11.アラビアン・パート

2015/11/5 更新

さぁ今回からアラビアン・パートです。
アンティシア(仮想上の天体)と同様にアラビアン・パートも、最初僕はほとんど意味がわからず、なんのこっちゃ目がまん丸でしたこんな感じ(◎_◎)
しかし今では大切さも身に染みて、それはもう愛用しております。

【Arabian Parts(アラビアン・パート)】
アラビアの、場所…(゜_゜)
何と訳せば良いのかよくわかりませんが、アラビアン・パートは、ホロスコープの中の、ある特定の意味を持つ場所のことです。
目に見えない小さな天体、というイメージですが、天体ではありません。計算から導かれる特定の場所です。
アラビア語で書かれていた占星術のテキストに載っていたので、このような名前になったそうです。

ここに登場するPartには二つの意味があるそうです。一つは「場所」や「部分」、もう一つは「たくさん」。
そのため、アラビアン・パートは「~の場所」あるいは「~がたくさんある場所」という2つの意味を持つことになります。
アラビアン・パートは何種類もありますが、そのアラビアン・パートによって、どちらの意味を持つのか大体決まっているようです。
ホラリーでは「場所」を示すアラビアン・パートを多用します。
「たくさん」という意味を持つアラビアン・パートが登場するのは、主にネイタルからです。

前置きが長くなりました。
それでは、アラビアン・パートとは一体何でしょうか?

天体だけでは表示しきれない、補足情報を教えてくれる道具

アラビアン・パートは、主役の天体を考察するだけではわからなかった、補足情報を教えてくれる可能性があるホロスコープの特定のポイントです。
例えば、質問が結婚生活についてなら、”結婚”についてのアラビアン・パート(結婚AP)をチェックします。
そうすることで、登場人物を表す天体をチェックするだけでは得られなかったはずの、有益な補足情報を得られることがあるのです。
例えば、「彼女と結婚してもいい?」
「彼女とは両想いのようですが、この結婚は彼女にとっては良くてもあなたにとっては悪いものになりそうです。」

アラビアン・パートは、ホロスコープの中の特定の場所

アラビアン・パートは、計算式で導かれるホロスコープの中の特定の場所です。
計算式は後で説明しますが、大切なことは、アラビアン・パートは計算して見つけるものなので、ホロスコープに表示されていない、ということです。

例外として、最初からホロスコープに表示されているアラビアン・パートが一つだけあります。
パート・オブ・フォーチュン(Part of Fortune)と呼ばれるアラビアン・パートです。
しかしこれは本当に例外で、その他のアラビアン・パートはホロスコープに表示されません。
占星術ソフトの中には、アラビアン・パートを自動的に計算してくれる機能を持つものもありますが、そういうソフトが無い場合には電卓を叩いて計算することになります。
僕は叩いてますカチカチ(´・ω・`)
PoFだけ、実際のホロスコープで確認してみましょう。

house-2-01-whereisthedocuments

このホロスコープでは、♎てんびん座11.52度のところに「PoF」のマークがありますね。
これがパート・オブ・フォーチュンです。
実は、計算によって導かれていたんですね!

アラビアン・パートの種類

ホラリーで使うアラビアン・パートは以下の通りです。
APはアラビアン・パートの略ですが「えーぴー」と読むことにします。
某コンビニみたいな名前ですが、もうあのソフトクリームは食べられません、懐かしいですね。
話を戻すと、例えば、”幸運AP”なら「幸運えーぴー」です(・∀・)

【アラビアン・パートの種類】
幸運AP(パート・オブ・フォーチュン) : Asc+月-☉太陽
結婚AP : Asc+Desc-♀金星
離婚AP : Asc+Desc-♂火星
辞職・解雇AP : ♄土星+♃木星-☉太陽
仕事AP : Mc+月-☉太陽
有名AP : Asc+♃木星-☉太陽 R
死のAP : Asc+8カスプ-月、8カスプ+♄土星-月
手術AP : Asc+♄土星-♂火星 R

質問に関連するアラビアン・パートだけを使う

アラビアン・パートは、恒星の使い方と同様、アスカーの質問に関連するアラビアン・パートだけを使います。
例えば、「彼とつきあえる?」という質問では、結婚APだけをつかいます。

アラビアン・パートは、補助として

アラビアン・パートは多くの場合、主役としてではなく補佐役として登場します。
最も大切な主役は、やはり登場人物を表す天体たちです。
そのため、アラビアン・パートのもたらす情報が主役の天体たちのディグニティ、レセプション、アスペクトなどから推測される結果を覆すことはまずありません。

また、アラビアン・パートは質問に関係する時のみ使うのが基本ですが、いつも重要になるわけではありません。
質問に関係する時に使っても特に重要性を持たず、使わなくても同じだった、ということはよくあります。
アラビアン・パートは、時々、重要になる要素です。
たまに、ホロスコープがレセプションなどを犠牲にしてでもアラビアン・パートを強調することがありますが、とても稀です。

