2016/8/18 更新
イベント・アスペクトの妨害
イベント・アスペクトは2つの天体がアプローチすることで起こるアスペクトですが、一見イベント・アスペクトをしそうでも実際にはしないことがよくあります。代表的な3つのケースを見ていきましょう。
なお、これら3つのケースには覚えにくい名前がついていますが、どれも望まれているイベント・アスペクトが失敗している様子を表していることに変わりはありません。すべてまとめて「妨害」と覚えておけば十分です。
【イベント・アスペクトが妨害される3つのケース】
1.プロヒビッション
2.フラストレーション
3.レフラネーション
1.プロヒビッション(Prohibition)
【Prohibition : 妨害】
2天体のイベント・アスペクトが第3の天体によって妨害されるケースです。
おうし座10度の金星がしし座15度の火星にアプローチしていたのに、先におとめ座12度にいる土星にトラインしてしまうと、金星と火星のイベント・アスペクトは妨害されてしまったことになります。
このように、アプローチしている天体が目的の天体とアスペクトする前に他の天体とイベント・アスペクトしてしまうと妨害が発生したことになり、望まれていた出来事は起こらないだろうという判断になります。
例を考えてみましょう。
・涼宮さん : 金星
・キョンくん : 火星
・みくるちゃん : 月
・佐々木くん : 土星
・金星が火星にアプローチ、しかし金星は土星と先にイベント・アスペクト
涼宮さんがキョンくんをデートに誘おうとしているが、キョンを誘う前に佐々木くんとデートに行ってしまった。
・金星が火星にアプローチ、しかし月が先に金星とアスペクト
涼宮さんがキョンくんと出かける約束をしているが、デート当日涼宮さんはみくるちゃんとと出かけてしまった。
2.フラストレーション(Frustration)
【Frustration : 挫折、失敗】
フラストレーションには2つのバリエーションがあります。
一つ目はプロヒビッションとほとんど同じです。
プロヒビッションとの違いは、アプローチしている天体ではなく、アプローチされている天体が第3の天体とアスペクトしてしまうことで望まれているイベント・アスペクトが妨害されてしまうことです。
おうし座10度にいる金星がしし座15度にいる火星にアプローチ、しかし火星がおうし座16度にいる木星に先にコンジャンクションしてしまうと、金星と火星のイベント・アスペクトが木星によって妨害されてしまったことになります。
もう一つは、アプローチされている天体が、イベント・アスペクトをする前に今いるサインから次のサインへ移動してしまうため、そのイベント・アスペクトが無効になってしまうケースです。
ふたご座20度にいる金星がふたご座29度にいる火星にアプローチ。ところが金星が火星とコンジャンクションする前に火星はふたご座から出てかに座に移動してしまうと、フラストレーションとなりイベント・アスペクトが失敗したことになります。
例を見てみましょう。
・金星が火星にアプローチ、イベント・アスペクトになる前に、火星が土星にアスペクト
涼宮さんがキョンくんとデートの約束をしていたが、デート当日キョンくんは佐々木くんと出かけてしまった。
・金星が火星にアプローチ、ところがアスペクトする前に火星はサインを移動してしまいアスペクトできなかった
涼宮さんとのデート直前で、キョンくんは突然の出張で海外へ飛んで行ってしまった。
3.レフラネーション(Refrenation)
【Refrenation : やめる、我慢する】
アプローチしている天体がイベント・アスペクトする直前で進む方向を変えてしまい、イベント・アスペクトしないことです。
・金星が火星にアプローチ、しかし金星は火星にアスペクトする前に逆行してしまいアスペクトしなかった
涼宮さんがキョンくんとデートの約束をしていたが、デート当日涼宮さんは他の用事を思い出し待ち合わせ場所に来なかった。
実際に妨害が発生するかどうか判断する方法
ここまで妨害の3つのバリエーションを見てきました。これらいずれかの妨害が発生すると、その出来事が起こる可能性は低くなってしまいます。
しかしある特殊な条件下では、その「妨害」が望まれているイベント・アスペクトを本当に妨害するとは限りません。妨害が発生して他の天体がイベント・アスペクトを邪魔をしたとしても、その出来事が起こることがあるのです。
涼宮さんとキョンくんのデートを考えてみましょう。
ある日曜日にカフェで軽くお茶を飲む程度のデートと、1か月も前から準備をしてきたキョンくんの誕生日当日のデートでは気合の入り方が異なりますよね?
