ホラリーとネイタル

2017/12/19 更新

このサイトではホラリーの占い方を説明しているのですが、ネイタルに言及する場所がちらほら出てきます。
例えば、ホラリーではこれこれだけど、ネイタルのこれこれも見て判断してね、という風に説明しています。
当初、ホラリーの説明はホラリーで完結しておきたかったのですが、途中でそういうわけにもいかないことに気づきました。
占星術が、元々ネイタルとホラリーを組み合わせて相談事に答えるように設計?されているため、ホラリーだけ、ネイタルだけ、という風に説明することが難しかったのです。
そこで、このサイトではホラリーを説明していますが、同時にある程度ネイタルの説明も織り交ぜています。
このようなわけで、最初にネイタルの全体像をざっくりと理解してください。

【占星術の全体像】
占星術には、ネイタルとホラリーという分野が存在します。
ネイタルはその人の運勢を、生まれた瞬間のホロスコープを元にしつつ、そこからいくつかのホロスコープを導きながら判断していく方法です。
ホラリーはある相談事に対する答えを、相談を受けた時のホロスコープから判断する方法です。
この二つを組み合わせることで、占星術は相談に答えられるように出来ているのです。

伝統的には、ここにもう二つ、エレクショナル(時期選定)とマンデーン(国家の運勢)と呼ばれる分野が加わります。

まずエレクショナルですが、これは「行動によい時期を選ぶ」分野です。
例えば、転職に良い時期を選ぶために使われます。
重要極まりないじゃないかと思われるかもしれませんが、朝比奈はこの分野は不要であると考えています。
正確には、エレクショナルという言葉が不要ではないかと考えています。なぜかと言うと、ホラリーとネイタルを学べばエレクショナルは自然にできるようになるものなので、このような言葉を特別に作る必要はないと思うからです。

最後に、マンデーンと呼ばれる、国家の運勢を占うとされる分野が存在します。
例えば、日本の経済の行方や政治の行方をこれによって占うことができる、と考えられています。
しかし、朝比奈はこのような分野は元々占星術に存在せず、これは後世の創作物であり、占星術で占うことができる対象は個人の運勢までではないかと考えています。

【ネイタルの全体像】
 1.ネイタルのホロスコープ
 2.プライマリー・ディレクション
 3.リターン(ソーラーリターン、ルーナーリターン)

ネイタルは、ある人の運勢を占う方法です。
この占い方は多くの人が多くの方法を説明しています。
有名なところを挙げるだけでも、ネイタルのホロスコープだけを見る方法、プライマリー・ディレクション(以降、ディレクションと略)、リターン(ソーラーリターン、ルーナーリターン、他にも土星の回帰であるサターンリターンなどが有名)、プログレス、プロフェクション、トランジット、ハーフサム、フィルダリア、他にもネイタルとプログレスを重ねたりネイタルとソーラーリターンを重ねたりといった方法などがあるでしょうか。

この中で、朝比奈式で使っている方法は、ネイタルのホロスコープ自体を見る方法と、ディレクション、それにリターン(ソーラーリターンとルーナーリターンだけ)です。
(正確に言えば、プロフェクションだけはソーラーリターンの助けに少しだけ使っています。)

朝比奈がここに辿り着いた経緯を少し書いておきましょう。
現在占星術で人気のあるネイタルの占い方は、プログレスとトランジット、それにソーラーリターンではないかと思います。
使用法の詳細は省きますが、日本だけでなく、どれも世界中で大人気です。
朝比奈もここからスタートしました。
最初にトランジットやプログレスを学びました。
しばらく試して、よくわからず使わなくなりました。
その後、ホラリーを知るきっかけになったジョン・フローリーはプログレスとソーラーリターン、ルーナーリターンなどを使うと知り、それを学びました。
しかし、この方法も当てはまっているのかどうかよくわからず、そのうちに使わなくなりました。
その後、あちこちを彷徨った朝比奈は、ディレクションと呼ばれる占い方に出会いました。
この方法は、他の方法に比べれば圧倒的に優れているように感じて、この方法に熱中し、今に至ります。
正確に言えば、朝比奈の用いているディレクションは、トロピカルではなくサイデリアルを用いる点、朝比奈式の支配星を用いる点など、多くの点で伝統的な方法とは異なりますが、朝比奈は今でもこのディレクションを使い続けています。
そして朝比奈式では、このディレクションの他、ネイタルのホロスコープ、ソーラーリターン、ルーナーリターンを用いて運勢を占っています。
それぞれの概略を説明します。