アラビアン・パートと、アラビアン・パートのディスポジター

アラビアン・パートを使う時は、必ず、アラビアン・パートとアラビアン・パートのディスポジターをチェックします。

【アラビアン・パートは必ず2ヶ所をチェック】
(1)アラビアン・パートそのもの
(2)アラビアン・パートのディスポジター

先程のホロスコープをもう一度見てみましょう。
house-2-01-whereisthedocuments

このホロスコープでは♎てんびん座11.52度のところにPoF(幸運AP)があります。
この幸運APの提供してくれる情報を考える際には、以下の2ヶ所をチェックします。
1.幸運APそのもの(♎てんびん座11.52度)
2.♎てんびん座のディスポジター(マイ・サインの天体)である♀金星
この2ヶ所から得られる情報を総合して考えるということです。
しかし、この2つの要素はチェック方法が少し異なります。

(1)アラビアン・パートそのもの

最初にアラビアン・パートそのものの、チェック方法から。
少し細かいので、がんばりましょう( ^)o(^ )

天体からの、オーブ・アスペクト

アラビアン・パートは、ある天体とオーブ・アスペクト(相互に影響)している時、その天体から影響を受けます。
このオーブ・アスペクトは、5種類のアスペクトすべてを使います。
恒星は☌コンジャンクション(0度、同じサイン)だけだったのでちょっと違いますね。気をつけてください。

オーブ・アスペクト(相互に影響)は、天体がお互いに影響しあっているというアスペクトでした。
例えば、♀金星と♂火星がオーブ・アスペクト(相互に影響)していれば「♀金星と♂火星がお互いに影響し合っている」と考えるのです。
しかし、オーブ・アスペクトには、影響が「相互的」ではなく「一方的」な時があります。
そして、このアラビアン・パートのオーブ・アスペクトが、その代表のようなものです。
例えば、♀金星が結婚APとオーブ・アスペクトしている時、「♀金星が結婚APに影響している」とは考えますが、「結婚APが♀金星に影響している」とは考えないのです。
このように、アラビアン・パートは天体と違って、天体に対して自らアスペクトすることができません。
天体に対してアスペクトができないので、常に受け身です。

それではなぜ、アラビアン・パートは常に受け身なのでしょうか。
「光を発しないものは、自らアスペクトすることはできない。アスペクトできるのは、光を発するものだけ」というルール(?)があるためです。
「アスペクト」は、「見る」という意味なのですが、占星術では、「見る」ためには、「光を投げかける必要がある」、と考えています。
「光を放つからこそ、その対象を見ることができる」、という考え方です。
そこで、例えば夜空に輝いている♀金星は、「光を放っているから、アスペクトすることができる」という論理に繋がります。
こう考えれば、占星術で使用する7天体(♄土星、♃木星、♂火星、☉太陽、♀金星、☿水星、月)はみんな光っているので、自らアスペクトできますよね。
一方、ここで出てくるアラビアン・パートは、「計算によって導かれる特定の場所」なので、光を放ちません。
「光を放たないため、見る(アスペクトする)ことはできない」のです。

アラビアン・パートのイベント・アスペクトは、☌コンジャンクションと☍オポジションの2つ

全てのアラビアン・パートではありませんが、アラビアン・パートの中にはイベントに関係するものがあります。

【イベントを引き起こすアラビアン・パート】
離婚AP : Asc+Desc-♂火星
辞職・解雇AP : ♄土星+♃木星-☉太陽
 ※イベントが起こるのは☌コンジャンクションと☍オポジションのみ

この2つのアラビアン・パートについては、オーブ・アスペクト(相互に影響)だけでなく、イベント・アスペクト(イベント発生)も考えます。
このアラビアン・パートに天体がイベント・アスペクトすると、イベントが起こる可能性があるのです。
この時、イベントを引き起こすアスペクトは、☌コンジャンクション(0度、同じサイン)と☍オポジション(180度、反対のサイン)だけなので、注意してください。

正確には、他のアスペクトがイベントを引き起こす可能性もあるのですが、ごくわずかです。
もし☌コンジャンクションと☍オポジション以外のアスペクトがイベントを引き起こす場合、他に強い証拠が必要になります。
例えば離婚なら、「お互いのレセプション(好き嫌い、関心)がとても悪い」、など。
しかし基本的には、他のアスペクトは使わないので、あえてチェックしなくても良いと思います。

アラビアン・パートのアクシデンタル・ディグニティ

アラビアン・パートを考える時は、アクシデンタル・ディグニティも考えます。
アラビアン・パートも、天体と同様コンバストでダメージを受けたり、エッセンシャル・ディグニティの悪い天体からのアスペクトでダメージを受けたり、エッセンシャル・ディグニティの良い天体からオーブ・アスペクトを受けて良い状態になったりします。
アクシデンタル・ディグニティの項目を見ながら判断してください。

