しませんでしたが、ほとんど使われないトレミーのターム(Ptolomeic Terms)と呼ばれる表も存在しています。
どのタームの表が正しいのでしょうか?
歴史的に多くの占星術師たちはエジプシャンを採用しています。
現代でも多くの人はエジプシャンを使っていますが、カルディアンを使う人たちもいます。
フェイス(Face:ほんの少し)
フェイスはタームよりもさらに程度が下がります。
サッカー選手に譬えると、実況の人がほとんど名前を呼ばないような選手になるでしょうか。
フェイスはサインを3つの同じ大きさの塊に分け、それぞれに支配星を割り当てています。
1つのサインは30度なので、フェイスの範囲は10度ずつ。
例えば、おひつじ座0度00分~9度59分までの範囲にいる火星は、エッセンシャル・ディグニティがフェイスの状態になります。
デトリメント(Detriment:悪い状態)
デトリメントは悪いエッセンシャル・ディグニティです。
天体がマイ・サインの反対のサインにいる時、デトリメントの状態になります。
例えば、火星はおひつじ座でマイ・サインになるので、てんびん座でデトリメントになります。
デトリメントの天体が表す物/事/人物は、弱っていたり傷ついていたり、悪い振る舞いをしたりする可能性があります。
サッカー選手に譬えると、怪我をしているような選手が該当するでしょう。
なお、デトリメントがどのように悪い状態なのかは、アスカーの置かれている状況から判断してください。
フォール(Fall:悪い状態)
天体は、イグザルテーションの反対のサインにいる時、このフォールになります。
フォールはデトリメントと同様、悪い状態を表します。
フォールはイグザルテーションの反対の意味を持つとされ、「悪すぎる状態を表す」と考えられています。
また、スーパーイグザルテーションの度数の正反対の場所に、スーパーフォールの度数が存在しています。そのままの意味で、とても悪い状態を表します。
フォールはイグザルテーションの反対の意味に当たるので、こちらも長続きしないのでしょうか。気になるところですが、説明している人がいないので不明です。
ペレグリン(Peregrine:良くも悪くもない状態)
ペレグリンは良くも悪くもない状態を表します。
「良いところがないので悪くなりがち」という理由で、伝統的には悪い方に分類されます。
しかし、これは説明がおかしいですね。良くも悪くもない状態と覚えておきましょう。
また、ペレグリンは伝統的に「彷徨っている」という意味を持つことがあると説明されます。
ペレグリンの天体によって表される人物は放浪者かもしれない、という意味になります。