1.ネイタルのホロスコープ

ネイタルのホロスコープには、その人の特徴が大雑把に表示されています。
例えば、太陽星座がおひつじ座で月星座がやぎ座だからこれこれこういう感じだよね、とか、お金のハウスがあれこれだからこれこれ、仕事のハウスがあれこれだからそれそれ、恋愛についてはこんな感じ…と、そういう、大雑把な特徴が表示されています。読み方は基本的にホラリーと同じですが、異なる部分もある程度存在します。
ただし、その人が育った環境によってこのような特徴は覆されることも多いので、重視しすぎることは禁物です。あくまでも、大雑把な特徴です。
この大雑把な特徴を元に、気になる彼との相性を見てみたり、性格的にこんな感じかなーと考えてみたりと、あれこれ判断したりします。

ネイタルに関しては根強い誤解があって、よく、「ネイタルに表示されていないことは人生では起こらない。ネイタルのホロスコープに表示されていることがいつ起こるのかをディレクション、ソーラーリターン、プログレスなどの方法で考えていくのが、ネイタルの占い方である」と解説されています。
この考え方は誤りです。ネイタルに表示されていないことは起こらないって…どうやって起こる起こらないがわかるのでしょうか?
例えば、ネイタルでお金を表す天体が悪い状態の人はずっと金運が悪いんじゃ…と、すぐに思いつきますよね。この方法でしょうか?
しかし残念ながら、こんな表示が当てはまらない人はいくらでも見かけます。
こういうことは、生まれ育った環境次第でいくらでも変わる事柄です。その人の育った国の経済状況や、生まれ育った家庭や、友達、先生、本人の生き方などに大きく左右されることです。
「私のネイタルを見ると金運が悪いから貧しいんだわ…」などということはあり得ません。
「私の結婚運は悲惨なんだわ」もないし、「このホロスコープなら心配事なし。人生薔薇色だわ」もあり得ないのです。
このように、ネイタルのホロスコープは、大雑把に人生の傾向を把握するために使われます。

そして、ネイタルのホロスコープは、次から出てくるディレクションとソーラーリターン、さらにルーナーリターンで、その人を表す天体を選ぶ目的でも使われます。
こちらの役割もひじょうに重要ですが、詳細は省きます。とりあえず、ネイタルのホロスコープは、ディレクションやリターンを使う上で重要なんだな、程度に覚えておいてください。

2.ディレクション

ディレクションはある人の運勢を占う方法です。
何歳頃にこんなことがありそうですね、何歳頃にはあんなことがありそうですね、と、人生の中で経験する大きな出来事と時期を伝えるための技術です。
人生で経験する大きな出来事がディレクションに表示されないことは、一部の例外を除き、ほとんどありません。
ディレクションはまさに、占星術の占星術たる所以ではないかと思います。
占星術が西洋で長く王家や貴族から保護を受けてきたのも、このディレクションが存在していたために違いありません。まったく、スゴイの一言に尽きます。
ただ、ディレクションはその理論自体は単純なものの、理解は難しく、その計算方法は輪をかけて難解で(実際はディレクションのための計算式は存在しないと朝比奈は考えていますが)、使いこなせる人は極めて限られていたと思います。これこそ、現代に至るまでこのディレクションが広く普及できなかった原因なのでしょう。

3.リターン(ソーラーリターン、ルーナーリターン)

ディレクションは優れた技術ですが、占星術ソフトの精度の問題で、運勢の表示と実際の出来事が1~2年ズレることはザラです。
そのため、例えばある出来事が2000/4/7辺りに…という表示が出たとしても、1999/4/7~2001/4/7くらいに出来事が起こるだろうと考えて使わなくてはなりません。
そこで、この大雑把さをある程度補う技術が必要になります。それがソーラーリターンです。
ディレクションで大体の出来事と時期を判断したら、それが具体的に何か、いつ頃なのかをソーラーリターンで絞り込んでいくのです。
そして、ソーラーリターンで絞り込んだ時期を、ルーナーリターンでさらに絞り込んでいくことで、一連の流れは完結します。