7-1.トランスレーション、コレクション

2017/3/2 更新

主役の2天体同士がイベント・アスペクトをしない時でも、第3の天体が主役の2天体に対して続けてイベント・アスペクトをすることで、主役の2天体のアスペクトによって示される出来事が起こることがあります。
例えば、おひつじ座10度の金星とおうし座12度の土星は隣のサインにいるためイベント・アスペクトすることはありません。しかし、かに座9度にいる月がまず金星にスクウェア、その後すぐ土星にセクスタイルすることで、月は金星の光を土星に運ぶことになり、その出来事が起こる可能性が高くなります。
このように本来はアスペクトしないはずの2天体を繋ぐ、第3の天体によるアスペクトの架け橋は、その様態の違いによってトランスレーション、またはコレクションと呼ばれます。
トランスレーションとコレクションが登場する時は現実の状況の中にも第三者が登場し、アスカーとアスクトの間を繋ぐ様子がしばしば観察されます。

1.トランスレーション

クラシック占星術の中で、トランスレーションは「Translation of light(トランスレーション・オブ・ライト:光の受け渡し)」と呼ばれます。
トランスレーションは移動速度の速い第3の天体が2つの天体に次々とアスペクトすることでその2つの天体間のアスペクトによって表される出来事を引き起こすアスペクトです。
例を見てみましょう。次のホロスコープで、太陽と土星のアスペクトを探しているとします。

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太陽がてんびん座17度、土星がさそり座11度、月がやぎ座7度にいます。
太陽と土星は隣のサインなのでアスペクトすることはありませんが、月がまず土星にセクスタイル、続けて太陽とスクウェアになり、太陽と土星がイベント・アスペクトしたね、と解釈することができます。
この説明は単純にしてありますが、実際のトランスレーションはアスペクト以外にレセプションなども考慮しなければなりません。レセプションが悪いと、その出来事が起こらない可能性が出てきます。
例えば、この例で土星はさそり座にいるため月に対するレセプションがフォールになり、月に対して敵対的な態度を取っています。月によって表される人は、土星によって表される人物と話す時には、けっこう嫌な思いをすることを覚悟しなければならないでしょう。
このように、アスカーの話とホロスコープの表示を対応させながら、そもそもトランスレーションを起こした方が良いのかどうか、トランスレーションを起こしたいと望むならば何をすればいいのかなど考えてみてください。

このトランスレーションには色々なバリエーションが存在します。
上のホロスコープでは月がこれから土星、太陽に対してイベント・アスペクトするところでしたが、ホロスコープを作った時、月が土星に既にアスペクトした後ということもあり得ます。

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このホロスコープでは、やぎ座15度にいる月はさそり座11度にいる土星にセクスタイルのイベント・アスペクトをした後で、これからてんびん座18度にいる太陽にスクウェアするところです。
アスカーとよく話してみれば、過去のイベント・アスペクトが何を表していたのか、そしてこの後のイベント・アスペクトが何を表すのか判断できることが多いでしょう。

トランスレーションの例をもう一つ掲載しておきます。
下のホロスコープでは、金星がトランスレーションの天体となり土星と木星を結びつけています。

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おとめ座8度の金星はおとめ座5度にいる土星とコンジャンクションした直後です。この後金星はおとめ座19度まで進んだところでいて座19度に進んだ木星とスクウェアになり、土星と木星をトランスレーションで繋ぎます。
※ホロスコープの木星はいて座17度にいますが、金星とスクウェアになる時には19度まで進んでいます。

2.コレクション

コレクションはクラシック占星術の中で「Collection of light(コレクション・オブ・ライト:光の収集)」と呼ばれます。
トランスレーションは移動速度の速い天体が2つの天体をアスペクトで結びつけていました。コレクションは移動速度の遅い天体が2つの天体の光を集めて結びつけるイベント・アスペクトです。
コレクションをホロスコープで確認する前に、まず実例を考えてみましょう。
涼宮さんはキョンくんにトトロのDVDを返そうと考えています。でも、今日はキョンくんに直接会うタイミングがありません。そこで部室にいた長門さんにDVDを預けました。
「あとでキョンが来たら渡しといて!」
「わかった。」
その後、キョンくんは部室で長門さんからDVDを受け取りました。長門さんは部室にいたままで、涼宮さんとキョンくんを繋ぎましたね。