なお、アクシデンタル・ディグニティのハウスによる強弱を考えるときには、そのハウスにいることで、アラビアン・パートが強くなっているのか弱くなっているのか、それとも文脈に合っているのかに、注意してください。
例えば、仕事APが第6ハウス(弱いハウス)にいる時は、仕事APが目立たないほど弱っているのでしょうか、それとも、病院(第6ハウス)で働くと良いという意味でしょうか?
アスカーの話をよく聞いて、判断しましょう。

(2)アラビアン・パートのディスポジター

アラビアン・パートのディスポジターも、アラビアン・パートと同様に、そのアラビアン・パートが示すものを表します。
例えば結婚APが♏さそり座にいれば、♏さそり座のディスポジターである♂火星も、結婚APの内容を表すのです。
そして、アラビアン・パートのディスポジターは、アラビアン・パートよりも色々な情報をもたらしてくれます。
何故かというと、ディスポジターは天体なので、アラビアン・パートとは異なり、エッセンシャル・ディグニティ、アクシデンタル・ディグニティ、レセプション、アスペクトなどを考察することができるためです。
これらの要素を考えることで、主役の天体との関係を直接判断していくことができます。
一方アラビアン・パートは「特定の場所」なので、これらの要素を考えることはできません。

【チェックポイントの違い】
◆ アラビアン・パート
 ・アスペクト
 ・アクシデンタル・ディグニティ
◆ アラビアン・パートのディスポジター
 ・アスペクト
 ・アクシデンタル・ディグニティ
 ・エッセンシャル・ディグニティ
 ・レセプション

第2部の第7ハウスでは結婚APが登場するので、そちらの実例も参考にしてみてください。

アラビアン・パートのまとめ

【まとめ一覧】

AP自体APの支配星
エッセンシャル・ディグニティ×
アクシデンタル・ディグニティ
レセプション×
アスペクト
イベント・アスペクト×
イベント・アスペクト有のAP
(例外)
離婚AP
辞職・解雇AP
※コンジャンクションとオポジションのみ

チャートのターンをしたら、アラビアン・パートもターンする

チャートをターンさせたら、アラビアン・パートもターンさせてください。
例えば、「娘夫婦の関係がうまくいっているか知りたい…」
この場合、結婚AP(Asc+Desc-♀金星)を見ることになりますが、アセンダント(Asc)から計算すると、アスカーにとっての結婚APになってしまいます。
そこで、娘を表す第5ハウス・カスプをアセンダント(Asc)と考えて、そこから計算します。
この場合なら、「第5ハウス・カスプ + 第11ハウス・カスプ(第5ハウスから7番目) - ♀金星」となります。

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補足 : アラビアン・パートは使いましょう
ジョン・フローリーは、結婚AP以外のアラビアン・パートを、ホラリーではもう使っていないそうです。(2014年当時)
…え!? 使ってないの!?Σ(゚Д゚)
参ったなー(+_+)
そうすると、あなたも使わない方がよいのでしょうか?
それとも使った方がよいのでしょうか?
解説しているくらいですから、僕は使って欲しいと思っています。
どうしてかというと、

1.意味を持つことがあるから
2.ネイタル(運勢)の練習としても必要だから

1.意味を持つことがあるから
ジョン・フローリーはここで紹介しているアラビアン・パートを20年以上使っています。
本当はもっとたくさんのアラビアン・パートを使っていましたが長い時の末に、ホラリーではここで挙げたもので十分という結論に達したのです。
20年以上使っていたくらいですから、ここで挙げたアラビアン・パートはしっかり役に立ちますよ!

2.ネイタル(運勢)の練習としても必要だから
ホラリーでアラビアン・パートを使って欲しい二つ目の理由は、アラビアン・パートはネイタルでたくさん使うからです。
ホラリーでアラビアン・パートを使う機会はあまり多くありませんが、ネイタルでは非常に重要な要素になるので、たくさん使うことになります。
しかし、ホラリーでアラビアン・パートの正確さを目撃しておかないと、いきなり使うことは難しいと思います。
そのような訳で、ホラリーでたくさん使うようにしてください。
そのうち、アラビアン・パートが見事に働くホロスコープに、出会えるはずです。

◆ジョン・フローリーが使わなくなってしまった理由
それでは、どうしてジョン・フローリーはホラリーでアラビアン・パートを使わなくなってしまったのでしょうか?
この理由は、何か極めすぎたというか、何処かの境地に入ってしまったためでしょう。
彼の話には、ほ、ほんとに…?そんなことってできるものなの…?(゚Д゚)ノ
という発言がよく出てきます。僕には到底わからない境地です。
同じホロスコープを見ていても、彼には違う風景が見えているはずです。
いきなり真剣白刃取りを練習しないでください。
まずは竹刀の素振りから!
オイッチニッ オイッチニッ(/・ω・)/