2-2.複数のハウス・ルーラー

2020/05/30 更新

複数のハウス・ルーラーについて、上のホロスコープを用いて説明します。
ハウス・ルーラーはいつも1つというわけではなく、複数になることがあります。
例えば、ロード3が土星と火星というように複数の天体によって表されることがあるのです。
先に説明したハウス・ルーラーの選び方は、ハウス・カスプのサインから選ぶ方法でした。
これは基本中の基本の方法で必ず有効であり、例外はありません。
これから説明する方法は、あるホロスコープでは当てはまり、あるホロスコープでは当てはまらないというように、ホロスコープによって当てはまるかどうか変わる方法です。
最初に複数の天体がハウス・ルーラーになる条件を説明してから、その解釈の方法を説明します。

ハウス・ルーラーが複数になる条件

【ハウス・ルーラーが複数になる条件】
1.ハウスの中に天体がいるとき
2.イグザルテーションの天体を考慮するとき
3.アルムーテンの支配星を考慮するとき(CL式のみ)

1.ハウスの中に天体がいるとき

ホラリーの場合、ハウスの中にいる天体は、約50%の確率でそのハウスのハウス・ルーラーになっています。
例えば、第2ハウスに天体がいる場合、その天体がロード2になっている確率がおよそ50%になるのです。
それでは、ハウスの中にいる天体がハウス・ルーラーになっているかどうかどのように見分けるのでしょうか。
これは、天体同士のアスペクトやレセプションなどから判断します
例えば、そのハウスの中にいる天体を使うと、イベント・アスペクトの度数と実際の出来事とのタイミングが一致する場合や、レセプションの意味がすっきり通るような時にこの方法を用います。(イベント・アスペクトやレセプションなどは後の章で説明します)
なお、ハウスにいる天体がハウス・ルーラーになる確率はネイタルでは20~30%になります。
なぜネイタルで確率が下がるのか謎ですが、ディレクションを用いると確かめられるでしょう。

ハウスの中にいる天体をハウス・ルーラーとして扱う方法には昔から賛否両論があります。
CL式ではほぼ100%使われている一方、JF式では基本的に使われていません。
ここは朝比奈式、CL式、JF式の大きな違いの一つになっています。
朝比奈式では先に説明したように確率が変動するものと捉えています。
CL式ではほぼ確実に使われています。
そしてJF式では基本的に使われていません。
この方法は誤りであるとジョン・フローリーはわりと強く主張しています。
「ハウスの中にいる天体をハウス・ルーラーとして使う方法は、ホラリーを学ぶ人に最もよく見られる誤りである。」
彼は長年の経験から、この考え方に辿り着いたのでしょう。
彼もやや複雑な条件が当てはまる時に限り、たまにこの方法を用いてはいるのですがとても稀です。なお、この条件については、複雑な上に不要ではないかと思うので説明は省略します。

朝比奈はJF式から始めたので、最初はこの方法を使いませんでした。
しかし実占の中で、「どう考えてもこれ、ハウス・ルーラーになってるな…」というホロスコープに何度も出会いました。
その後ネイタルでディレクションを使うようになってからは疑いようがなくなり、この方法を使うようになりました。しかし同時に、CL式の100%使う方法も誤りであると考えています。
この方法は、毎回当てはまるようなものではなく、当てはまることがあったりなかったりするものです。

2.イグザルテーションの天体を考慮するとき

ハウス・ルーラーを、ハウス・カスプのサインのマイ・サインの支配星からではなく、イグザルテーションの支配星から考える方法です。
この方法はCL式ではとてもよく使われています。
このような時には使うというような条件もなく、大体いつも使われています。
朝比奈の印象としては、使いたくなったときに使う、という感じです。
たぶんそういう使い方が大嫌いなのでしょう。JF式では全く使われていません。話にならない、という感じで一蹴しています。
たしかに、イグザルテーションの天体までもハウス・ルーラーとして使うとしたら、主役の天体が増えすぎてわけがわからなくなります。
朝比奈はジョン・フローリーの考え方に賛成です。
…賛成なのですが、朝比奈式ではホラリーでのみ、たまに、登場すると考えています。
確率は1%未満になるでしょう。ネイタルで登場することはありません。
なぜ朝比奈がこのように考えるかというと、占星術がそのように創られているため、なのですが理由が難解です。
「ホラリーはネイタルと違って動くから」
この意味がわかりますか?正直、朝比奈にはわかりません。
登場確率は1%未満なので普段は忘れています。たまに結果がどうしてもおかしいときに思い出して、ああ、これだったのかも、という程度です。
時には諦めも許されるのではないでしょうか…。

 3.アルムーテンの支配星を考慮するとき(CL式のみ)