デート当日に軽い風邪をひいたとすると、前者ではキャンセルするかもしれませんが、後者では無理をしてでも行くのではないでしょうか。
この様子を天体で表すと次のようになります。
・涼宮さん:金星
・キョンくん:火星
・風邪:木星
・金星が火星にアプローチ、しかし金星は火星にアスペクトする前に木星にアスペクト
涼宮さんとキョンくんはデートの約束をしていたが、涼宮さんはデートの日に風邪をひいてしまった。
1) 今日はカフェで軽いデートだからキャンセルする(木星の妨害が発生)
2) 今日は楽しみにしていたキョンくんの誕生日。多少の無理を押してでもデート決行!(木星の妨害がキャンセルされた)
どちらも木星から妨害のアスペクトが発生しているにも関わらず、片方では妨害がそのままデートをキャンセルし、もう一方ではキャンセルさせることに失敗しています。
これはなぜでしょうか?
今回のケースでは涼宮さんの気持ちに強く左右されていますね。涼宮さんの気持ちが、その妨害が実際に発生するのかキャンセルされるのかを決める要素になっているのです。
このように、実際に妨害のアスペクトが発生したとしても、主役の天体のレセプションなどある特定の要素によっては、その妨害が発生しないケースがいくつかあります。順番に見ていきましょう。
【妨害がキャンセルされてその出来事が起こるケース】
1.天体のアクシデンタル・ディグニティが強い時
2.レセプションが強い時
3.アスカーの置かれている状況、文脈、一般常識を考慮した時
4.長い期間に渡る質問
5.コンジャンクションはアスペクトの妨害を打ち消すことがある
6.月のアスペクトは妨害になりにくい
7.トランスレーションなのか妨害なのか
1.天体のアクシデンタル・ディグニティが強い時
妨害する天体のアクシデンタル・ディグニティよりも主役の天体のアクシデンタル・ディグニティが強い時には、妨害は発生しにくくなります。
例えば、涼宮さんとキョンくんのデートを邪魔して涼宮さんに散歩に連れていってもらおうとチャンスを伺う飼い犬のマロンがいるとします。
この時、マロンを表す天体のアクシデンタル・ディグニティが非常に良い状態で、実際のマロンが元気一杯キャンキャン騒ぎ立て涼宮さんの気を引くことができればデートの時間を奪い取ることができるかもしれません。
しかし、マロンを表す天体のアクシデンタル・ディグニティが極めて弱い場合、マロンはキャンキャン鳴き喚く元気もなく、デートの邪魔をすることはできないでしょう。
2.レセプションが強い時
先ほどのデートの例で、涼宮さんはキョンくんの誕生日のデートのためになら風邪をひいていても出かけていきました。このような強い気持ちは涼宮さんを表す天体のレセプションによって表されます。
天体のレセプションをチェックして、妨害を乗り越えられるかどうか判断してください。
3.アスカーの置かれている状況、文脈、一般常識を考慮した時
アスカーの置かれている状況を一般常識などから考えてみると、何が起こりそうか判断できることがあります。
例えば、遠距離恋愛中の二人が久しぶりにやっと会える日、新幹線が止まってしまったとしたら、素直に諦めるでしょうか、それとも他の交通手段を探すでしょうか?