この例をホロスコープで確認してみましょう。
・太陽 : キョンくん
・火星 : 涼宮さん
・土星 : 長門さん

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まずはDVDを返したい涼宮さん(火星)とキョンくん(太陽)のアスペクトを探しますが、火星と太陽は隣り合うサインにいるためアスペクトすることができません。
しかし、この後火星(涼宮さん)が土星(長門さん)に、太陽(キョンくん)が土星に続けてアスペクトするので、土星がコレクションの役割を果たし、無事太陽と火星によって表される「DVDの受け渡し」という出来事が起こります。
トランスレーションの時と同様ここでもレセプションが重要な要素になる可能性があります。この例では仲良し3人組という前提があるためレセプションを考慮する必要はないのですが、一応チェックしておくと長門さん(土星)はキョンくんにも涼宮さんにも悪いレセプションはありません。逆も同じなのでレセプションには問題がなさそうです。
でも、キョンくんが涼宮さんのこと嫌い(デトリメント)になっています。涼宮さんのこと大好きなキョンくんが…なんで??なんて、思わないようにしてください。
レセプションも、考慮しなくていい時は考慮しなくていいんだよ、ということです。

3.トランスレーションとコレクションのポイントのまとめ

トランスレーションとコレクションに共通するポイントを4つ程まとめておきます。

1) アンティシアに対するアスペクトを見落とさないように

トランスレーションとコレクションは第三の天体が主役の天体同士をイベント・アスペクトによって繋ぎますが、これにはアンティシア(仮想上の天体)に対するアスペクトも含まれます。
うお座18度に金星、おひつじ座10度に火星、おうし座21度に木星がいて金星がトランスレーションするケースを考えてみましょう。
この例では、金星はまずおとめ座20度にいる火星のアンティシアにオポジションした後で、おうし座21度の木星にセクスタイルになります。アンティシアに対するアスペクトは見落としやすいので注意しましょう。

2) 複数の天体のトランスレーション/コレクション

トランスレーションは第3の天体が2つの天体だけに対して起こるとは限りません。3つ、4つの天体に次々トランスレーションしていくこともあり得ます。
例えば、おひつじ座10度に月、ふたご座13度に金星、かに座14度に土星、かに座16度に太陽がいる時、月は金星、土星、太陽の順番にイベント・アスペクトしていきます。
金星と土星のアスペクトを探していたとすると、月は金星、土星の順番でアスペクトするわけですからこのトランスレーションは成功するでしょう。それでは、その後のアスペクト、太陽に対するアスペクトはどうなるのでしょうか?
これは太陽が何を表しているのかを考えて判断してください。

3) どの天体のレセプションが重要になるのかは、一般常識から判断する

トランスレーションやコレクションをする天体のレセプションは、状況によって重要になることもあればならないこともあるでしょう。
主役の天体同士のレセプションだけが重要になることもあれば、トランスレーションやコレクションする天体のレセプションが重要になることもあり得ます。
例えば、片想いの彼とつきあえるかどうかは、紹介してくれる友達がその彼と仲良しかどうかではなく、彼がアスカーに対してどのような感情を抱いているかに左右されるだろうし、喧嘩相手との仲裁役にはどちらからも信頼されている人物が相応しいでしょう。
どの天体の、どの天体に対するレセプションが重要な要素になるのか、常に意識してください。

4) 適切なレセプションが必要?

少し古いクラシック占星術の文献には、「トランスレーションやコレクションには適切なレセプションが求められる」、という説明が載っています。
「トランスレーションがうまくいくためには、トランスレーションする天体が、最初にアスペクトする天体のマイ・サインがイグザルテーションのサインにいる必要があるんだよ…」という感じです。
コレクションにも似たような感じの説明があるのですが、これらは全て当てはまらないでしょう。考慮する必要はありません。

5) トランスレーションもコレクションも意味合いは同じ

トランスレーションとコレクションには大きな意味の違いはありません。どちらも第三者が登場し、橋渡し役を務めてくれる可能性の高いイベント・アスペクトです。