ハウス・カスプの、アルムーテンの支配星をハウス・ルーラーとして使う方法です。
アルムーテンについてはサイン法の補足のページで説明しています。
この方法はCL式でのみ使われています。
JF式では、天体に点数を振るなんて意味がわからないということでやはり一蹴しています。
朝比奈としては、誰が作ったのか不明なものの、アイディアはなかなかおもしろいな、という印象です。使わないようにしましょう。

天体がハウス・ルーラーにならない条件

【天体がハウス・ルーラーにならない条件】
1.ハウスの大部分を占めるサインの支配星
2.インターセプトのサインの支配星

1.ハウスの大部分を占めるサインの支配星

ハウスの大部分を占めるサインがあったとしても、そのサインの支配星がハウス・ルーラーになることはありません。
ホロスコープを見てみましょう。
第11ハウスのハウス・カスプがてんびん座ですが、ハウスの大部分はさそり座が占めています。
このような時でも、さそり座の支配星がロード11になることはありません。
ロード11はてんびん座の支配星だけです。
朝比奈式とJF式ではこのように考えますが、CL式は異なります。
サインがハウスの大部分を占めるのだからということで、例えばこの例では、さそり座の支配星もロード11として扱われます。
理由を説明したいのですが、特に理由はないようです。
たぶん感覚的には、CL式の方が納得しやすいのではないでしょうか?
実は朝比奈も未だに少し違和感があります。

2.インターセプトのサインの支配星

ハウス・カスプで挟まれたサインを、インターセプトされたサイン(Intercepted Sign)と呼びます。
例えばこのホロスコープでは、第3ハウス・カスプと第4ハウス・カスプに挟まれたうお座がインターセプトのサインになります。
ハウスの大部分を占めることもあるインターセプトのサインですが、このサインの支配星がハウス・ルーラーになることはありません。
この方法も朝比奈式とJF式では使われていませんが、CL式では使われています。

ハウス・ルーラーが複数の場合の解釈の仕方

複数の天体がハウス・ルーラーになっている時には、ホロスコープをどのように解釈すれば良いのでしょうか?
例えば、仕事を表す天体が水星と金星だったら、どちらを主に使えば良いのか迷いますよね。
複数の天体がハウス・ルーラーになっている場合、解釈方法は2通りあります。

【ハウス・ルーラーが複数の場合の解釈法】
1.複数の天体をそのまま解釈する
2.複数の天体から状況に合う天体を選び解釈する

1.複数の天体をそのまま解釈する

なぜ複数の天体がハウス・ルーラーになることがあるのでしょうか?
一つの理由として、そのハウスの状況を正確に表すために複数の天体を用いる必要があるから、というものがあります。
だから、複数の天体の意味をそのまま解釈すると意味が通ることがあります。
例えば恋愛関係を占って、アスカーを表す天体が複数登場し、彼を表す天体がそれぞれの天体に対して好き、嫌いというレセプションになっていた場合、彼がアスカーに対して好きなところと嫌いなところがある、と解釈します。

2.複数の天体から状況に合う天体を選び解釈する

ハウス・ルーラーが複数登場する理由は、基本的には、そのハウスの事柄を表すために天体が複数必要になっているためです。
しかし少なくないケースで、複数のハウス・ルーラーを比較して、見やすいというか、目立つ天体を主に使うとうまくいくことがあります。
複数の天体がハウス・ルーラーになっていても、アスクトの天体とくっついていたり、レセプションがよく当てはまっていたりと、一つの天体がパッと目を引くことがあるのです。
こういう時には、主にその天体を使いながら解釈を進めると、うまくいくことが多いでしょう。
もう一方を無視するわけではないのですが、あまり考慮せずに進めることになります。
例えば、第1ハウス・カスプがおうし座で、第1ハウスに土星がいるとします。
火星はロード1で確定ですが、アスクトを表す天体とのアスペクトやレセプションから判断して土星もロード1になっているとしましょう。
この時、アスペクトやレセプションを考慮すると土星の方が状況によく当てはまっていたら、土星の方を主に使いながら占いを進めるのです。
この場合、必ずハウス・ルーラーになるハウス・カスプの支配星の方が重要になりそうですが、そういうわけでもありません。
この場合のように、ハウスにいるためにハウス・ルーラーになっている天体の方が重要になることもよくあります。

CL式のハウス・ルーラーが多すぎる件について

ここまで見てきておわかりのように、CL式はとにかくハウス・ルーラーが大好きです。
なんでも取り入れる雑食性です。
実はここでは説明していないのですが、CL式ではここからさらにトリプリシティの支配星をハウス・ルーラーに取り入れたりアラビアン・パートの支配星を取り入れたりして、本当に収集がつきません。
あれもこれもハウス・ルーラーなんだよねということで、アスカーを表す天体が5個くらい、アスクトを表す天体が5個くらいになり、そこから解説が続くのです。
これがCL式なのです。ジョン・フローリーはこういうのが大嫌いなのですが、朝比奈も同感です。
正気ですかと問いかけたくなるのは、何も朝比奈だけではないでしょう。