常識的に考えれば飛行機や高速バスなど他の交通手段を探すでしょう。
このように「常識的に考えれば…」という選択肢は有力です。起こりそうな出来事は一般常識の面からも必ずチェックしましょう。
それから、状況を理解すればするほど、妨害を避けるための方法を発見できるかもしれません。
例えば、「彼と結婚できますか?」
彼のお母さんを表す天体が二人の邪魔をしそうなら、彼のお母さんにどう対応していくか…というように、打開策を考えられる可能性があります。
4.長い期間に渡る質問
色々なイベント・アスペクトでも触れましたが、質問の対象が長い期間に渡る場合には、アプローチする天体はサインを超えて移動させながらイベント・アスペクトを探します。
そして、目的のイベント・アスペクトの前に起こる他の天体とのイベント・アスペクトは全て「目的の出来事が起こる前に起こる何かしら諸々の出来事」と考えて妨害とは見なしません。
5.コンジャンクションはアスペクトより強いことがある
コンジャンクションは他のアスペクトより強力なアスペクトなので、他のアスペクトからの妨害をキャンセルさせることがあります。
例えば、てんびん座10度の金星がてんびん座15度の土星にアプローチしながら、いて座11度にいる木星に先にセクスタイルしてしまったとしても、その後土星とコンジャンクションするならば、金星と土星のイベント・アスペクトは起こる可能性があるのです。
ただ、いつもキャンセルできるわけではなく、天体のエッセンシャル・ディグニティ、アクシデンタル・ディグニティ、レセプション、一般常識などから判断します。
6.月のアスペクトは妨害になりにくい
月のイベント・アスペクトは妨害になりにくいアスペクトです。
月が主役の天体にアスペクトしたとしても、基本的にはそのまま無視して差し支えありません。
ただし、月が主役の天体や重要な登場人物として登場している場合には、月のアスペクトも他の天体と同様、妨害になりやすくなります。月が主役の天体としてではなくアスカーを表すサブ・ルーラーとして登場した時にだけ、妨害になりにくくなるのです。月がサブ・ルーラーとして登場した時には、やっぱりサブはサブなんだよ、という感じなのでしょうか?
この理由は定かではありませんが、月が何を表しているのか、月のエッセンシャル・ディグニティ、アクシデンタル・ディグニティ、レセプションなどを考慮しながら判断しましょう。
7.トランスレーションなのか妨害なのか
トランスレーションと妨害は区別が難しいことがあります。
やぎ座10度に金星、うお座12度に火星、さそり座9度に月がいるところを考えてみましょう。
月は最初に金星にセクスタイルした後、木星にトラインします。これはトランスレーションになっていますね。しかし、月が金星にセクスタイルしているところだけに注目するとこれは妨害になっています。
トランスレーションなのか、妨害なのか、どちらでしょうか?
これはアスカーの置かれている状況や質問の文脈、一般常識、さらには天体の表す物/事/人物、エッセンシャル・ディグニティ、アクシデンタル・ディグニティ、レセプションなどから判断します。
現実の例として、キョンくんが涼宮さんに告白するところを考えてみましょう。
キョンくんは友人の古泉くんに伝言を頼みます。
「涼宮に直接告白するのは恥ずかしいから、代わりにラブレターを渡して来てくれないか?」
古泉くんは涼宮さんのところへ行きラブレターを渡してくれたら…トランスレーションは成功ですね。
しかし、キョンくんから預かったラブレターを握り潰し、涼宮さんに直接「僕は涼宮さんのことが好きなので、よろしければ僕とおつき合いしませんか?」と告白してしまったら、これは妨害です。ラブレターを渡すどころかライバルだったわけです。
どちらもキョンくんと話してから涼宮さんと話すところまでは同じです。つまり天体によって表されている時、それぞれの人物を表す天体は同じ動きをしているわけです。しかし現実の経過は全く異なっています。このようにトランスレーションと妨害は一目見ただけでは区別が難しいので、上で説明したように天体のレセプションなどを考慮して判断してください。